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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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AVEコラボ作品

2014年12月24日
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カテゴリ:AVEコラボ作品




 こと、こと、、ことばの火をもった(尖り凍り

 (セイケイし、

 ほおら 濁ったいろのささくれにも絵をかきましょう

 「

 どうでもいいピンセットが銀色に、光る

 かんじんかなめ、の手前味噌 

 双眼鏡をつとめて忘れずに、ここからは

 」と「、の、

 」と「、の
 
 くまの子こがれて、ころげる

 ひぃふぅみぃ・・・エクソシスト、とか・・・

 ひぃふぅみぃ・・・ツチケ色の肉、とか・・・

 とぉ、

 の、お出ましかなうまで

 デンジャラス


  ○  ○  ○


 ともすれば十二月は、あわ立つ。

 家の端々で街の橋々で、ゆきかう雑事がしゃべくりくりこしごとに蝶番とか、かにやらの人の

「手芸の本を借りたんだけどさ、中ひらいたら、エロ本だった」諍いごとに何やらの耳立てすら

も口惜しいほどの時すべり。滑り台にのぼっている、いずうさ。それを見て、こらどけ、とばか

りに、かもちゃん滑りだして、いずうさ、ムッ。かもちゃんを蹴る! かもちゃんを蹴る。十二

月デンジャラス。しきりに呼びかけられる闘争本能。「いやあ、胸おおきいかと思ってたら、も

うそれがバストアップブラ」うす紅いろ胡蝶ランのうつらうつらの花影に、ぐりぐり競り合おう

とジュラ紀の口蓋がふんぞり堕ちる。破片だ。ジ・エンドのあらゆる意味、痙攣。錠剤を噛み砕

くみたいに、何処へだってゆくがよいぞという自由の瞬間。カフェオーレいろから脱落した、冬

枯れの庭。ハッシ、ハッシ、氷空にかかえられ、大掃除はスピード勝負だ。やがての「おつかれ

さま。」(ドンブラコ)手とコトバとを白い吐息にこすりあわせ部屋にもどると、hiroyukiがビ

ギンの「オジー自慢のオリオンビール」を弾いている。歌っている。そしてかもちゃんビールを

呑みながら、あり乾杯、とか、オリオンビールと合いの手を入れる。温かな空気に心がしどけた。

じゅわじゅわ、した。先程のことは忘れて、一緒に飲んだ。踊った。かもめスタジオの庭ぎわで

は、この夏のドラゴン達も氷河のなかに鎮静化したようだ。夜の闇の中に目覚めよう。幾歳も、

かえりつかないでいる。幾筋も、ただ銀河をしどけなくコトバが哭いた。十二月はともすれば、

想い出もあわ立つ。蝶のように、ゆめを羽ばたいてイノチの蝶番をいきようか。

 ともかくも、師走。あわてどこやの兎さん。

 デンジャラス


  ○  ○  ○


 風に、ゆらいでるのは、

 まわりはじめる引力、はてしない作業、虚無を掬う、

 きっと定期便から、外れた、、しろいフォト/

 いつからか窓は

 、

 

 


   赤い戦車が、およぐように喘ぐ

   “居場所もろとも失った個室”

   “悲惨な写真の刺青”

   止まない黒への傾斜をみているだけで、エンドレスな境界

   ( 日本海なら、お兄ちゃん、なんつってもカニにゆくでしょ。

   ( カニにゆきたい、道楽に行きたい。

   ( オレは遊びにゆくわけではないんだ。

   ( カニだ、やったあー、カニカマじゃあないのだぞよ、

 ( しっかり防護してゆくんだぞ。

   ( はい、それはもちろんそうです

   ( 温泉で雪見酒、いいわね、ママたちもゆこうかしら。

        つくられる安全神話がさみしくて

        紅い茹でダコと皿に今さらに熱くもられた、夜のうみ」」


   ――オジー自慢のオリオンビイール  

   ――オジー自慢のオリオンビール


  ○  ○  ○
   

 いつから窓は

 、・・・という言葉が、・・・・・・という言葉が、

 ゆ・・・ゆ・・・・・・ゆ・・・・・・・・・ゆ・・・

 き・・・・・・い・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・


  「サイバーアタックに貫通される、

  白い流血が、社会の動脈をのみこんでゆく。


  (ぐんにゃりした自転車

  (溶けて固まった屋根瓦

  「幾千年続いてきたさまざまな国や民族、言語、

  文化が砕かれてしまうかも知れない戦争。


  (テロリストの脅威 

  (君の安全保障の嘘
  

 いつから窓は

 、・・・という言葉が、・・・・・・という言葉が、

 ゆ・・・ゆ・・・・・・ゆ・・・・・・・・・ゆ・・・

 き・・・・・・い・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・


  恋のおくりものは

  ね、なに?


   ――オジー自慢のオリオンビイール  

   ――オジー自慢のオリオンビール
  

  ・・・蝋人形みたいな気持ちが、少し、スッとする、

  呻きながら息絶えてゆく動物や植物のような気持ち、

  サイレント・ナイトが、あふれでて止まらない

  言葉が、とくん、とくん、心臓に波うってる


   ――オジー自慢のオリオンビイール  

   ――オジー自慢のオリオンビール
  

  ほら、クリスマスィーな二つの色が、

  ツリイィする、めろめろねチョコ、ふらふらなワイン、

  カクテル、子供がいて、年寄りもいて、

  幼くても編まれて、ケーキを食べて、もう二十世紀は、

  二○一四年も終わって、

  ゆく、(もどかしくって

  (でも、セイケイして

  背い高のっぽの、毛糸のマフラー


   ――オジー自慢のオリオンビイール  

   ――オジー自慢のオリオンビール
  

  大人になっても、

  (アダルトチルドレンようこそ!

