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カテゴリ:美術館・博物館
「円」と言えば円満!とか「おかね」をイメージしますが、理論家カンディンスキーは「円」を多く描き円を愛していたようです
なぜ円が、 私を魅きつけるか? 円とは: もっとも控えめな形体ではあるが、 容赦なく自己主張し、 簡潔ではあるが、 無尽蔵に変化が可能、 安定していると同時に声高い、 無数の緊張を自らのうちに秘めている 一つの緊張、である。 ・・・W・グローマン宛の書簡より (1930年10月12日) Vassily Kandinsky Several Circles(Einige Kreise) Januari-February 1926 『いくつかの円』1926年 Oil on canvas(油彩・カンヴァス) 140.0cmx140.0cm ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。 妻ニーナは、1925年〜1927年を カンディンスキーの「円の時代」と呼んでいる 円は、それ自身のうちに いかなる方向性ももたない図形であるが、 本作品を見るとわかる通り、 円相後の関係は、 画面にさまざまな方向性をもたらすし、 大小の違いは、 奥行き方向の運動や浮き沈みを示唆する。 変化のある黒は・・・ 色とりどりの円の存在感を際立たせ、 また画面に宇宙的な静寂を授けている Vassily Kandinsky 1866年12月4日〜1944年12月13日(78歳没) ロシア出身の画家・理論家。 抽象絵画の創始者。 ドイツ・フランスでも活躍。 「円の時代」の作品を制作順にあげると 『黒い円の中に』 『白の上にII』 『貫通する線』 『黒い四角の中に』 『コンポジションVIII』 『円の中の円』 『黄・赤・青』 などの作品がつぎつぎに描かれた1923年は、 カンディンスキーの冷たい幾何学的抽象の絶頂期であり、 そこでは画面を対角線方向に走る 直線と画面の要所要所に配された円のあいだに、 和合でも対立でもない、 不思議な緊張感が漂っている。 カンディンスキーは、 とあるアンケートに答えて、 「わたしは今、 かつてたとえば馬を愛したように、 円を愛しています。 いやたぶん、 それ以上でしょう。 わたしは円のなかに、 馬よりももっと大きな 内的可能性を見ているのですから」 と書いているが、 この「円の時代」の到達点が、 デッサウに移り住んで間もなく描かれた 『いくつかの円』であった。 大小さまざまな円の配置によって、 対角線方向の運動がほのめかされており、 ニュアンスに富んだ黒地の背景の効果と相まって、 すぐれて内省的な画面が生まれている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.02 00:10:08
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