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2015.02.02
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テーマ:ニュース(99438)
カテゴリ:戦争と平和
イスラム国に拘束されていた後藤さんについて、殺害されたと報じられています。正式な確認がされたかどうかは知りませんが、映像が公開されており、まず間違いないようです。非常に残念な結果となりました。このような蛮行を行ったイスラム国が許し難いのは当然として、日本政府が救出のためにどのような努力を払ったのかについては、検証の必要があるだろうと思います。また、後藤氏の勇気ある行動に敬意を表するとともに、ご冥福を祈りたいと思います。
昨日は、本当はこの件についての田母神のブログを批判する記事を予定していたのですが、公開のタイミングを逸してしまいました。

それはともかく・・・・・・。

邦人の安全守るのは政府の責任、自衛隊の邦人救出に意欲=安倍首相
2月2日、安倍晋三首相は参議院予算委員会で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が殺害された事件について、「国民の命、安全を守るのは政府の責任。その最高責任者は私」と述べた。
その上で、自衛隊による在外邦人の救出を可能にする議論を進めていく考えを改めて示した。
安倍首相は、人質解放に向け、ヨルダンをはじめとした関係各国と緊密に連携したことを強調。「詳細はつまびらかにできない」とする一方、「最大限の協力をもらう確約を得た」と語った。その上で、「結果として2人の日本人の命が奪われたのは無念だ、痛恨の極み」と語った。
1月下旬に事件が発生して以降、自衛隊による在外邦人の救出に意欲を示してた安倍首相は、この日も同様の意向を表明。「邦人が危険な状況に陥ったときに、受け入れ国の了承の(ある)なかで、救出も可能にする議論をこれから行いたい」と語った。(以下略)

ーーー

こういう痛ましい事件が起こった時、どうしても「勇ましい」方向の解決策に持っていかないと気が済まない人なんだね、この人は。
確かに、国民の生命と安全を守るのは政府の責任で、その最高責任者が内閣総理大臣である、というのは事実です。しかし、その、国民の生命と安全を守る手段は、必ずしも軍事行動とは限らないはずです。いや、むしろ話し合いによる解決より武力による解決を志向することは、より大きな災厄を招く可能性を増大させることになります。

今回の件について、日本政府がどういう解決策を志向し、どういう交渉を行ったのか、そもそもイスラム国側と交渉があったのか、この辺りのところはまったく明らかではありません。ただ、殺された後藤さん自身も、平和の大事さ、戦争の悲惨さを強く訴えていた人だったとのことで、自分を救出するために自衛隊が武力行使することを望んだとは考えにくいのです。本人の意思はとりあえず脇に置くとしても、確実にいえることは、交渉(または取引)によって釈放させる以外に選択肢がなかった、ということです。今回の事例で、武力による解決などということは、ありえないのです。

イスラム国に拘束されている外国人は他にも大勢います。しかし、それらの人質を武力で救出する作戦を実行に成功した国は、これまでのところ存在しません※。世界最大最強の軍を擁する米国ですら、やっていない。そんなことは不可能だからです。

※訂正です、田岡俊次の「自衛隊による海外人質救出が到底不可能な理由」によると、米国はイスラム国に拘束された自国民の救出作戦を、何度か試みています。ただし、すべて失敗に終わっている。従って、実行した国がないは誤りで、成功した国がないというのが正しいようです。

冒頭でちょっと触れた田母神のブログには

日本は、ダッカ事件でハイジャック犯の要求に屈して服役中の日本赤軍のメンバーを釈放してしまった、それに引き換え旧西ドイツはハイジャック犯の要求に屈せず、武力で制圧して人質を解放した、ドイツはすごい、だからドイツはテロリストに狙われない、毅然とし旗対応をすべきだ。

という趣旨の意見が述べられています。武力解決大好きな右翼系の人から、よく出てくるタイプの主張です。北朝鮮の拉致被害者の武力救出、なんてことも主張する人がいますが、それと同根でしょうか。

しかし、そのドイツもイスラム国に対しては、人質を取られた際に身代金を払って解放させたようです。ちょっと調べると、それ以外にも、人質に取られたドイツ人に対して身代金を払った(と思われる)例は結構ある。
特殊部隊の奇襲による人質奪還を実現するためには何重もの高いハードルがあります。そのハードルがクリアできることなど、滅多にないのです。
最も重要なのは相手国政府の承認です。他国の領土で特殊部隊が作戦行動を行うのですから、相手国の承認がなければ侵略です。純軍事的に見ても、相手国の協力、せめて行動の自由の保障がなければ、そんな作戦が成功するはずもありません。相手国政府が、該当地域を実効支配しているか否かも問題です。政府の実効支配が及んでいなければ、政府の承認も空手形と同じですから。
当然、人質を取っている集団が、その国の政府、あるいは実効支配している勢力にとっても犯罪者集団と見られていなければ、行動の承認も協力も得られるわけがありません。
そして、人質がどこに身柄を拘束されているか、どこの建物のどこの部屋まで、ある程度正確に分かっている必要があります。相手が「特殊部隊が突入してきた」と悟ってから、人質に危害を加えられるまで、よくても数分、下手をすれば数秒の時間の猶予しかないので、人質の居場所に向かって瞬時になだれ込まなくてはならないからです。

ドイツがソマリアのモガディシュ空港でハイジャック機に特殊部隊を突入させた例は、これらの条件がすべてクリアされた、きわめて特異な事例なのです。
一方、イスラム国の人質の例は、それらの条件がことごとく、一つもクリアできていない。それで武力救出なんて、まったく不可能なのです。そして、世界中の人質事件のほとんどは、今回の件と同様に、武力救出の条件はクリアできません。だから、そのような作戦が実行されることも滅多にありません。

追記:相手国政府が敵対的にもかかわらず救出作戦に成功した数少ない例が、イスラエルがウガンダのエンデベ空港で行ったハイジャック機への突入作戦です。ただし、このときは、コメント欄でBill McCrearyさんが指摘しているように、空港ターミナルがイスラエル企業の設計だったため内部構造等が事前に正確に分かっていた、人質の居場所も事前に正確に分かっていた、という条件がありました。(ただし、人質のうち1人だけ体調を崩して病院に搬送されていたことをイスラエルは把握しておらず、結局この一人が取り残されて後にウガンダ政府に殺された)

かつて、米国は駐イラン大使館が占拠されて大使館員が人質に取られた際、これらの条件がクリアされていないのに特殊部隊を動員して救出作戦を行ったことがありますが、結果は大失敗でした。

以前、空想的平和主義なんて言葉で右翼が平和主義を非難することがありましたが、できもしない自衛隊による武力救出を叫ぶのは、空想的軍国主義でしかないでしょう。





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最終更新日  2015.02.07 08:21:12
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