  この唇の赤さ、かわらないよ

  って、いっても、

  (めまぐるしい情報に数知れず眼窩をひらいている僕等に、

  それがわかるのかさえ随分と疑わしいことですが、)


  ラップランドのゆめの星と

  みどりの樅の木


   ――オジー自慢のオリオンビイール  

   ――オジー自慢のオリオンビール


   ・・・うぃっく。

   ・・・・・・うぃー。

















最終更新日  2015年08月04日 11時05分54秒
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2012年04月16日
カテゴリ:AVEコラボ作品
安田さんの前駆詩「ネリネ」は、嬰児遺棄という難しい題材を取り上げていて、
izchanはストーリー作りが精一杯で、
社会問題への切り込みにも詩的表現の練りにも到りませんでした。
この未熟な状態から、
塚元さんは内容だけでなく新しい手法を導入して表現力を高めています。
結果、詩表現では‘音韻’と‘自動筆記’が注目される詩に仕上がりました。




                      安田 勁さん「病める花々」

                      塚元寛一さん「灯台」

                      izchan「不思議の泉」









              *  *  *






    『ネリネ』 安田 勁、塚元寛一、izchan


 *


 ああ、売れのこったケーキの話をしてもいいかい? ほらあの、クリスマスの・・そうそう
、クリスマスケエキ。あれ、捨てちゃうんだ。でも、何も出来ないんだよ。次の日になった
ら、大特価とかいう感じにするかも知れないけど、捨てちゃうんだ。こう、なんか身につま
される感じで切ないよね。煙草をすいたくなるよね。ベートベンとか聴けない感じだよね、
ほら、泣いちゃいそうだから。下らないことだけど、僕にとってはすごく重要なんだ。ケー
キっていう顔が固有名詞みたいになっててさ、うん、ごめん。こういうのってセクシアルハ
ラスメントとか言うんだよね。さみしいよね。なんだかノイローゼになって機関銃を味方の
兵士にドンパチやってしまう可哀想な感じだよね。うまく言えないけど、ガッツ!だよね・・
ケーキって好きかと言われたから、「いや、嫌いです」と言っちゃう人の感じだよね。空気
読めてないの。でも、正直なことって、外から見たら何もわかってないことで説明できるヨ
ネ。ああ、売れ残ったケーキはゴミ箱にすてられて、ゴミ収集車が持って行くんだ。いや・・
まさか、人の顔に不法投棄なんていうパイ投げ的様相はできないだろう。ああ!でも、そん
な日にケーキを作るケーキ職人の気持ちって知れないよね。プロじゃないよね。プロだった
ら予約しか承らないとかいうべきだよね。うん、ただそれ言いたくてこんなに長話してしま
った。ごめんね、つまらない話だったろ?・・でも、ぼくはアメリカンフットボール嫌いなんだ。



                           『売れ残ったケーキ』より


 *


     ――――――ネリネ、若草の少女。

    ......ネリネ 首の付け根が吊り輪でさ 

   大きなまっすぐたった回転車で吊り下がっている座席

水平に両腕を伸ばして自分自身を支えている『ネリネ』

     ......ネリネ 動揺してる赤信号を無視したみたいに 

   塗り絵で誤魔化そうとしてる

でも本当の所・・気持ちいいだけで、情報が伝わってない『ネリネ』

       ...ネリネ 花の風を見つけよう、――毒舌にカタルシスを覚える、

 隣に座った私服警官みたいに、中吊り広告が、時計をなくして・・る・・・

            4歳のやんちゃな瞳をかがやかせ。

      4歳の ほんのぺえじをかぞえて るようさ『ネリネ』

        ......ネリネ 蚊取り線香が バブルと円高好景気を忘れてる

         野のやさしい歌にスキップする、


      “体温計が揺れて た”


     ――――――ネリネ、陽なたの小説。

     (体温計の水銀を振り下げながら、

            春に生まれた子。

       いま黄金の光につつまれ、

           愛の花をちっちゃな手にかざす。


     “確かに三十九度を示している。体温計

        ――たとえばすぐに寒暖計は忘れ去られた”



いつも、魔法の小箱にはどれか1篇の詩。

      ネリネはきっとスプーンですくいとられた

        アイスクリームみたいだ――


 *

       
  nerine nerine

    nerine nerine


5年前の、映像。

  「日はめまぐるしく変化した。日曜日の商店街のホースが夏の昼下がりの虹になる」

  「トンネルに入ったような気持ちになるアーケードは、飛行機になる」

  nerine nerine

    nerine nerine

おお! 翳りの呪文は、私の氷砂糖・・。

    「電気で犯されたように見えるだろう、スパゲッティーに見えただろう。」

    「小綺麗な箱へ入って・・古い細胞が鱗のように落ちて行った。」


          ............ネリネ  浮遊 する


 「とけない恋のクリスタルはそれでも甘くて。(あなたがくれるケーキの味は何か?)」

春ジョオンの藤いろがやけに切なくて。(・・てのひらの皮が柑橘系の馥りを隠している。

)」・・・nerine・・・・・・ネリネ・・・・・・・・・


     ――――――ネリネ、若草の少女。


幼いシークレットLOVEのさいころ。幼いシークレットLOVEのさいころ。

 幼いシークレットLOVEのさいころ。幼いシークレットLOVEのさいころ。

振ったのは私だったはずなのに、振ったのは私だったはずなのに、

振ったのが彼だったなんて、、、皮肉。

    ( 痛まないわけ


  粗い石で造られた塀、塀にぶつけた膝が透けてゆく


       ( 傷まないわけな


    「な・・」と言ったのは――何の為だったんだろう。・・

       
  nerine nerine

    nerine nerine

          ( 悼まないわけない

  nerine nerine

    nerine nerine


      「一生、悼むよ・・・」


幼いシークレットLOVEのさいころ。

(でも

ほんとうに転がしたのは

ほんとうに転がしたのは・・・、ネリネだった。


     靴下をはいたnerine、まばたきをするnerine、頭の中に各駅停車するnerine、

    頭と全体とのバランスがおかしい『ネリネ』


       ――「こんな名前をつけようってぼくが言ったんだったっけ?」


 *


 「名前なんだけどね、ネリ      ネ、あ、いや、智花《ともか》

  っていうのはどうかな?ん、なんの?って…子どもの名前、お

  んなのこなら。…いや、気が変わったってことじゃないんだ。た

  だ仕事で想定外のことが相次いで対処に追われていて余裕がなかっ

  たというか、取引先に謝って回ってる最中だったしとにかく話をす

  る時間がなかったんだ。そのうえ、持ち山売却の話で親戚からひっ

  きりなしでね、うん、それでケイタイ切ってて。ゴメン。君の気

  持ちも考えなくて。それがね、今日、仕事中にフシギなことがあ

  ってね。突然、パソコン画面に『ネリネ』っていう詩が、うん、そ

  うなんだ、詩が現われてね。はじめはネットの混線かと思ったんだ

  けど、どの画面にしても現われるんだ。それで仕方なくぼんやりそ

  の詩を読んでいたら、君のことが想われて胸が熱くなったよ。そ

  のとたん、『ネリネ』は消えていったんだ。」


     「それとさあ・・・」


         “体温計が揺れて た”


