さきほどから(4/2午後7時半から)、あのホリエモンもゲスト出演してNHK総合で新番組「日本の、これから」という三時間の討論番組をライブでやっている。料理をしながらちらちら見ているが、貧富の格差がひろがるいまの社会について、賛否を視聴者に問いかけそのアンケート結果を画面に出したりとなかなか工夫している。この問題はあとでもまた触れるけれども、真剣に考えなくてはならないものをいろいろと含んでいる。後半は用事ができてしまい見なかったが、貧富の格差について視聴者の回答は「イヤだけれども仕方がない」7500人、「問題だ、許せない」5500人、「認める」2000人という順位だった(数字は記憶に基づくものでだいたいこのような割合)。ホリエモンなどは(予想通り)「認める」だった。企業のおよそ75%が導入する成果主義についても討論が交わされた。入社数年目、公認会計士の資格を取り28歳で取締役になった電機メーカー社員のケースがビデオで紹介された。同期入社組の倍の年俸をもらう。労組幹部や大学教授、女性起業家などNHKらしいバランスの配慮でゲストがならび、一般参加者もそれなりに多彩にあつめている。しかしながら、問題の所在はいっこうに鮮明にならず、討論はフーコーの振り子の如く揺れ動きながら次第にある一点へと収斂してゆくようにみえた。その一点とは、いつものごとくこうした状況そのものを「不可抗力な時代の流れ」と片づけてしまう空洞の点なのだろう。問題のありかははるかに規模もおおきく、深刻なものであるはずなのだが。執事さんがコメントで指摘される村上龍の『愛と幻想のファシズム』をわたしは読んでいないので、わからないが、いま世界中を覆いはじめているものの正体が、「優しいファシズム」「やわらかいファシズム」とでもいうか、とにかくファシズム=全体主義と呼んでいいものであるとわたしは直感している。それらは雇用関係や貧富の差というところに現れているだけでなく、生活のあらゆる部分に滲みだしているのではないか。そしてそれはきっと、われわれの文明そのものの根底のところにどす黒く存在し急速におおきくなってきているものなのだろう。年間3万人の自殺者をつくり出す社会がまともである訳がない。せっかく書き出したので、以降、何回かにわけて考えてみるつもりです。( updated 2005.04.03 01:20:36)
┌|∵|┘