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2021.01.23
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テーマ:ニュース(99398)
カテゴリ:政治
「政治的にただしい社会は少子化で消滅する」ポリコレを求める人が無視する事実
女性からの絶大な支持を集めていた大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の続編が大きな話題となっていた。とりわけ話題を集めたのは、ドラマの方向性が「ポリティカル・コレクトネス」に先鋭化していた点だ。
こうしたポリコレ・ファンタジーを真に受けて「現実もこうあるべきだ」と喧伝するような人が大勢現れ、しかもそうした人びとが実社会で一定の政治力を担保してしまうことである。またそれに従わない者に「社会悪」のレッテルを貼る――「ポリコレ表現」というジャンルには「ポリコレファンの押しつけがましく攻撃的でさえある社会正義しぐさ」が緊密にワンセットになっている。ポリコレファンたちの押しつけがましさや攻撃性に加え、他の表現ジャンルとは比較にならないほどの「政治権力」をすでに持っている。
「人権思想」に基づいて、多様な価値観や思想体系(男女平等、言論の自由、思想信条の自由、内心の自由)を包摂する、自由で寛容な社会だからこそ、現代のリベラルな先進各国は人口動態的に危機的状況に陥っている。生まない自由を尊重したり、子どもを産み育てることへの倫理的責務を高めたりする風潮を強化したりすれば、子どもが生まれなくなるのは当然だ。実際、人権思想はひたすらにそうしてきた。
個人の人権(とりわけ女性の人権)を手厚く保証すればするほど、子どもは生まれなくなり、人口再生産性は低下していく。これは私が差別的な偏見に基づいて放言しているわけではなく、統計的・数理的データによって裏付けられた事実でしかない(この統計的事実を道徳的にどのように判断するのかは自由だが)(要旨・以下略)

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何というか、致命的な事実誤認に基づくクソみたいな論評というのが感想です。この筆者が「ポリティカル・コレクト」「リベラル」が嫌いなのだ、ということだけはよくわかります。好き嫌いは如何ともし難いので、嫌いなものは嫌いでそりゃ仕方がないです。ただ、論理的なふりをして間違った理論を振り回すのはどうかと思います。それに、「ポリコレファンの押しつけがましく攻撃的でさえある社会正義しぐさ」と言いますが、「反ポリコレ」「反リベラル」を声高に叫ぶ諸兄の「攻撃性」「押しつけがましさ」「レッテル貼り」は相当なものだと思うのですが、そのあたりには気付かないようです。
好き嫌いの問題はともかく、この文中で致命的な事実誤認は、以下の部分です。

「自由で寛容な社会だからこそ、現代のリベラルな先進各国は人口動態的に危機的状況に陥っている」

現代のリベラルな先進各国が総じて出生率が低下しつつあることは事実ですが、先進各国だけが出生率低下しているのか、先進各国の中でも出生率もリベラルの程度も差がありますが、本当に「リベラルな国」の出生率がもっとも下がっているのか、という点を、ちょっと検討してみれば、こんなのはすぐに嘘だと分かります。

例えば、リベラルということで言えば北欧が真っ先に連想されます。実際に、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」によると、第1位から4位までに北欧諸国が並んでいます(ちなみに日本は121位で主要先進国中の最下位)。しかし、その合計特殊出生率は、指数1位のアイスランドが1.74、2位ノルウェーは1.71、3位フィンランド1.49、4位スウェーデン1.85(すべて2017年)と、フィンランドが低めな以外は総じて日本よりは高いのです。
一方、ヨーロッパの主要国で女性の地位が一番低いのはイタリアで(76位、それでも日本よりは高いが)、かつ合計特殊出生率もまた、ヨーロッパで最低レベル(1.34)であり、ほぼ日本と同レベルです。
「ジェンダー・ギャップ指数」なんて、いかにも「反リベラル」「反ジェンダーフリー」の皆様が嫌いそうな指数であり、この筆者の論法によれば指数上位の国ほど子どもが生まれなくなるはずなのですが、現実は違うのです。