        今日 ネリネを/駅のホームに捨てました/もう二度と

        会う事の出来ないあなたに


        過ちを犯し/それを許せないまま/言葉は落ちて

        あらぬ方向に跳ねてゆき


        風に散りゆく花弁を/そっと数えながら


        コンドームに/穴をあけたのは私だった/さよならネリネ

        もう二度と 会う事の出来ないあなたに


 *


 人生に疲れると、よく公園へ行くんだ。遊具があって、たとえば滑り台とか、ブランコとか、・・まあ
、砂場がある公園ね。木々もある。わりと何処にでもあるけど、都会なんかへ行くと木がないマンショ
ンの公園なんかを見たりしてさ、恵まれてるっていう気もする。恵まれてる公園とかいう、こうして考
えてるとうさんくさいベンチで、僕は道行く車を眺めてる。人を眺めてる。――遠い記憶の切れはしに
、在りし日の僕がいて、小さかった僕は何を考えてたんだろうかと思う。いつか考えるのにも飽きて、
ぼんやりと空を見てる。仕事で疲れたなあ、と思う。ああまたこれから夢を追いかけるのか、と思う。
そしてその挙げ句、人のことを嫌いになってゆくのかと思う。僕はまだ僕を知らない・・多分、人生が長
引けば長引くほど、人は思いこみの中で生きるんだろう。でもこの公園は知っている。何一つ変わらず
、君は無知だと。何故なら、人の心は眠らない・・五官がたとえ閉ざされても、不安と孤独や、ある単純
なイメージのようなものは生涯ずっと消えることがない。そして・・ゆるやかに――そう、ゆるやかに・・
力尽きたように蒼ざめて太陽が沈んでゆく。耳を澄ませば消えてゆく鳥の声・・ひた狂うように鳴く蝉の
声。逃げ惑わずにはいられない!・・強すぎる風も、同じように目を瞑らせる。永遠に安らかな墓地に埋
葬されても魂が昇る!・・そんな、月の光と、僕との間に空がある。小さな浮雲がある。匂う花がある。
いつまでもびろうどのようにやわらかい感触がある。ああ、あてどもなく泣きたい人の住む町で――い
まは春、蒼い震えが森の奥のようにある、――永遠のアドレッセンス期を追憶させるこの孤独な町で、
心は影のように埋もれていた。僕はただ、色褪せた景色に・・蝋燭をまた一本――と・・灯す。



                                  『声』より


 *


     “確かに三十九度を示している。体温計

        ――たとえばすぐに寒暖計は忘れ去られた”



月波よせる草辺、ネリネのぶらんこ。

  幼いシークレットLOVEのさいころ。幼いシークレットLOVEのさいころ。

ゆめのなか。

  振ったのは私だったはずなのに、振ったのは私だったはずなのに、

絵本の馬は、虹色のつばさ。

  nerine nerine

    nerine nerine

 ほしのおはなし。


    ストーブの傍で、体温計が走ってる・・・

     「ねえ、シャンプーの最後って安物の電球みたいに淋しいのよ」

  nerine nerine

    nerine nerine

         ――いつも、魔法の小箱にはどれか1篇の詩。・・








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最終更新日  2015年08月04日 11時47分07秒
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2012年03月26日
カテゴリ:AVEコラボ作品
 [以降、説明と共に短い詩が入ります

  
 18年前ここに両親が居を構えたのは裕福だったからではない。むしろその逆だった。蓄

えは保険を解約しその積立金を合わせても頭金がやっとこさというところだったし、家のロ

ーンを組むことなどかなうはずもなかった。当てたのである。からかい半分で訪れた第1次

開発のモデルハウスの1つが破格の値段で売りに出されていた。くじ引きだった。当たると

は夢にも思わなかった。更に幸運だったのは、勤務先がちょうど買収され肩書きだけは老舗

中堅企業の社員になったため社会的信用を得られたことと、会社の住宅支援制度を利用する

ことが出来たことだった。


  流れるフレーズ


 流れるフレーズは音感となって

 ほうき星になった

 たったらりー たったらりー

 なんとなく可愛かったので

 ヘイトス!



 「ドングリの林」まで徒歩7分、小学校・中学校まで各々徒歩10分と15分、コンビニ

前のバス停まで徒歩5分、駅までバスで東回り12分・西回り18分。モデルハウス通り、

両側歩道付き4メートル道路に接していた。日当たり良好な東南の角地。敷地60坪。建坪

36坪の木造平屋建て。築5年。施工は木造建築の大手建設メーカーのS林業。


  S林業取締


 わしじゃー

 そんな奴知らんけどわしじゃー

   ・・・じゃがいもはしわがれておるんですよ

 ワシ しっとるけ?

