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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2015年04月05日
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 エスカラス (ジュリエットを見て)そなたの方は?


        田中宏輔「ロミオとハムレット。」より


   *


  
 新説「ロミオとジュリエット」


 あれから二か月後。キャピュレット家とモンタギュー家の和解。

 若い二人の壮大な争議のあとの二か月後。

 森の中の洋館。バスタブ。湯気。石鹸の甘い匂い。そこに男女が裸で―――。

 ふっと、顔がアップになる。

 ジュリエットは言った。「偽装自殺・・・うまくいきましたわね。」

 ロミオは言った。「そうだとも。」

 ジュリエットは肯いた。「あん。そこ弱いの。」

 ロミオは、青臭い詩の台詞よりもさらに巧みな指づかいで、

 さながらハーレクインの描写のように、

 女の隠された秘湯を責め立てた。うほっ。

 原始人みたいな声でロミオは、筒井康隆した。

 ロミオは言った。「よいではないか。よいではないか。」

 (しかしその野性的な様子が、ジュリエットに火を点けるのだ。

 二枚目でナイーヴ。だのに、野性的な男というギャップに。)

 ジュリエットは悶えながら言った。「でも、そろそろ戻りますか?」

 ロミオは言った。「そうだな。そろそろ、金も欲しい。」

 ジュリエットは笑った。「―――でも、棺桶を運ばれる時は、どきどきしましたわ。」

 ロミオは肯いた。「・・・生きた心地がしなかったな。」

 ジュリエットは言った。「あん。いまは――別の意味で・・・」

 ロミオは屹立した騎士の剣のようなものを、突き立てた。

 頭の中に今日もまた、ささやくような声が聞こえる。

 ・・教会で神に祈った時、僕は本当に死のうと思っていた。

 ジュリエットと。もうそれ以外に道はないと。

 心中。しかしあの時、われわれの元に、悪魔が現れた。

 おお、若いお二人さん、そんな運命を選ぶなら、どうです、

 ズルい話聞いてみやしませんか。巧みな話術に、にこやかな笑顔。

 悪魔は、自殺を偽装して、隠れろと言う。万事こちらにおまかせあれ。

 睡眠薬。そしてロミオとジュリエットそっくりの蝋人形。

 驚く僕に、悪魔は言った。なあに、こんなの、

 死ぬお二人さんの苦悩に比べれば軽い仕事で。

 しかし、と僕は聞いた。お前に何の得がある? 

 いえいえ、得はありますよ。二ヶ月後にね。

 ロミオは果てたあと、ジュリエットに言った。

 「・・・あれはどういう意味だったのだろう?」

 ――二ヶ月後、両家にロミオとジュリエットが現れた。

 あれは偽装自殺だのと、言いながら説明するが、

 身振り手振りで真剣に説明するが、この気狂い野郎めと、

 ぼこぼこにロミオは殴られ、ジュリエットはあやうく犯されそうになった。

 二人は路頭に迷って、教会へ来た。

 そこに、悪魔は、はじめからわかっていたように言った。

 「ああようやく来ましたか。ああ、ひどい目に遭いましたね。

 お可哀そうに。」

 ロミオとジュリエットは怒りそうになったが、堪えた。

 本当に怒るべきは、何も話を聞いてくれなかった、あいつらだと思えたからだ。
 
 「・・・わたしはね、あなた方ふたりを、悪魔にスカウトしたいんですよ。

 どうです? これから、あの嘘つきのキャピュレット家とモンタギュー家を、

 破滅させてやりませんか。親なんてもういらないでしょう。あなた方、

 ふたりは愛し合ってる。愛のための聖なる戦いだ。どうです?」

 悪魔は、とても残酷に笑った。

 「・・・悪魔ってのはね、本当は天使のことなんです。

 どうしてわたしが、こんな見た目をしてると思います?

 それはね、本当に心があるからですよ。心があるから、

 外面なんて気にしない。そういうことですよ。」

 でもしかし、親を破滅させる、親殺しをするというのは――。

 悪魔はけたけたと笑った。

 「じゃあ、あなた方は死ぬんで? それで、一切何の恨みもないんで?

 でしたら、どうしてここへ? 人がもし、親や子というなら、

 人がもし、愛だの平和だのと言うなら、どうして、

 お二人は泣いてるんで? 辛い人生の場面に立つんで?」










最終更新日  2015年04月06日 08時41分37秒
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 公園でも

 吹き出しちゃったよ。

 あまりにえげつなくってね。

 フホッ。



        田中宏輔「100人のダリが曲がっている。」より


   *


 
 家庭の中のあまりに情操すぎる教育


 「うさぎさん可愛いね。」とお母さんは言った。

 「うさぎさんかえして、うさぎさん、かえして。」

 うさぎさんをいじくりながら、お母さんは言った。

 「でも、こんなうさぎいないからね。」

 えぐっ!