アジアに目を移すと、中国はどうでしょうか。明らかに政治的自由はありません。女性の地位は、前述の「ジェンダー・ギャップ指数」によると世界106位なので、日本よりは高いけれど五十歩百歩のレベルです。その中国の合計特殊出生率は公表値は1.68ですが、この公式統計には疑念が持たれており、実態はそれよりはるかに低い(おそらく日本より低い)と見られています。
また、ベトナム2.04、タイ1.53(2017年)は、いずれも日本よりは高いものの、1970年代以降急激な低下傾向にあります。両国とも、出生率低下の経過で政治的自由が拡大されましたか?女性の地位が向上しましたか?そんなことはありません。タイは今、王室をめぐって激しい抗議行動が起こっていますが、「不敬罪」なんて法律があるくらいで、政治的自由はきわめて制約されています。女性の地位も「ジェンダーギャップ指数」では日本や中国よりはマシですが、タイ75位ベトナム87位なので、高くはありません。一方、ジェンダーギャップ指数で世界16位と女性の地位がかなり高いフィリピンは、合計特殊出生率も2.64と、両国よりずっと高い。(ただし、低減傾向ではありますが)

引用記事は、勝ち誇ったように

個人の人権(とりわけ女性の人権)を手厚く保証すればするほど、子どもは生まれなくなり、人口再生産性は低下していく。これは統計的・数理的データによって裏付けられた事実でしかない

と主張しているのですが、実際にはリンク先の記事のどこを見ても、「個人の人権(とりわけ女性の人権)を手厚く保証すればするほど、子どもは生まれなくな」るという「統計的・数理的データ」はありません。
そこで触れられているのは、ただ「出生率を左右する最大の要因は女子教育」という点だけです。
なるほど、女子に教育の機会を与えることは、女性の人権保障ではあります。でも、それは最低限ラインの話であって、それを「人権の手厚い保障」なんて、表現のインフレ表現も大概にしろよと言うしかありません。

結局のところ、いずれの国においても、少子化を左右してきたのは経済発展です。
中国には政治的自由はないし、女性の地位も低いけど、近年の経済発展は今更説明不要でしょう。タイやベトナムも同じく、政治的自由はなく女性の地位も低くても、経済発展してきているから、少子化が進んでいる、そういうことなのです。
教育は、もちろん人権保障の最低限の基本条件ですが、同時に経済発展のための最低限の基本条件でもあります。字も読めない人ばかりの国で高度の経済活動なんてありえないことは誰が考えても分かるでしょう。女子に教育の機会を与えない、言い換えれば人口の半分に教育の機会を与えない社会で高度の経済発展なんて望めません。

つまり、この書き手の書きぶりに準じて真実を書くなら、こういうことなのです。

「豊かで発展した社会だからこそ、現代の先進各国は人口動態的に危機的状況に陥っている」

豊かであるということは生活に余裕があるということであり、それは人生において様々な選択肢がある、言い換えれば自由があるということです。中国に政治的自由はないし女性の地位も高くはないけれど、豊かさはあります。金さえあればほしいものは何でも手に入る、好きな時に好きな外国に旅行に行けるという意味で、個人の選択肢のレベルの自由は保障されています。

逆に言えば、「貧しく遅れた教育のない社会なら少子化の危機は起こらない」ということになります。まさしく、この筆者が嬉々としてリンクを張った記事が指摘するように、女子に教育の機会を与えなければ(言うまでもなく男子にも教育の機会を与えなければ更に)子どもはたくさん生まれるでしょう。
その代わり、そんなことをしたら豊かな社会ではいられない。
では、「出生率回復のために経済発展をやめよう、貧しい国になろう、教育なんかやめよう、みんなでバカになれば出生率は回復する」そう言えるんですか?言ったとして賛同が得られるんですか?

無理です。自ら求めて貧しくなりたい人はいないからです。だから、本質的には少子化問題は解決しません。ただ、北欧諸国のように様々な政策によって、少子化を、解決はしないものの、ある程度緩やかなものにして、相当長期間の引き延ばしを図ることはできます。そのカギになるのは、この筆者がお嫌いなリベラル的な女性の地位向上や子育て支援策というのが現実です。

それなのに、少子化の原因を見誤って、まるで見当違いな方向に原因を求めて攻撃して留飲を下げている文章は、ひとことで言って、「痛い」。これに尽きます。





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最終更新日  2021.01.23 13:02:26
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