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テーマ:山登りは楽しい(12238)
カテゴリ:災害
南アルプス林道4年経っても復旧困難
南アルプススーパー林道は、山梨県芦安村(現・南アルプス市)から広河原、北沢峠を越えて、長野県長谷村(現・伊那市)にかけて建設されたスーパー林道です。既に1962年までに完成していた夜叉神峠から広河原の林道を取りこむ形で山梨長野県両サイドより1967年に着工しました。地元では県を跨ぐ林道開通は、南アルプス登山の利便が良くなることから、過疎地域の脱却につながるとして、賛成派が大多数でした。 工事は険しい山道をダイナマイトなどを担いで進められ、崩れやすい地質のため、大変な難工事でした。工事により野呂川源流域のシラビソなどの亜高山性針葉樹林が大規模に破壊されました。工事直前の1964年に南アルプスが国立公園に指定されたこともあり、世論から強い反対運動が繰り広げられ、1973年に、環境庁長官が県境の北沢峠部分の1.6㎞を残しての工事凍結を表明しました~が、1978年に道路幅員の縮小、一部路線の変更、土砂崩壊の防止などの留意事項を条件に、一転して建設が再開され、1979年に全線開通しました。 ~2019年10月の台風19号により、南アルプスは大雨に襲われ、林道は、山梨県、長野県側双方で大規模な崩壊や土石流によりズタズタになりました。そのうち長野県側は2020年に復旧しましたが、山梨県側は未だに復旧していません。不通になっている現地がどのような状況かを2023年10月に確認しました。(以下略) --- 引用記事には現在の写真も多数掲載されています。とうていすぐに修復できる状態ではないことは、一目瞭然です。 南アルプススーパー林道の広河原~芦安間が2019年の台風19号によって寸断されたこと自体は、2年前に仙丈ケ岳に登った際に触れています。 仙丈ケ岳 その1 仙丈ケ岳 その2 スーパー林道の山梨側が寸断されているため、北沢峠には長野県側の戸台からしか入ることができませんでした。北沢峠は、甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳という南アルプス北部でも人気のある二つの山の登山口で、従前は名古屋関西方面からは戸台経由、関東方面からは広河原経由という住み分けがあったのですが、戸台からしか入山不可能という状況のなってしまったため、夏の土曜日早朝は想像を絶する大混雑になっていました。 それから2年経ち、現在どういう状況かは把握していなかったのですが、たまたまフェイスブックの登山系のグループに、ある方がこのルートのことを書いておられて、それで現状を知りました。 昨年10月にこのルートを確認したという上記引用記事と、何も変わっていない状況です。 個人的には、南アルプススーパー林道の広河原~北沢峠間は、何度もお世話になった道です。南アルプスで初めて登った山が仙丈ケ岳(1992年)で、広河原から北沢峠まで、往復しました。確か往復とも徒歩だったと思います。それ以来、仙丈ケ岳は悪天候での途中撤退を含めて合計4回(うち1回は野呂川出会い→両俣小屋→仙塩尾根→仙丈ケ岳→北沢峠というコース)、甲斐駒ヶ岳2回、塩見岳から熊の平→三峰岳→仙塩尾根→両俣小屋→野呂川出会という下山ルート1回、合計すると6往復半(漏れがあるかも・・・・・)、広河原-北沢峠間あるいは途中の野呂川出会まで通っています。歩いたのが半分、バスが半分かなあ。 一番最後通ったのは、2013年秋に二度目の甲斐駒ヶ岳に登った時ではないかなあ。 甲斐駒ヶ岳に登ってきた そんな、長らく使った南アルプススーパー林道(の山梨県側)ですが、客観的に見ると、復旧はほぼ絶望と思わざるを得ません。 先に紹介したFacebookの記事によれば、現在でも上部からの落石がひっきりなしにある箇所もあるそうです。通過すること自体が危険な状態で、とてもじゃないけれど、復旧工事なんかできる状態ではないようです。 その方は私見として、もう未来永劫開通することはないと思う、という見解でした。 仮に工事が可能な状態になったとして、復旧にどれだけの期間と費用がかかるか、を考えれば「無理」という以外の結論は出てこないでしょう。 1979年の開業から40年、よくもったところですが、2019年以前にも大雨の度に損壊カ所はあったようです。私も、直接落石の現場を見たことこそないものの、路上に落石が転がっているのは結構見た記憶があります。 自然保護団体が当時主張した「地質が脆弱であるにもかかわらず、ずさんな事前調査および工事、計画の妥当性~特に、地質の脆弱性から、道路の崩壊は恒常的なものとなり、そのための道路の維持は地元への大きな負担になる」という指摘は、40年の時を経て完全に的中した、と言えそうです。樹林に関しては、そんなに大量に枯死しているとか、明らかにひどい破壊状況ではなかったようにも思いますが。 散々お世話になった道路ですから、悪く言いたくありませんが、永続的に維持できる道路ではなかった、と言うのが現実だったのかなと思います。 なお、両俣小屋のホームページによれば、北沢峠から野呂川出会まではバスは走りませんが徒歩では通れるようです。 完全不通は野呂川出会から広河原までです。 広河原と北沢峠の間を歩いて通った時の写真が多少あります。撮影場所の正確な記憶はありませんが、地形から判断して、すべて、完全不通となっている野呂川出会と広河原の間で撮影したものだと思います。 2013年10月13日北沢峠から広河原へ(甲斐駒ヶ岳からの下山時) 同上 同上 2007年7月仙丈ケ岳からの下山時 2013年10月13日広河原のゲート前にて そして、笛を吹いた動画も残っています。 同じく2013年10月13日。ケーナを吹いていたら、後ろにカラ類の混群が寄ってきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.02 19:14:05
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