 子供の夢、全面否定!

 「それに、こんなに簡単に、

 いじくられたら、すぐに、

 矢で殺されてしまう。」

 どうして殺される前提の話。

 「おかあさん、おかあさん。

 いつものうさぎさんごっこ!」

 「・・・はいはい、うさぎですよ。」

 めっちゃ、やる気ない!

 「・・・うさぎさん、どうしたの?」

 「――おとうさんの給料が少なくて、

 お母さんと喧嘩してるのよ。」

 どうしてそんな舞台設定のうさぎ!

 「安月給! 甲斐性なし!」

 「・・・うさぎさん?」

 急にうさぎさんが、うずくまったのだ。

 「いま、ドメスティックバイオレンス中。」


  






最終更新日  2015年04月06日 08時35分33秒
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 みんな 考えることが 

 おっくうに なったので

 頭を はずして

 かわりに 肩の上に

 鳥籠をのっけて 歩いてた




        田中宏輔「鳥籠。」より


   *




 KAMOME STUDIO「いずうさ、今日はちょっと白鳥でやってみる。」


 鳥でいえば白鳥、

 オハヨウゴザイマス。


 なんだか近頃、

 アメリカン・スクールで、

 モオツアルトばかり、

 聴いてた頃を思い出す。


 アド・バルーンなんだ、

 あたし。帰国子女のいずうさ。

 (アメリカ? あれあたしの庭よ。)


 光の交響曲と、

 渦巻ける鳥の群れ。

 そして仮想人物のパニック。


 ・・・鳥で言えば、

 かもめの奴がなんか言ってる。

 三文オペラ。

 永遠なる口笛。

 あの人も飽きないね。


 ・・・鳥で言えば鳩の顔した奴が、

 スマートフォン覗きこんでる。

 「(それは餌じゃないぞ。)」

 「(それは豆じゃないぞ。)」


 やれやれ、馬鹿だからわからない。












最終更新日  2015年04月06日 08時28分05秒
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 ちっとも

 鳴きやまなかった


 だから、ぼくは

 コンパスの針で刺してやった


 ノートの上に

 くし刺しにしてやった


 そうして、その細い脚を

 カッターナイフで刻んでやった



        田中宏輔「虫」より


   *



 虫のくせに・・・



 この街はいつも何処かで涙と溜息を、
 
 明晰な文字の中に置いてゆく。

 それが白骨なのだと。恐ろしい様相で右へ左へ、

 上へ下へ。しずかに崩れおちてゆく嘘の感覚は、

 途切れることもないまま、雪が降るのを見ている。


 ――また問題が起きた。計算結果に問題が起きた。


 「・・・この街でまた誰かが死のうとしている。

 肉や皮膚を腐らせようとしている。」


 (――虫が・・・)


 この街はいつも、結ばれないまま捨てられる。

 冷えた血は、不幸や生きる叫びに粘着く。

 それでも書類は作成され、記入洩れがないかチェックし、

 判子が押される。

 
 誰かが言った。

 「蛇口からはじけ出す、ビー玉なんだよ、本当は。

 ある崖上の感情で、痩せた忘れえぬ非凡な蝋燭の揺らぎ。

 壊れやすいんだよ。でも、光と音は、それを水にする。」

 
 「・・・この街に、陽が射すと、風が動きだす。

 葉の動きとして。無数の瞳が、道路を。看板を。

 標識を、思い出す。でも、きらきらとした光を、

 面倒臭いもののように、必要のないもののように、

 見つめながら、歩いてる、歩いてる、人、人――」


 (虫のくせに・・・)














最終更新日  2015年04月06日 08時16分44秒
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 ダメ?

 ダメかしら?

 そうよ。

 牛は牛の顔してるし、馬は馬の顔してるわ。

 あたりまえのことよ。

 でもね、

 あたりまえのことが面白いのよ。


        田中宏輔「死んだ子が悪い。」より


   *


 遠い目をして君は笑う、
 そこは紙の中の白い曠野で

 I have far-off eyes, and you laugh,
 There is white wasteland in the paper


 かすかに冷たく、あるかなきかの重力にやられて、

 僕は苦悩と喜びを再生してゆく――

 やたら、かなしい夢をみたよ

 めちゃめちゃ胸を掻き乱されるんだ

 Getting nowhere......

 Getting nowhere...

 やたら、かなしい

 Getting nowhere......

 Getting nowhere...