 知らないよ フフ

   ・・・肉団子みたいな体型

 わしじゃーと電話に出るって炊飯ジャーみたい

 彼言ってたけどホントダッタノネー

   ・・・じゃがいもは ほこほこ

 ぼけなす老人の

 茄子が甘くて好きな

 ぼくのおじいさん

   ・・・じゃがいも にくだんご なす

 梨はもっと甘い

 和紙におちた墨汁は黒い

   ・・・ぜんぶまぜあわせたら

   美味しいかしら
 
 でも透きとおる

 結婚式の案内、あたらしい身内

 ははは、いいよ、いいよおという、

 おじいさんのひびき


 
 数寄屋造りで屋根には油瓦がのっていた。クルマ2台分の屋根つきの駐車スペース。アカ

メガシの生垣。鉄製の片開きの門と門灯と郵便受けとインターホーン。門から玄関までの引

き込みの白い石畳が青々とした芝生に美しかった。庭木は若かったがサクラ・ウメ・モミ

ジ・キンモクセイ・サルスベリ・カナメモチ・ヤツデ・ユキヤナギ・ツツジなどが植えら

れ、奥座敷の前には小さいながらも石庭風の設えがしてあった。外の水道の蛇口は3箇所、

駐車スペースと前庭の芝生と裏の勝手口。


  マイホーム


 あたし達ここに住むのね

   ・・・そうだよ

 はじめてのお泊りね

   ・・・そうだよ

 ずっと幸せに暮らそうね

   ・・・そうだよ

 ヨボヨボになるのね

   ・・・そうだよ ふわあ

 実は保険金かけてるのよ 

   ・・・ばさばさ そうだよ

 話きいてないでしょ 新聞好きか

   ・・・そうだよ

 トイレで新聞読むのはジジイだ

   ・・・そうだよ

 あたしの顔は新聞かそれとも怪文書か

   ・・・後者で



 5DK(2間続きの和室と2間の洋間と居間とDK)の家。南向きの玄関、両開きの玄関戸。

3畳ほどのスペースに作り付けの下駄箱。つづくホールの正面には中庭を借景する嵌め込み

ガラス。玄関右手に、1間のクローゼット付きの洋間6畳の続き2間、窓は東と南の2箇

所。右手奥に、10畳の食堂のなかに2畳の畳スペース、掃き出し窓は東。更にその奥に、

3畳の(北向きの勝手口のある)台所と2畳の食料保管庫、窓は東。中庭の北側には、3畳

の脱衣洗面洗濯室と2畳のヒノキ風呂と1畳のトイレ、窓は北。玄関左手に、8畳の洋間と

サンルーム代わりの半間幅の縁側、掃き出し窓は南。左奥突き当りには、書院棚と床の間の

ある8畳には東南の半間幅の曲がり廊下、つづいて2間の押入れのついた6畳には雪見障

子、そして北側の3畳の納戸、窓は北、掃き出し窓は南東西。


  背伸びのあと


 いくつもきざまれた柱の線

 人工的な年輪

 彼の背が高くなっていくにつれて

 不意に途切れる

 急に天井をこえてしまったあ!

 化け物ダア!



 購入した当時はモデルハウスらしい意匠を凝らした内装に訪れる人は目を見張ったものだ

が、今では築23年経った建物そのものにもはや販売価値はなく土地の添え物でしかなかっ
  、、、、、、、
た。それでもそこに、わたしと、彼は住んでいる


  たくさんのどうしてがあります


 どうしてレストランでわたしに声をかけたんですか?

 どうして興信所で働いているんですか?

 どうしてそんなに新聞が好きなんですか?

 どうしてこの家にそんなに愛着があるんですか?

 どうして墓参りを欠かすことがないんですか?

 どうして俳句が好きなんですか?

   ――これから これから

   たずねたいことが たくさん あります

 どうしてバッティングセンターに行くんですか?

  君だって好きだろ。ほら、人殺し!」

 どうしていつも冗談ばかりなんですか?

  冗談のない男はマイケール、ズオオオダアーン!」

 どうしてウォーキングをしているんですか?

  そこに道があるから!」

  ねえ、教えて、どんな道があるの?」

   ――これから これから

   たずねたいことが たくさん あります









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最終更新日  2015年08月04日 12時10分16秒
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カテゴリ:AVEコラボ作品
  


 夢ヶ原ニュータウンは、推定人口6万人から8万人前後で、都市の人口集中を改善

する、田園都市構想、職場近接、地域コミュニティーの活性化を掲げて、古くからある雑木

林一帯を開発した都市の名称である。並びに、介護サービス、大型スーパーマーケット、な

らびに有名企業による工場の建設を総合したプロジェクトの総称でもある。

 鉄道会社が切り開き、・・ざっと数年で南向きのベッドタウンが出来上がりました。と言っ

ても、地域密着型の都市構想(反対者を黙らせるための方法だった、という向きもあるが、

)――その名残として、「どんぐりの林」という緑地が夢ヶ原ニュータウンの中央に位置す
                                               ぶな
るように建設されている。ちなみに、夢ヶ原ニュータウンのシンボルマークは山毛欅と、ど

んぐりがテニスをするような愛嬌たっぷりのイラストである。

 そのどんぐりの林にある、「どんぐりロード」は早朝から夜遅くまでジョギングやサイク

リング、マラソンする人で賑わう有名なジョギングロードで、この夢ヶ原ニュータウンの目

玉の一つになっている。その火付け役となったのが某有名ボクサーで、夜間照明に加え、交

番、また各種防犯グッズ、――さらにはハイテクの証とばかり、この街の者なら、誰しもが

知ってるとおり、人工衛星から位置確認し、万一の時には、ニュータウンが依頼した警備会

社がすぐ駆けつける。地方防犯の意識も高く、・・この街で出る犯罪者はむしろ刑務所か棺桶

くらいだろう、というのがこのニュータウンのジョークだ。

  *入居者はいまでも募集しています。お早めに!

 この「どんぐりの林」から北、駅に到るまで、瀟洒なマンションが立ち並んでいる。こち

らは開発ではなく、さしづめ再発見といった所か。元々は第1次開発されたままさびれ、小

さな庭付きの住宅が行儀よく区画に納まった街区だったが、バブルの折り、大手ゼネコンが

古くなった家並みを買収し、マンションに建て替えていたものに、スポットライトを当て、

数多くのIT企業や、個人で仕事をしている人達の応援するという名目で、価格の引き下げ

サービスを行い、また、都市プランナーがより都会にありがちな喧騒をシャットダウンしよ

うと、ここではレトロなトロッコや、電気で制御されたSLなどがバスがわりに走っている

。評判も上々で、それに目をつけた饅頭屋が、トロッコ饅頭、SL大福を売っているそうで

す。売れ行きも中々よいらしいですよ。

 ――「ドングリの林」の南部は高台になっている。ここは第2次開発で売りに出された所

謂お屋敷がやや古びて落ち着いた町並みを作っていて、ゆったりとした道路の街路樹フユモ

モもしっとりと景色に溶け込んでいる。農業や果樹園を残す、またそれを街と一体化させる

という無茶苦茶なコンセプトが謎の景色を生んでいる。

 小学生、また通行者には、桃をもぎ取ることは原則禁止とされている。ちなみにニュータ

ウンの自治会でも承認され、ポスターとしても配られ、認知度も高い法律の一つである。
 、、、、、、
 これを破ると、桃の祟りがくるぞお、とヨネさん他、イネさん、オネさん等たくましきお

ばあさま方が目を光らせている。ただ、鳥の被害がなるほどすさまじく、掃除の問題も含め

て、目の上のタンコブになっている。ただ、地域小学校に体験学習させられる強みもあり、

また、農業高校に実習もさせられ、農家のおじさんやおばさん達はちょっと嬉しそうだ。

 こういうコンセプトが、夢ヶ原ニュータウンのいたるところにある。

 [なお、デパート、スーパー、アーケード商店街、映画館、病院、銀行などがある、いわゆ

る消費者空間は、駅の周辺に集中しています。


 前述したように、この夢ヶ原ニュータウンはドングリの林が中心であり、コンパス

でぐるりと円を描く放射状的な図案になっている。ちなみに、市立図書館分館、市役所支所

、幼稚園、小学校、中学校、クリニックなどは「どんぐりの林」に隣接していてコンビニが

疎らに店舗を開いている。道路網は碁盤の目とはいかないが整備され、駅の北側のロータリ

ーを中心にのびた道路を市バスが走っている。

 駅の南側には大きなホームセンターがあるが、これは工場のためである。その前後に、ゴ

ルフ打ちっ放し、ナイター設備のあるテニスコート、いちじくの河井さん家ビニールハウス

などがある。え?・・何か変な描写入りましたか? 
 
