永井豪『ハレンチ学園』
永井豪先生のデビューは1967年ですが、出世作となったのは翌年に発表した『ハレンチ学園』といえるでしょう。この作品は、1968年から1972年まで「少年ジャンプ」で連載され、テレビで実写ドラマや映画にもなったほど人気の高いマンガでした。『ハレンチ学園』は子供たちのあいだでは絶大な支持を集めましたが、スカートめくりや女の子のヌード、そして教師たちが風刺した姿で描かれるなど、その内容から物議をかもしたマンガでもありました。教師のなかでは、ヒゲゴジラが有名で、かつ人気があったそうですが、石川県の人ならきっと、マルゴシ先生にピンとくるものがあったのではないでしょうか? これが県外の人だと、マルゴシ=三越のもじりとなるところでしょうが、私たちは金沢の丸越百貨店を知っていたのですから。それはともかく、当時『ハレンチ学園』で一躍人気マンガ家となった永井豪先生は、同時にその内容から、ワイドショーに引っ張りだされては、教育関係者やPTAなどから、しょっちゅう吊るし上げを食っていたそうです。このあたりの事情は、昨年(2006年)6月、輪島の文化会館で講演した際に永井先生自らが披露し、そのとき面白いエピソードをひとつ聞かせてもらいました。ワイドショーに出演するなどの一連の騒動が一段落した頃、テレビ出演の依頼があり、そのとき『ハレンチ学園』の話題はいっさいださないという約束だったらしいのですが、行ってみると、質問する者のなかに一人、大きな女性がいて盛んに先生をやじりだしたそうです。もう執拗に、番組のほとんどをひとりで喋りつくしたような感じだったらしいのです。それから2、3日して、あるとき永井豪先生がテレビを見ていると、あのとき1人で文句をいいつづけた女性が歌をうたっていたそうで、ビックリしたといいます。彼女はデビューしたばかりの歌手だったんですね、和田アキ子という名前の……。(2007年12月19日記)