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キャメロット城から西に歩く事数刻、私達はお兄様がいるって言われてるお城の前までたどり着いていた。
お城の外観なんてモノはどれも似通ったものだから、外から見た時は何も思わなかったんだけど、中に入ってみるとその作りはまるでキャメロット城に戻ってきたんじゃ?何て思える程そっくりで・・・・ううん、全く同じで、逆に不気味な感じがしてくるよ。 「うへぇ・・何だこりゃ、さっき行ったキャメロット城と同じつくりじゃねぇか」 「何か意図してワザと同じように作ったのでしょうか?」 「それにしても、ここまで同じだと逆に気味悪いですわね・・」 「まぁ、全く同じって言うなら、逆に考えれば、勝手しったる、っていうし、迷う事もないよねぇ」 謁見の間に向かって進んでると、その場にいた魔物たちが侵入者である私達に気付き、一斉に襲ってきた。 「うへぇ・・流石に四天王筆頭の城だけあって、ここにいる魔物たちの数も多いな」 「これは簡単には奥に行かせて貰えないみたいですね」 「でも、ここにいる魔物たちはそんなに強そうではなさそうですわね」 「ならさ、ここは一点集中で攻撃をしかけて、突破口を開くのが良さそうだね」 私の言葉に皆はうなづいてから、各々戦闘の準備をする。 「行きますわよ!バーンエクスプロージョン!!」 最初に攻撃をしかけたのはアセト、迫りくる魔物たちの中心で大きな爆発が起こり、魔物たちを飲みこんでいく。 「行きます!二人ともしっかりついてきて下さい!」 アセトのバーンエクスプロージョンを合図にミハイルが敵陣めがけて飛び、魔物たちの上に来ると、降下しながら体をひねり、手に持ったグングニルを振り、辺りにいる魔物たちの首をそぎ落としていく。 「でぇりゃぁああああああああ!」 ミハイルが切り開いた道を前に進みながらクレッシルが、その手にはめたサクレ・ポワンで次々に襲い掛かってくる魔物たちの頭部や急所を的確に捉え、沈めていったんだけど・・ 前に進む事だけを考えてたクレッシルは、いつの間にか辺りを魔物たちに囲まれちゃったよ…… そこで私はマルミアドワーズを横に薙ぎ払って、クレッシルの周囲にいた魔物たちを斬り伏せていく。 「クレッシル・・前に進むのもいいけどさ、ちゃんと周りにも気をつけようね?」 「へへっ、すまねぇな。でも、周囲の魔物たちはセラ達に任せたぜ!私はとにかく前に前に、どんどんと切り込んでくぜ!」 クレッシルは笑いながらそう言うと、謁見の間目指してどんどんと前に進んで行ったから、私達はそのサポートに徹する事にして進んで行く。 そして、ようやく謁見の間の前までたどり着き、迫りくる魔物たちを振りきって、その中へ入ってから入口の扉を閉めて、玉座の方を見ると、そこには静かに鎮座してるお兄様の姿。 お兄様は扉が閉まり、私達が中に入ってくるのを見ると、静かに立ち上がり、身につけていたマントをはぎ取りながらこっちに歩み寄ってくる。 「外が騒がしいと思ったらセラ、お前達だったか」 「お兄様!本当はお兄様もサタナエルを倒し、世界に平和を取り戻したいって思ってるんだよね!?だから、その為にサタナエルに力を貰って、仲間になった振りをしてるんだよね?」 私の叫びにも似た声にもお兄様は冷ややかな目を向けてくる。 「仮にそうだとしても、だ。セラ、お前には関係ない事だ」 「もうこんな事、サタナエルに力を貸す事はやめてよ!お願い、お兄様、私達と一緒にサタナエルを倒して、そして・・ヴァイデヴィレッジに戻ろうよ!」 「前に戦った時、俺に手も足も出なかったお前が何を言うかと思えば・・俺を倒せないようでは、サタナエルには全く歯が立たんぞ!もう一度言う、その剣を納め、これ以上俺の前に現れるな!」 そこまで言うと、お兄様は腰から下げてたガラハッドの剣を手に持ち、その切っ先を私達の方に向けてきたんだけど、その時、お兄様は私の手に持ってたマルミアドワーズに気付いたようで、驚きながらそれを見てくる。 「それはマルミアドワーズ!?俺に抜く事が出来なかったその剣を・・セラが抜いたというのか・・・・」 「うん、お兄様との戦いで敗れた後、私はこの剣の力を借りようと、レテ大陸に行ってきたの」 「ふ、ふははははははは・・・・そうか、そうなのか・・オーディンは俺ではなく、セラにこの世界を託したというのか・・」 「世界なんてそんなのは関係ないよ!私はただ、お兄様と一緒に静かに暮らしたいだけなの!その為の障害になるというなら、私はサタナエルを倒す、ただそれだけだよ!」 「まだそのような事を言うか・・だがいいだろう、オーディンに選ばれし、お前のその力、ここで見せて貰おう!」 「うぅ・・どうしても、どうしても戦わないとダメなの!?お兄様!」 「セラ、向こうは本気みたいです!ここは苦しいですが、戦うしかありません」 「あぁ、それにタダやられるだけってのは、性に合わねぇしな」 「えぇ、まずはどうやって彼の戦意をそぐか、考えながら戦いますわよ」 地面を強く蹴って私の方に向かってくるお兄様、その手に持ったガラハッドの剣にどんどんと光が集まっていき、その刀身を覆う。 