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久しぶりに親友に会うというのは、久しぶりに恋人に会うように浮き立つものであると、自分の部屋の掃除をしながら考えた。 ので、部屋の掃除中。私の部屋は尋常でない(ほど雑然とした)状態だったので。 進路とかそういう面では元は同じ地点に立っていた二人も今では進む道も何も離れていってしまったけど、そういうものを乗り越えてあたしと彼女は多くを共有しているし、一年あわないでいても昨日会っていたように話が尽きないのは本当にウレシイ。 あたしがイギリスにいるときはイギリスに来てくれたし、あたしも名古屋まで行ったりして。 二人で旅行も行ったり。(一番思いで深いのは韓国一周二人旅(笑)。荘旅館と呼ばれる旅館とホテルの中間みたいな比較的安価な宿を取りながら二人で延々と韓国廻った(笑)。) 似たもの同士だし喧嘩もしょっちゅうするけど、あたしのすること、書くことに関して、誰がなんと言っても気にならないでも、彼女がなんていうかはいつも気になるし、彼女には絶対アホだと思われたくない。 ライバル心見たいのももちろんあるし(っていうか、あたしがいかなるときでも無関心でいられない相手であるし、相手もそうである(断定))。 如何せん生意気同士なので(笑)、時には死ぬ程イライラしたりむかついたりするんだけど、でも最終的に結局は昔のあたしが一番感じやすい時期を過ごしていく中で、一番ハートに近かった人。(近すぎるので時々微妙(笑)) そんな人。 ちなみに、仲良くなった本格的なきっかけはやっぱり本だった。 合宿かなんかの時に、海見てあたしが三好達治の Enfance finie (海の遠くに島が……、雨に椿の花が堕ちた。 鳥籠に春が、春が鳥のゐない鳥籠に。 約束はみんな壊れたね。 海には雲が、ね、雲には地球が、映ってゐるね。 空には階段があるね。 ってやつ。)思い出して、それを口に出したのよね。(うわああ。如何せん気取ったいやなガキだったのよ。そういうところでも北村薫の円紫師匠シリーズの「私」に激しく共感しちゃうんだなあ。) で、あたしも言ったとたんにしまった!と思ったのよね。 したら彼女があっけらかんと 「あ、三好達治。あたしもその詩暗記した(笑)」といったのよね。 それが始まり。 友情のはじまりって恋のはじまりみたいなもんですよね。 卒業を控え芥川龍之介についての卒論の準備に励む「私」。 そこへ、恩師の加茂先生の紹介で出版社でアルバイトをしないかという話が舞い込む。 成り行き上、引き受けた「私」はそこで生前の芥川を知る大家の老作家から 芥川は 『六宮の姫君』はビリヤード、いやキャッチボールのようなものだ と、いっていたという話を聞く。 芥川の言うキャッチボールの意味は? 菊池寛、佐藤春夫、等の当時の文壇のメンバーとの交流などを元に真相に迫ろうとする「私」。芥川の思い、人間関係というものの哀しさ、もどかしさに思いを馳せる「私」。 さて、その親友(先日の日記参照)は前にもいった通り本好き仲間である。 ので、会うたびにとりあえず「最近何読んだ?」から始まる。 (あっちの方は現代文学(コンテンポラリー)に強いが、あたしの方は昔の本に強いという違いがあるが) ので、あたしが長年言いたかった「このさ、シリーズの「私」ってさ、あたしを感じるんだけどあなたにも似てるよね。」という発言に対する返事は「今頃読んでるのこれ?」だった。 余談だが、あたしはついこの間まで 高村薫と北村薫を同一人物だと思ってた。 一字違いに気がつかなかったんだよね(またでた。勘違い大魔王)。 ので、マークスの山とかも読んで「すげえ作風がチガウ!! ハードボイルドまで! 懐の広い人だ!!」と感心したものだが、作風がチガウのは当り前だ。 ので、某BookOffでその二人が別人ときがついたときには、うおおおお。と悟りにも似た気持ちになったものである。 それはともかく、 ベタだが、これってこのシリーズ最高傑作だと思う。 っていうか、普通に傑作だと思う。 人に自分がよかった本を「読んで読んで」というのは難しいが、少なくとも文学系の学生であった人やもしくは単に本好き(近代文学好きだとなおよし)のひとなら絶対感動する。感動? いやそんな言葉よりも、本に対する愛情が改めて堰を切って流れ出てくるにちがいない。の方がふさわしいかも。 あたしはこれを読むたびに、 何故か本とは全然関係ない場面なのに、宮部みゆきのパーフェクトブルー(こっちも、良い本。すごい好き。)のラストを思い出す。 「進也君、お兄さんのこと憧れてた?」 「ううん。」 「じゃあ、尊敬してたの?」 「ううん。憧れても尊敬もしてなかった。 ただ、大好きだったんだ。 それじゃおかしいかな?」 「ううん。それが一番いい答えだと思う。」 とかいう場面。 なんで? う~ん。本って、立派なものとか高尚なものとかじゃないんだ。(別の読んだからどうとかは思わない)。でもこんなに面白い~。大好きなんだ~。と夕日に向かってクソ恥ずかしいことをつぶやく中学生みたいな気持ちになるから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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