 夢ヶ原ニュータウン! さて――その西向こうには、高速道路が走っていますが、もちろ

んニュータウンに住めば、完全無料。都市開発だの、福祉だのといって国家予算だの人気と

りだのといって無駄金ばらまくより、こういう所にお金を使うのが、国家のため、しいては

本当にみんなのための政治である、と市長さんが言ったからです。

 市長さん!・・更にその向こうには工場群がありますね。これうっさくてかなわんのですわ

、デリケートな神経にはこりゃこりゃ、たまらんのですわ。

 はい、わかりました――実にケッサク、この工場群をドーム状に、すっぽりと覆い、換気

設備として風車などを作ることに成功したのです。これには数多くの外国記者がやってきて

、たくさん取材していきました。やっぱりアイディアのある人は違いますね、こりゃこりゃ

。――このタウンには観光ガイドブックにも載っている名所スポットがある。高台をクルマ

で登ってゆくと一番奥まったところに薔薇園があるのだが、そこの薔薇の花びらとコラボレ

ートした芸術的な、斬新デザートの数々。
 、、、、、
 ばらのとげ――え、何だと思います、これ、実はチョコなんです。でもただのチョコじゃ

ありません。特製の機械で細かく刻んだチョコを、冷凍したもの、少し熱したもの、また常

温のものとを混ぜ、そこに特製のクリームを注ぎ入れたスイーツです。

 これらのメニューが、グルメガイドで紹介されてからというもの、観光客ならぬトンボ帰

りのあさましきわたし喰いしんぼう波状攻撃どすこい!が途切れることなくなり、薔薇だけ

じゃなくて、モモやブドウも使ってよ、というか薔薇いけるなら菊だっていけるだろ、とい

う新しいスイーツの企画持ち込みも後を絶たないようだ。

 またカルトクイズではないが、「夢ヶ原ニュータウン」の名前の由来にもなっている元々

の雑木林の所有者だった原家には薔薇作りを趣味とする当主がいて、その道楽の薔薇園を当

主がなくなったとき遺言より市に寄贈したものだったが、今や市のドル箱になっている。


 [ここに、紹介写真が数点ならびます。

 次に短い詩が入ります




  蝶の夢 



 みの虫は蝶の夢を見ている

   そして蝶はあやとりにならない程度に

     繭を信じている




 彼の家は、「ドングリの林」を少し下ったところにあります。


 [ここに、彼女の生家、病院の写真が数点ならびます。

 次に短い詩が入ります




  あさがお


 あさがおは昼になるとうりさね顔になる

   うりさねって何? うりさね? 

   毎度おなじみうりさね交換です・・


 むっとしていると

   うりさねの野郎は、売られた
 
   売られたうりさね、売られて泣くな

   売られたうりさね、売られて泣くな

 たねがぶら下がって

 わたしたちはモンキースパナをもって

 あたらしい工事を始める









最終更新日  2015年08月04日 12時12分41秒
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カテゴリ:AVEコラボ作品
  

            ラ・キュイズィーヌ・フランセーズ
 店名 レストラン la cuisine francaise

 住所 〒○×△-□○×△ ○×県港△□市○×町 △-□○-×△

 TEL ○×△-□○×△-□○×△
 
 定休日 日・祝。また、二か月に一度の火曜日休みをとります。

 アクセス 地下鉄○×線△□駅 ○番出口 徒歩×分
 
        地下鉄○×△線□○×△駅 □番出口 徒歩○分

        JR○×駅 △□ 徒歩○×分

 営業時間 ランチ ○×:△□~○×:△□

        ディナー ○×:△□~○×:△□

 
 シェフから「当店は本格派だけれど、肩の凝らない気軽な店です。」

 スタッフから「ワインの種類が豊富です。」


    [このスペースに料理の写真が数枚入っている。]

 
  フランス料理のマナーを気にされる方がおります。

  ですが、ここは日本です。日本の流儀は和です。大切なことは、わたし達が、

  食のプランを作り、日々よりよい快適さを追求し、

  お客様を満足させることが重要です。どんな服装でご来店されても、

  ご安心ください。高い敷居で美味しい料理が作れるかがモットーです。

  お気軽に、予約のお問い合わせをしてみてください。笑顔の声で応答します。

  誕生日、記念日に是非とも、la cuisine francaiseで。

  心づくしのサービスをさせていただきます。

  では、お客様のご来店を心よりお待ち申し上げております。


                           オーナーより









最終更新日  2015年08月04日 12時14分47秒
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カテゴリ:AVEコラボ作品
  

            ラ・キュイズィーヌ・フランセーズ
 店名 レストラン la cuisine francaise

 住所 〒○×△-□○×△ ○×県港△□市○×町 △-□○-×△

 TEL ○×△-□○×△-□○×△
 
 定休日 日・祝。また、二か月に一度の火曜日休みをとります。

 アクセス 地下鉄○×線△□駅 ○番出口 徒歩×分
 
        地下鉄○×△線□○×△駅 □番出口 徒歩○分

        JR○×駅 △□ 徒歩○×分

 営業時間 ランチ ○×:△□~○×:△□

        ディナー ○×:△□~○×:△□

 
 シェフから「当店は本格派だけれど、肩の凝らない気軽な店です。」

 スタッフから「ワインの種類が豊富です。」


    [このスペースに料理の写真が数枚入っている。]

 
  フランス料理のマナーを気にされる方がおります。

  ですが、ここは日本です。日本の流儀は和です。大切なことは、わたし達が、

  食のプランを作り、日々よりよい快適さを追求し、

  お客様を満足させることが重要です。どんな服装でご来店されても、

  ご安心ください。高い敷居で美味しい料理が作れるかがモットーです。

  お気軽に、予約のお問い合わせをしてみてください。笑顔の声で応答します。

  誕生日、記念日に是非とも、la cuisine francaiseで。

  心づくしのサービスをさせていただきます。

  では、お客様のご来店を心よりお待ち申し上げております。


                           オーナーより









最終更新日  2015年08月04日 12時16分59秒
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カテゴリ:AVEコラボ作品
  
