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カテゴリ:愛to暁のヨナ
いやぁ…唸りました。 そして絶望しました。 暁のヨナ 第224話「限界を超えて」感想(姉編) 戒軍内部に紛れていたハクや四龍たちの活躍により、 統率が崩れ、撤退し出す戒軍。 満身創痍で倒れ込んでいたハクは、「戦終了」の報を聞いた瞬間、 突如として立ち上がり…。 コミック4冊分くらい…でしょうか。 「南戒編」というのか分かりませんが、 やって来たことが、見事に集約する名シーンでしたね! いやぁ…ホント、「ココに集約するか!」と、 草凪みずほ節大爆発で唸りました。 絶望です!! 過去記事でも、何度も書いて来ているのですが、 私は、草凪みずほ先生は「動機の神」だと思っています。 キャラクターが動き出す「動機」のために 設定・キャラクター配置、話回しのすべてがある、と思って読んでいます。 過去の感想記事で、ハク様についてつらつらと見解を語って来ていました。 このキャラクターは、 「自分の感情」や「エゴ」では動きません。 上記説明文で、赤字にした部分には、個人感情やエゴが絡んでいると思います。 ただそれも、「現状についての総合的な判断」が前提にあった上で、 最終的に行動を選択する際に初めて登場してくるものです。 個人感情より、「全体」の方を、このキャラクターは優先します。 何故、阿波の都に千樹草を採りに行ったはずのハク様が、 突然、金州に居るのか? スウォンさんの病状や、グンテ将軍の意識の変化を認識した上で、 「南戒との戦争、これは危ない」と思ってるんだと思います。 作品的には、千樹草は口実。 (+今後の交渉事における切り札要素) ハク様を、自由に動き回れる形で、 地の部族領内に向かわせることこそが、本題 いろんな言い方で一生懸命力説しているのは、とにかくこの1点です。 ハク様は、「全体のバランス命」のキャラクターです! これまで書いてきた見解は、間違ってなかった… 今回の南戒編では、むしろハク様の「この部分」を はっきりと要素分けして、明示する作りになっていました。 <要素分け> ・全体のバランス=不安要素を抱えた中での、南戒との開戦 ・個人感情=千樹草 ただ、間違ってなかったんですが…なめてました! 私が甘かった…。 今回、満身創痍で倒れ込み、 本人も「死にかけてる」と仲間に語るほど疲弊しているハク様が、 「戦は終わったよ」という一言を聞いた瞬間に、 眼の色を変えて飛び起き、 千樹草をスウォン様に届けることに 残りのすべての力を全振りしました。 びっくりしました。 こんな描写の仕方があるなんて…! ハク様は、「全体バランス命」のキャラクターです。 高華国組織体制の中で、自身の立場も役目もないままに、 現状一番ウィークポイントであると思われる南戒の防衛線を、 ボロッボロになりながら、単身死守しちゃうようなキャラクターなんです。 「戦の終了」は、その「全体バランス」においてやるべきことが ひとまず終了した合図です。 ひとまず、「バランス崩壊」を食い止めた、という状態ですね。 その瞬間、「個人感情」でやりたいことが爆発したようです。 作品的には、千樹草は口実。 (+今後の交渉事における切り札要素) …という位置づけなんじゃないかな、と思って読んでたんですよ。 ハク様は、千樹草がどういったものかも把握していますし、 緋の病の話も、概要はおそらく聞いていると思うので。 とても、千樹草ごときでどうにかなるようなものではないと、 ハク様もおそらく思うだろうな、とも思ったので。 ただ…なめてました。 千樹草を言い訳にして、地の部族に行った…も、間違ってなかったんですが、 結局、その動き自体がバランス人間のバランス人間たる証明に過ぎず、 「個人感情」の根源に一貫して据えられていたのは、 「千樹草」だったのか…!という。 南戒編は、「なんか要素がとっちらかってるな」と 不可思議に思いながら読み進めて来ました。 敵の奇襲の繰り返しで、南戒から離れられなくなった時の描写とか、 千樹草を「俺が使う」と保持しようとした時の描写とか… そうか、このシーンのためか…と、 ここに来て、引っかかってた描写のすべてが輝き始めます。 変な話、ハク様の自身内部での言い訳だったんだな、と思うんです。 「地の部族の南戒防衛線」の方が。 ひっかけでもないですけど… 私は完全にハク様のスウォン様への献身性を、 ことここに至っても尚、舐め切っていました。 おそらく効果があることが期待薄な「千樹草」だとしても、 可能性があるなら、どんなことでもやってやりたい、 何とかしてやりたいという、爆発的な強い強い感情があって、 …でも、ヨナちゃんや仲間たちの手前、それは押し潜めていたんだな、と。 それが今回、朦朧とする意識の中で聴いた「終戦の合図」で、 炸裂した、ということですね。 …絶望です!!! 40巻近くまで来て… いや、分かってた。