 集中できなくて、女の顔を思い出す

 ほら、何か似てる

 待ちぼうけの街で夕陽の燐寸で僕は胸に火を点ける・・・

 待ちぼうけの街で夕陽の燐寸で僕は胸に火を点ける・・・・・・・












最終更新日  2015年04月06日 08時12分00秒
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 そして、わたくしは? わたくしは

 、、干からびて死んでいく

 ウミガメの子が見た

 、夢だっ

 た

 。



        田中宏輔「亀の背に乗って帰る。」より


   *


 ひと雫ずつ滑稽に水が落ちる

 夢なしの底なしの穴



 わたしだけがわたしだけが 痛い


 わかるはずも――――――










 







最終更新日  2015年04月06日 07時59分55秒
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 天国は激しく求め合う。

 天国は激しく求め合う。

 七月の手のひらのなかで



        田中宏輔「こんなん出ましたけど。」より


   *


 あめのひは、かさをこわす。
 
 ねこと、つめのとぎあいをする。

 おいで、おえおえ、うー。


 おかあさん、しらないのね、

 おっくれてるわ、

 これが、いまどきの、もだんよ。

 
 あめのひは、ごりんじゅう。

 ねこと、ごりんじゅう。

 おいでおいで。


 きょうは、まんどらごら、と、きすしたい。

 ひっこぬくと、かえるのかおになる。

 そういうのが、もだんよ。


 かんちがいしてる。

 それはちがいます。

 いいじゃない、あたし、そうおもうんだから。


 あめのひは、らせんかいだんのぼる。

 ねこは、こうもりになる。

 おいで、おえおえ、うー。


 おばあちゃん、あの、ねこ、

 あなたににてるのよ。

 いつねこになったの、おしえて。




 







最終更新日  2015年04月06日 07時54分52秒
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さて、さて、さて
            (キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ1』2、三角和代訳)
ところで、
              (ジェイムズ・P・ホーガン『造物主(ライフメーカー)の掟』小隅 黎訳)
きみ
                     (コナン・ドイル『ボヘミアの醜聞』1、阿部知二訳)




                       田中宏輔「HELLO IT'S ME。」より   


  
   *

 
 それなりに情けなくて

 煙草臭い息を吐くたびに

 運命というものを笑いたくなるよ

 タール

 (僕はそうやって逆さづりになった、

 自分を見てるんだ。)

 濃厚な匂いのエッセンス・・・・・・・・・

 ―――懐かしいオーデコロン。

 「砂」と「水」と「果物」で

 出来ているみたいに

 タール

 (声を立てて笑ったように聞こえた一瞬)

 高速回轉する星

 引っかかりなんてないんだ自由なんだ

 突き抜けるしかないんだ回り続けているしかないんだ

 ――それが無音の世界の透明な微塵になることでも、

 魔法の終わりの訪れでも、そしてそれが僕のいのちの終わりでも、

 僕は最後までときめく色合いの演技を続ける。

 ・・・・・・・・・声は届いているの

 ・・・・・・音楽は届いているの

 ・・・・・・・・・君なの

 ・・・・・・ねえそれは君なの






最終更新日  2015年04月06日 07時49分15秒
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もうひとつの昨日にいるのかもしれない。
                  (ジェラルド・カーシュ『ブライトンの怪物』吉村満美子訳)
同じ夢を見ていたのだろうか?
                 (イタロ・ズヴェーヴォ『トリエステの謝肉祭』8、堤 康徳訳)




                       田中宏輔「YOU TAKE MY BREATH AWAY。」より   



  *



 洗濯



 人生の大半は退屈なこと

 わたしたちはあきれた

 そこで靴下を脱ぎ

 蒸れた足のにおいをかいでいる

 犬みたいな貧しさ


  人にやさしくする

  人に――


 思う以上に

 わたしたちは

 わたしというエゴに

 苦心惨憺しているらしい

 名前を無数に連ねた

 引用の海

  
   肖像は水に浮く
 
   帰れない海のくらげたち














最終更新日  2015年04月06日 07時44分36秒
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しきりに電話が鳴っていた。
                        (コルターサル『石蹴り遊び』28、土岐恒二訳)
まだうとうととしながらも
                 (プルースト『失われた時を求めて』囚われの女、鈴木道彦訳)
わたしは受話器をとりあげた。
                (ボルヘス『伝奇集』第I部・八岐の園・八岐の園、篠田一士訳)




                       田中宏輔「カリカリ・トーストと海亀のスープの物語。」より   


   *


 
田中君は青ざめた顔をして、
                   (井伏鱒二「黒い雨」)

前の穴を吉沢にこねまわされながら、
              (日比盛一「女教師隷従の契り」)

音楽の聞こえてくる、静かな、悲しい夜が、
         (アディ・エンドレ「新詩集」訳:原田清美)

あたふたと家を飛び出し、
                (高見順「故旧忘れ得べき」)

ただ北風が運んだ白雪に包まれた姿は
                   (村田辰男「母の死」)

さまよいはじめた耳の奥で
                 (岩木誠一郎「しろい月」)

女生徒たちが顔を近づけ話しかけてくる
                   (筒井康隆「秒読み」)

・・・(それ)は
                     (安土萌「水底」)

黒い巨大な網のような眠り
 (村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」)









最終更新日  2015年04月06日 07時38分24秒
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