  



照れ性な父だった

定年退職をした夜でさえ

  (甲高い声をした女の人)と、(ヤクザ紛いの男の人)が織りなす、

  「喫茶店」・・車輪よ、轢かないでくれ

いつもとかわらず

駅員に定期券を見せ

カードをバスの中で

翳したのだろう

  ピッチングマシーンを動かす為にはコインを投入しなければならない。

  シューゥ、とのぼって、ビュビュッと球が飛んでくる。

  「君には野球のセンスがある。しかもモチベーションがある。

  必ずコンセントレーションも産まれてくる」

神格化してみせるほどの

肩書きも

  (今度こそ勝ちます、期待に応えます)

  草野球準優勝。メダルを飾る父・・

  集会所掲示板の貼り出し。

  まさかの初戦敗退――

立派な人徳者でもない

ただ そうして

父は死んだ

  一球入魂、快打洗心!

  (雪雲)に(曇り雲)

  (雨雲)に(あかね雲)

   そして(くじら雲)に(ソフトクリーム雲)、

荷物整理をしている折りに

一枚の写真が

定期券のなかから出てきた

  ・・・近所の女の子の台詞

  「・・キョンイーントドケーと同じで、

  セイネンのショーニン二人以上が

  ショーメーイ、ナーツインすればOK」

    オーケー 何言ってるかわからない早口

    オーケー ロリコンとオバコン

生活に疲れたような

中年女性だった

  禁じられた三角関係 ダダダーン!

    恋人「あのさ、それ違うくない?」

僕はそこに辛辣な

リアリティーを感じて

  ・・・言うてみい、どこらへんが辛辣だ。

  ・・・この口か、この口か。
  
この女の調査を

興信所に依頼した

  ――はあ、いや、構わないんですよ。仕事ですから。

  ――はあ。

  ――でも、殺人事件の捜査とかしたいなあ、はは、死体なあー。

答えは実に明快なものだった

  ・・病んでいた 興信所の社長さん

職場の友人

それ以上でも

それ以下でもない

  ――お父さん亡くなったんですね、ご愁傷様です。

  ――あ、この度はどうも・・っていけね、口癖になってる。

  ――いちおう、会社規定より少しお安くしときます。

  ――いや、まあ、すみません。

  ――まあ、それでこれが調査報告書で、こちらが今回の料金の内訳です。

  ――あ、割引すごいですね。五万円!

  ――それで、あの、・・人を殺して下さい!

  ――嫌です。

もちろん 曖昧な部分はある

  ・・・病んでいた シャッチョーさん

もしかしたら 肉体関係は

あったかも知れない

  ――にくたいかんけいですか。

  ――ひらがなにすると、やらしいですね。

    ・・・じつは、依頼して以来、一緒にランニングしている。

でもそれを知ることは

つまりその女と会う日だ


偶然の再会

  ・・「多産性のウサギもいるし、一夫多妻制のある国もある」

といっても初対面の僕は

  ・・・「どうしよう」

    ・・・どうしようの国では、どうしようが生まれています。

    カーン、とスパーリングが始まるぜ

    おい!来いよ、――フックフックフック!ふふふ、ははは、

     ・・いたい! いたい! ゴメンナサイ

正直レストランでも

話しかけるのに躊躇った

  ・・・あれ、どこかで見た顔ですね。

  ・・・は?

    ――わざとらしい感じデシタ。

歳月のいたずらによって

えもいわれぬ疲労が籠り

化粧品さえも

  ・・・あの一滴一滴見抜くというドモホルンリンクルの感じ。

  ・・・野暮だぜ、ドモホルンリンクル。

  ・・・あの一滴が、滝の下の岩を侵食する。

生活周囲のものも

その程度のものだろうと思えた

  ・・・ドモホル女!

この女が父親の

ネクタイをつけたりする場面が

どうしても僕には

信じ難かった

  ――でも一番、信じ難かったのは、

  じつは、自分が、彼女の子供であるということ・・

ただソファーに寝転がって

新聞を読んでいた父

足の爪を切り

TVのリモコンをいじり

牛乳を飲んでいた

在りし日の父の姿が

  ――彼女、つまりお前の母親は、

  受刑者だった。子供が生まれた・・

  愛情はなかったと思うよ、当時も今も、

  ただ、お前の父親を愛していた・・・

僕にある余計なお世話を

また真相追及の姿勢を

根刮ぎ奪ったのだろうか

  ――あの、どうしてランニングしながら言うんですか。

  ――人生はこうやって走りながら説明するのに似ている。

  ――俺の秘密を暴くなよ、馬鹿社長。

  ――なんだと馬鹿野郎、おまえなんか会社辞めて俺のところに就職しちまえ。

しかしその女は

僕の顔を知っていた

会釈をしたかも知れないが

すぐに眼を伏せた

  (愛情はなかった)が聞いて呆れる・・

  とんだミステエクもあったもので、

  俺の母親が、子供を引き取るのを条件に、

  結婚したなんて知りたくもなかった。

じつに明瞭だった

しかし僕にできることは一つ

父の死を告げるだけ

  ・・・お母さん、ほんとうのお母さん、

  いまさらありえないけど、

  ぼくを両腕に抱いた時、どんな感じだったんですか?


それから半年くらい経ってから

うちに手紙がやってきた

切手はされておらず

住所も書かれていなかった

  ・・・あれから俺の母親だと思っていた彼女が、

  父親と同じ会社で働いていたこと、

  父親にいれあげていたことなどを知った。

  父親が、母親の形見の日記を隠していて、

  それを読んで全部発覚した。

    ――啓介さん、あなたが、彼女のこと、

    いまでも好きなのを知っています。

    でも子供ひとりとあなたで、これから、

    何十年も生きていくつもりですか?

しかしその名前には

聞き覚えがあった

  ・・・オヤジのやつ、くらっときたんだろうな、

  なにせ、実の母親は父親殺しの女で、十年は出てこられない。

  子供にとって何が大切なのかを思ったのかも知れない。

  いろいろあるよなあ、それで結婚、俺が育てられ、

  こうして生きてる。いじめられた記憶も何もない。

  本当にオヤジが好きだったんだな、母さん。・・

あの女だと気付いた時は

もう封をあけていた

そこには松葉杖を突く音が

きこえるほど

秋の色でみちていた

  ねえ母さん、母さんは俺から名前を呼ばれて嬉しかった?