重々承知して読み進めていたつもりではあるんですが、 なんて壮大なBL(ボーイズラブ)を見せつけられたんだ、 という感覚でですね…。 これまで、この単語(BL)は出さずに感想は書くようにして来ました。 私も妹も、好んでBL作品を読むことはしない性質の漫画好きです。 全く読めないわけではありませんし、良さが分かれば全然読めますが、 ただ、好んでそのジャンルを漁るようなことはしません。 まぁ、…基本、苦手です。 ただ、ここで、あえて出させていただきます。 本作品を読むうえで、まず認識しておかなければならないと思っています。 この作品、土台には「BL」があります。 ハク様とスウォン様… 基本的に、ここの関係性はあまりに特別かつ運命的であり、 草凪みずほ先生というキャラ作りの神が、 過去連載作で作り上げたキャラクターたちの感情をひっぱってくる形で作り込んだ、 渾身の関係性…「ボーイズラブ」だと思っています。 ヨナ姫が2巻からずっと闘っているのは、「ココ」です。 ◆数年前に妹が描いた「私は『暁のヨナ』をこういう作品だと思っています」の図↓ 「暁のヨナ」は、 「BLvs少女漫画」をやっている漫画である、 とも言えると思っています。 この言い方をした方が、作品の要素整理が上手くできます。 ↑この認識でずっと読み進めて来た私&妹が、衝撃を受けるレベルで、 ハク様のスウォン様への想いは深かった!! 分かってた…分かってはいたが、ヤバい!! というのが、今回のお話でした。 この漫画、「約40巻も何やってたんだ」って… そりゃもう、この2人の関係性がこじれ過ぎてて、 お互いに向き合えなさ過ぎて、ぐるぐる放浪を続けてた、 としか言いようがない…。 それだけじゃないですが!もちろん。 ヨナ姫は頑張って来た。 何とかハク様の生きがいになれるように、頑張って来てた。 ちょっと今回は、ハク様の視界に入ってなさそうだったけど。 「・・・もうダメかもしれない。ヨナ姫はスウォン様に (ハク様の愛情的な意味で)勝てないかもしれない…」 と妹が弱気になっているので、 「大丈夫!BLと少女漫画はきっと共存できる!」 という謎の言葉で励ましています。 さて。 これだけ壮大な形で、愛をぶつけられたスウォン様が、どうするか、ですね。 その為の話回しですからね。 さて。 怖いですね。 流石に…流石にここまでやって… 流石に…大きなリアクションを返してくれよ…!! もう40巻になるんだ…頼みますよ、ホント…。 次回が おまけ 花とゆめ10、11合併号は、 アクリルプレート付き(アニメイト限定セット)を購入しました。 実物が想像以上にしっかりしていて、満足感が高かったです。 アクリルを活かした、草凪先生のサイン (イラストから浮かした状態で表示してある)も素敵でした。 何より、しっかり大事にイラストが鑑賞できるのが良いですね! また是非、繋がる表紙や巻頭イラストで、こういった商品を展開して欲しいです。 ホイホイ買います。 by姉、画:妹
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おはようございます。いつもお二人の深い洞察力に感銘を受けながら、楽しく拝見しています。
今回は考えないようにしていましたが、やっぱりそうですよね(T_T) ハクはヨナちゃん眼中になかったですものね。ヨナちゃんだって二番手は嫌でしょうし、ヨナちゃんが誰ともくっつかないラストだったら悲しいなと思いました。 ただ、ハクとスウォンの関係はBLというより、兄弟愛だと思います。二人の尊い関係を兄弟愛と簡単にくくってしまうのは嫌なんですが、やっぱり血で惹かれ合ったのかなぁと。ハクの出自が明らかになることはないかもしれませんが、残虐なユホンの過去編から容易に想像つきますし、兄弟愛と恋愛だったら共存できますよね(^^) (2022.05.03 06:37:52)
こんばんは。コメントありがとうございました。姉の方です。
>ハクはヨナちゃん眼中になかったですものね。 今回は、「極限を超えた状態」としっかり前置きがしてあったとはいえ、 結構衝撃的な描写だったね(泣)…と妹と話しています。 >ハクとスウォンの関係はBLというより、兄弟愛だと思います。 草凪先生の過去作のキャラクターで、ハク&スウォンの下地の一部になっているだろうな、 と思っているのが、兄弟設定だったりしますので、「兄弟愛」的な面も含んでいると思っています。 ちなみに今回「BL」と書いているのは、草凪先生の描く独特な「男性2人の関係性」… 「憧れと自己同一視」に根差した運命的な愛憎の深さ…みたいな意味合いです。 う~ん分かりにくい言い回しですね;すみません。 ハクスウォンの2人には、本当に表現しがたい激情が描かれていると思ってます! 私たちも、今後の展開や、そこで明かされる謎、2人の関係性がどうなっていくのか、 とても楽しみにしています。by姉 (2022.05.04 20:02:52) |