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カテゴリ:紅絶壁焔 (完)
マーテルが帰った直後、アオイから話があるなんて言われたわけだが
「で、重要な話ってなんだ?」 「あ、うん。えっと、えっとね・・・」 必死になって何かと戦ってるように見えるアオイの姿。よっぽど凄い話なんだろう。アオイがここまで話をするのを躊躇するなんて。 「そんなに改まる必要なんてねぇんじゃねぇの?確かに言いにくいことかもしれねぇけど、あたいとアオイの仲なんだ」 「私と、焔の仲・・・ねぇ。一体どんなアレなんだろうね」 「家族みたいなもんだろ。それにあたいはアオイの事だったらなんだって知ってたいんだ。アオイの抱えてる悩みとか、苦しみだとか、そんなのも全部知りたい」 流石に大切な人、なんてことは口が裂けても言えねぇ。まぁでも、間違いじゃねぇだろ。今のアオイはあたいにとってはかけがえのない唯一の家族なんだから。 そんなあたいの言葉に苦笑にも似た表情を浮かべたアオイだったが、じきに真面目な表情へと変わっていったんだ。 「そうだね・・・私もそろそろ焔には本当のことを言った方がいいんじゃないか。そう思ってたし、いい機会だよね・・・焔には教えるよ。私の全てを」 「アオイ‥‥」 アオイの全て・・・一体なんのことだろうか‥‥まぁ、確かにアオイのここに来る以前のことは全く持って知らないし、今まで教えてくれもしなかったから、すげぇ気になるが‥‥ そのことをいうってことなのか?だとしたら、すげぇ重大決心したんだな。 アオイの言葉を待ちつつただただ静かに無言で見つめ合ってたんだがな?突然ガタっと席を立ち上がったんだよ。 「ん?どうした」 アオイは立ち上がると事務所の自分の机から何かの探知機を取り出し手に持つと、それを事務所内全体にかざしたんだがな?ソファに向かってかざした瞬間だったよw ピー!ピー!ピー! ソファの下からアオイが取り出したのは・・・完全に盗聴器です、本当にありがとうございました 「はぁああああああああああああああああああああ・・・・」 思いっきりため息をつくアオイ様。 「な~にやってるのかなぁ・・・マーテルは‥‥乙女の話を盗み聞きとか本当良い趣味してるよ‥‥」 そう言うとニコッと怖いくらいな笑みを浮かべながら手に持った盗聴器を思いっきり床に叩きつけ、そして、叩きつけた後力任せに踏みつけてぶっ壊したんだw 「・・・ふぅ。おっけ。これで落ち着いて話が出来るね♪」 「あ、お、おぅ‥‥」 壊した盗聴器を片付けたあと、アオイはコーヒーをあたいの分まで淹れてくれ、それを差し出してくれた。 アオイが淹れてくれたコーヒーをすすりながら、ソファに腰掛けて彼女が口を開くのをじっと待った、短くない時間が経ってやっとアオイが口を開き始めたんだ。 「えっと・・・まずは焔に謝らないとね」 「謝る?何をだ?」 「私がここに来てから2年以上、その間ずっと騙し続けてたから‥‥」 そう口にしたアオイはそっと伏し目がちに目線を下に向けた。 騙し続けてた?性別をか?いや、違うかwまぁ、アオイが男だってことは既に知ってるわけだし。 「前にマーテルが探して欲しいって言ってたアズール=スカイハートって実は私のことなの・・・」 アオイの言葉を聞いてもあたいは不思議と驚くということはなかった。 むしろ納得いったというか、胸のモヤモヤが晴れたような感じ。 最初にマーテルからアズールの写真を見せて貰った時に感じたがやっぱりそうか・・・あれはアオイ本人だったのか‥‥ 「でも、だったら何でさっきのマーテルって奴にはアズールは死んだなんて嘘を言ったんだ?」 うん、あたいが気になったのはそこだ。 「うん、それはあれだよ。だって、私がアズールですなんて正直に言ったらまたあの窮屈な生活に逆戻りさせられちゃうし・・・私、もう嫌だよ‥‥あんな不自由な生活を送るの・・・それに、ここでの生活は私には贅沢すぎるくらいに楽しいんだもん」 言いながら思いつめたような表情を浮かべるアオイ。その様子を見るだけでアオイがそのスカイハート家でどんなに辛い生活を送っていたか、容易に想像がつくわ。 「なるほどな‥‥」 「それに、アズールは死んだ。っていうのもある意味間違いではないんだよね」 「間違いじゃない?どういう意味だ?だって、現にアオイ・・・アズールは今目の前にいるじゃねぇか」 「あ、今まで通りアオイでいいよ。私はもうアズール=スカイハートじゃなくてアオイ=バニラスカイだし」 「ん、それでアオイは何で死んだなんて嘘を言ったんだ?」 「えっと、そうだねぇ・・・どこから話そうかなぁ‥‥」 腕を組んで考え始めたアオイだったが、すぐに再び口を開き始めたのだった。 第44話 アオイの告白 その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年05月04日 09時31分32秒
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