  ・・・子供ができにくい身体で、

  実際そのとおり、俺しか子供がいなかった、あなただけど、

  いま、胸を揺さぶられるほど問いたいのは、

  母さん、あなたは本当に幸せでしたか?

手紙の内容は

じつに陳腐なものだった

それがあの父親と

ついぞ被さることはなかった

  ――人生って皮肉だよなあ、死んだら色々知っちまう。

  ――葬式の作法も、知っちまう。

  ――で、どうだ、おい、会社辞めて俺ん所で働くか?

  ――なんだか、親父が死んで以来、・・

  ――なんだよ、まだ、俺に調査依頼か?

  ――人の秘密を暴くのがこんなに楽しいなんて知らなかった!

    ・・・嘘です、母さん、

    もっと、親孝行してやればよかった。

押さえきれぬほどの怒りが

湧き上がることさえ

僕にはなかった

毎日 ウォーキングに出掛け

俳句を詠んで

自信の作をメールで

送信してきた

堂々巡りのように父が

浮かんでは消えた

  二度と会えないように遠くの町へ行きます、

  と、彼女の手紙にはあった。

  たぶん、それが人生のシナリオなのだろう。

見定めがたい真実に

たった一つの結論をくだした

浮気はなかった

  ・・・汚して飲めない水で、さらに水浸しにして、

  人生に溺れそうになるほどの海になったら、

  今度は自分の手であなたを捜してみたい。

    ――その時は、もう死んでいるかも知れないけど、

    やっぱり浮気はしてなかったん、

    ただプラトニックだった、それだけだと思う。

そしてこれ以上知ることは

もう二度とない

  ムッシュウ どうしてあなたは海ばかり眺めているのですか?

  ・・・興信所へと出掛ける前に どうしても

  フランスへと行きたくなって、たぶん、両親が、

  結婚記念日に出掛けたレストランのせいで、

  あるいは実の母親と会った場所も、そこだったせいで、

  なんだか、もやもやして、こんな所に来てる。

  それで、通りすがりのジェントルメンにこんなことを聞かれる。

    ・・・誰にだって気障な台詞がある、

    彼は少し、遠くから自分の顔を見た。

    はなれてゆく、彼が、僕の海の一部になる日も来る。

      ―――「涙が少し足りないんです。」










最終更新日  2015年08月04日 12時18分49秒
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カテゴリ:AVEコラボ作品
  




 ・・・・・・・・・・・
  STORY
 ・・・・・・・・・・・

 主人公は父親の葬儀、そして火葬を終え、荷物の整理を始めている。空港の格納庫のよう
な、親戚バッカスたち。ガスの炎。日の光を見て狂乱したラザロの気分だ。会社には、少し
多くの休暇をもらい、まあ骨休みと思って、と上司に言われていた。母親の死、そして父親
の死。息子なら当然、いつか訪れる人生の出来事の一つだ。自分は彼等によって生まれ、望
む形かどうかはともかく一応は大事に育てられ、そして成人となり、大人と呼ばれ、社会人
となり、彼等を見送った。それは巨大な時計の針が、それでもデジタル時計のように殆ど正
確に刻む、そう心臓のように刻む、と不思議な感慨をもたらした。さて標識のような正午は
矢印。休暇はあと二日。これからどうするべきかも考えられず、父親の部屋の片づけを始め
た。おそらくこの家も売ることになるだろう。兄弟もいないので、いくらかの思い出の品を
残して、ここでの記憶は葬り去られる。おそらく、感傷に浸りたかったのだろう、と思う。
・・・と、定期券の隙間から女性の写真がポロリ。何だこりゃ、と持ち上げてみると、・・・真実
の父とは、本当の父とは、自分の知っている人だったんだろうか?・・



 ・・・・・・・・・・・・・
  PROFILE
 ・・・・・・・・・・・・・

 
 ●誕生日 7月10日の快晴

 ●住んでいるところ シティオアシス夢ヶ原 *マンション名です
 
 ●トレードマーク サングラス *刑事ドラマが好きなのです。

 ●好きな言葉 入選 *父親との共通の趣味である俳句から。

 ●嫌いな言葉 ノーコメント

 ●趣味 俳句。ランニング。 *ランニングと熱いシャワーとストレッチ。 

       健康サンダルあつめ。 *ジジ臭いと言われる。

 ●特技 早着替え。*と言いながら、披露する機会は殆どない。

 ●好きな食べ物 青汁 *カレーライスと答えるのが恥ずかしいから。

 ●将来の夢 いつかヌーディストビーチに行くこと





  




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最終更新日  2015年08月04日 12時20分30秒
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2012年03月23日
カテゴリ:AVEコラボ作品

今回のコラボ2作品は、詩人塚元寛一さんの散文詩を素に創られています。
一つ目の作品はご紹介しました。


◆二つ目は、二人の詩人によるコラボ詩で、

       「古井戸の底に浮かぶ」

  パス入れにしまわれた見知らぬ女性の写真。

  遺品から解き明かされる、知られざる父の素顔と母の実像。

  家族という古井戸、その底に浮かびあがったのは?

  青年の日常の中に、親子の絆を描き出した作品です。




作者は、
塚元寛一さん と izchan

シナリオは塚元さん、izchanは街と家の舞台づくり、
それを大胆なタッチで塚元さんが作品として仕上げました。





 「古井戸の底に浮かぶ」




長編詩ですのでフリーページにて途切れなくお楽しみいただけます。
なお、ケイタイの方のために、この後、日記/記事にもアップします^^






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最終更新日  2015年08月04日 12時22分44秒
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2012年03月18日
カテゴリ:AVEコラボ作品

今回は一つの題材に、
二つの異なるストーリーという珍しいコラボです♪



◆ 先ず一つ目は、散文詩(1)と写真詩(6)を組み合わせたコラボ詩

        「井戸の底に沈む」

  悪戯心からすり替えた写真の顛末は?