「グレツェント・グランツ!」 光に包まれたガラハッドの剣を私めがけて振り下ろしてきたから、私はマルミアドワーズでそれを受け、そのまま上へ押し上げて剣を弾くと、お兄様は少しよろめき体勢を崩した。 そこへ、ミハイルの投げたグングニルが飛んでいき、それをお兄様が避けると、更にクレッシルが攻撃をしかけ、鎧を着こんだお兄様の胸部へ攻撃が当たると「くぅ!」って、短く呻いてから距離を取る。 そこにアセトのハイリッヒ・プファイルが飛んできたんだけど、それはお兄様の頬をかすめ、そこから血がぽたぽたと滴り落ちていく。 「なるほど、以前と比べると多少は腕を上げたようだな」 左手で頬から滴る血を拭ってから、その左手を前に突き出してきた。 「バースト!」 地の底から雷の球のようなモノが現れ、上空で破裂すると、無数の雷の矢が私達めがけていろんな方向から襲いかかってきた。 「皆さん、こちらへ来て下さいな!マジックバリア!!」 魔法障壁を貼ったアセトの元に集まってバーストによる攻撃をしのいでたんだけど、雷の矢が降り注ぐ中、お兄様はこっちへと向かい、手に持った剣を横に薙ぎ払ってきた。 その攻撃をミハイルがグングニルで受けると、クレッシルと私でお兄様へ攻撃をしかけ、鎧に覆われた胸部と右手に当たったんだけど、それでもひるまずに更に攻撃をしかけてくる。 「ロイヤルフレア!」 お兄様が唱えると、お兄様を中心とした大爆発が起こって、その直撃を受けた私達はその場に崩れてしまう。 「お前達の力はまだまだそんなものではないだろ!本気を見せてみろ!」 その場に崩れる私達にガラハッドの剣の切っ先を向けながらそう叫ぶお兄様に、私達は立ち上がってから再び対峙する。 「グリモアの真の主となったわたくしの力、受けてみなさいな!ハイリッヒライト!」 「ぐ、ぐぅうう・・・・」 辺り一面が聖なる光に包まれ、その光を浴びたお兄様は苦しそうに悶える。 そこへミハイルとクレッシルが攻撃を加えようと前に出たんだけど、それを避けたお兄様が私の前にやってきた。 「はぁああああ!ギガスラッシュ!!」 その刀身に聖なる力を宿したマルミアドワーズを横へ全力で振りぬくと、お兄様の鎧の腹部へダメージを与え、そこにひびが入る。 それを見たお兄様は何故か嬉しそうな表情を私の方に向けてきた。 「そうだ、それでいい!もっと俺に力を見せてみろ」 そう言うと、お兄様は目にもとまらぬ速度で駆け出し、ミハイル・クレッシル・アセトの影を縫うように進み、玉座の前まで行くと左手を前に掲げる。 「ヴァーンズィンケッテ!」 お兄様の魔法が発動すると、3人はどこから現れたのか、その両手足を魔法の鎖のようなモノで縛られて身動きがとれなくなってしまった。 「なっ!何ですのこれ!?」 「ちぃ、全く身動きがとれねぇぞ!」 「い、一体何をするつもりなんですか!?」 「お前達の実力はよくわかった。流石の俺もこれ以上4人がかりでこられては身がもたんだろう、だからここはお前達の動きを封じて、セラと一対一で戦わせてもらう」 「なるほど・・私達は観戦者ということですか」 「そう言う事だ、セラ!覚悟は良いな!」 お兄様が再び地面を強く蹴って私の方に向かってくる。 お兄様の攻撃を受けると、すぐに次の攻撃が迫ってきた。 私はお兄様の剣撃に防戦一方になっていた。うぅ・・やっぱり、お兄様は強いよ・・こうして護ってるだけで精いっぱいだよ。 その時、お兄様が剣を持ち替えると今まで以上に素早い動きで攻撃を繰り出してきた。 私はその素早い攻撃を剣でさばいたり、避けてたんだけど、全て避ける事が出来なくて、何発かその攻撃を貰ってしまった。 「セラ、どうした!動きが鈍いぞ!」 お兄様が私の頭部めがけて大振りの一撃を加えようとしてきたから、それを避けてからお兄様へ一撃を加える。 すると、その攻撃はお兄様の鎧を真っ二つに切り裂いたのだった。 「なっ!?俺の漆黒の鎧が・・・・」 鎧を切られた事に驚いて、攻撃の手を止めたお兄様へ、私は更に追い打ちをかけたんだけど、それはお兄様の体をかすめた程度だった。 「ふ、ふはははは、これがセラの内に秘められていた力だというのか。だがまだその剣には迷いがある、そんな剣では俺はおろか、サタナエルすら倒せんぞ!」 お兄様が再び私へ剣を振り、それをさばいてたんだけど・・うぅ、このままじゃじり貧だよ・・どうにかしないと…… その時、お兄様が私の胸部めがけて剣を振りかざしてきたから、それを受けるとつばぜり合いの状態になった。 第30話 涙の決別 その2.終わり その3.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年12月19日 00時52分14秒
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