  井戸の底に沈んだような生活をおくる中年の離婚女性。

  心の機微と、心の埋み火に潜む女の情念。

  作者の得意とする、揺れる女心を描いた作品です。





作者は今回のゲスト 小説家の 泡沫恋歌(うたかたれんか) さんです。
小説だけでなく詩も書かれていて、他マルチな創作活動をされています。


泡沫さんの著書は

◆ 『雨と彼女と僕と・・・』日本文学館

◆ 『奇妙な映画館』文芸社


全国店頭販売されていて、ネットでも購入できます。

泡沫さんは電子書籍会社e-bookの契約作家をされています。
コミュニティー『創作工房 群青』『詩人サークル 群青』を主催、
作品を主にnovelistのサイトと楽天ブログで発表されています。

尚、今回のコラボにインスパイアされ純文学小説一篇を書き上げられたとのこと。
作品はnovelitのサイトに掲載されているそうです。


                          「黒猫と女」http://novelist.jp/50172.html




泡沫恋歌さんの創作活動について、くわしくは 

― 詩的恋愛論 ―
http://plaza.rakuten.co.jp/renkautakate/










     *    *    *











                  1泡沫恋歌フォト短詩井戸の底に沈む.jpg


                                       深い井戸の底で
                                       溺れそうだった
                                       大きな声で叫んだけれど
                                       誰にも聴こえない
                                       私の叫びが聴こえない
                                       暗い水にのみ込まれて
                                       井戸の底に沈んでいく



        「井戸の底に沈む」 by 泡沫恋歌


結婚して18年目だった
子どもはふたり高校生と中学生
もう手は掛からないが
これからお金が掛かる
生活環境が変るのを嫌がって
子どもたちは父親と
家に残ることを選んだ
たとえ継母がきても
お金のない母親と暮らすよりは
マシだと考えたようだ
結果として私は
夫と子どもと両方に捨てられた

離婚した直後に
勤めだした会社で
その人は上司だった
とても几帳面な人物だと
職場のみんなが噂していた
部署替えで 
直属の上司になった時には
正直 嫌だと思っていた
しかし案外と 
部下には寛大な一面もあって
私の仕事のミスを見つけても
決して人前で叱ったりはしなかった
温情のある人だと感謝した

日曜日の昼下がり
ホームセンターで買い物をしていたら
偶然にその人と出会った
何となく挨拶をしている内に
お茶でも飲もうということになって
会社以外でのプライベートな
時間をその人と過ごした
どんな話をしたか
もう大方忘れてしまったが
家族は妻と息子がいると言っていた
定期入れから息子の写真を出して見せてくれたが
そんなものは私には興味がない
ただ 息子の顔が父親とよく似ているなあ
という印象だけが残った
どこにでもいるような平凡な家庭人だと思った
仮にも独身女性の私の前で
家族の話ばかりする男に
多少の苛立ちを覚えたことは否めない

歳月が経って
その人が定年退職になると噂で聴いていた
あれから何度か部署替えがあり
今では直属の上司ではなかったが
ホームセンターで偶然会って
幾度かお茶を飲んだこともある
相変わらず
家族と趣味の話を聞かされたが
まったく危険な香りのしないこの男に
半場 呆れながらも
どこか好感を持っていたようだ

定年退職の送別会で
みんなから贈られた花束に埋もれそうだった
こんないっぱい花束を持って
電車に乗るのは恥かしいと照れる
二次会が終わって帰る時 
タクシーを拾って一緒に乗った
しばらく乗っていると
気分が悪いと男は口元を押さえた
最後だということでたくさんの人に
お酒を勧められていたから
きっと 飲み過ぎたのだろう
私のワンルームマンションが近いので
家で休むように言ってタクシーを降りた
部屋に上がって
ソファーに寝転んで休むように勧めた
ネクタイが苦しそうなので緩めてあげると
背広のポケットから定期入れがポトリと落ちて
彼の息子の写真が見えた
酔いも手伝ったのだろうか
幸せそうな家族が妬ましかったのか
私は悪戯心で息子の写真の替わりに
自分の写真を定期入れに挟んだ
気づいた時の男の驚いた顔を
想像して ひとりほくそ笑んだ
小一時間もすると男はハッと飛び起きて
駅まで歩くと慌てて帰って行った
送別の花束を残したままで……

その人が亡くなったと
社内の噂で聴いていたが
もう退職した人なので弔問は行かなかった
退職した日から 一度も会っていない
あんな悪戯をした自分自身にも後悔していた
まさか あの男の息子と偶然会うなんて
想像もしていなかった
私の顔を見た瞬間
彼は息を止めて凝視した
その時 私の写真を彼が見たのだと分かった
軽く会釈をして目を伏せて逃げるように
その場から立ち去ったが
背中には若い男の疑念の視線が纏わりつく
ああ きっと誤解されている!

少し時間が経ち過ぎたが
彼の家に手紙を届けた
本当は会って ちゃんと話をしたかった
私は死者にあらぬ汚名をきせてしまったのだから
だけど 息子の怒りの眼を思い出すと
臆病者の私には その勇気がでない
便箋に嘘を書いて行を埋めていく
「お父様は立派な上司でした」
「尊敬申し上げて折りました」
「亡くなられたなんて今でも信じられません」
たぶん これを読んだら
陳腐な手紙だと あの息子は鼻で笑うだろう
それでいいのだ
自分を卑しめて 死者の名誉を回復できれば
それで十分なんだ

私には家族がいない
定期入れから取り出せる幸せもない
あの男と家族が羨ましかったのだ
井戸の底に沈み込むような孤独の中で
暖かな日常に触れたいと
藁にもしがみ付く想いで
太陽に向かって掌を伸ばそうとしただけ
ただ それだけだった


















  3泡沫恋歌フォト短詩熱情.jpg

  【熱情】


















              5泡沫恋歌フォト短詩秋桜.jpg

              【秋桜】

















     2泡沫恋歌フォト短詩リンク.jpg

     【リンク】

















           6泡沫恋歌フォト短詩押し花.jpg

           【押し花】

















4泡沫恋歌フォト短詩茜.jpg

【茜】
















     *    *    *






フォト短詩6作品の写真素材:写真フリー素材 FREE PHOTO 1.0
(詩&写真加工:泡沫恋歌さん)


著作者の許可が無い場合【ダウンロード禁止】


1.【井戸の底に沈む】撮影:Eonn
2.【熱情】撮影:Bruno. C.
3.【秋桜】撮影:earlycj5
4.【リンク】撮影:emrank
5.【押し花】撮影:seanmcgrath
6.【茜】撮影:earlycj5




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最終更新日  2015年08月04日 12時25分15秒
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ひろやすさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


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wa!ひろさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


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