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デビを優しくその場に横たわらせてやるとだ?
うっすらと目をあけてこっちの方にその瞳を向けてきたんだがな? 何だろう・・・そのデビの瞳には全く精気というか、うん。光が全く見えないんだ。 「デビ!!デビ!!まだ息があるのか!?」 俺の声にデビは微かに反応を示し、手を宙に差し出してきたからその手をとってやった。 「そ、その・・・その声は、ベリル・・・ベリルなのか」 「あ、あぁ・・・そうだ。デビ……よかった・・・おめぇはまだ……」 「な、何とか・・・まだ生きてるみたいだが……もう、俺は・・・駄目だ、でも・・・最期に、最期にベリル。お前達の姿を・・・見ることが、出来て……本当に良かった」 「ちょ!?お前何言ってんだよ!!おめぇにはまだこれからサタンを倒しに行くっていう役目があんだろうよ!?こんな所で死ぬたまかよ!!」 「そうよ、あんたが死んだら一体誰がサタンを倒すっていうのよ」 「ね、ねぇ・・・デビス君?クリソプレズはもう盗られた後なの?それとさ、一体君達は誰にやられたのかな」 デビは物凄く苦しそうに顔をしかめ、荒く呼吸をしながらもゆっくりとジルの問いかけに答えてくれた。 「あ、あぁ・・・俺達が、来た時には・・・既にクリソプレズは、奪われた後……だ」 そうか・・・やっぱりもうクリソプレズは奪われちまったのか・・・ だからアイルスはこっから飛んでいったわけだな? 「そして、俺達がここにきた時。この部屋にはアイルスだけが残っていたんだ・・・」 デビが来た時には既にクリソプレズはなく、盗られた後だった。 そして、この部屋にはアイルスのみが居た、つまり。そういうことか? いやまて、でもアンから聞いた話じゃテイラってやつもいるってはずじゃ? ん、でもあれか。クリソプレズが奪われたってことだから、一足先にそのテイラって奴がここから出てナディーを追いかけたっていうことも考えられるか。 「ん、ねぇ、つまりよ?ティムール達はそのさっきここに来る途中、あたし達の頭上を通り過ぎてったアイルスって奴にやられたってこと?」 デビの言葉にエリーは不思議そうな表情を浮かべた。 「でも、何で?アンの話だとアイルスってやつはキーストーンを集めてるナディーって奴を追ってるんでしょ?もう既にクリソプレズが盗られた後だった、っていうんなら何でアイルスがティムール達の相手をする必要があったのよ。だって、魔王ルシファーが復活するとヤバイんでしょ?一時を争うんでしょ?」 「魔王ルシファーはもちろん、復活させたくないし、相手にしたくない相手では、あるが・・・俺達も同じくらいにあいつらからしたら……厄介な存在、だからな。理由なんてのは・・それだけで十分……なんだろう」 「そんなことやってる場合じゃねぇっていうのに・・・ったく、一体何を考えてやがんだ」 デビは俺の手を握る力を強めてから言葉を続けた。 「ベリル……お前達も、気をつけ・・・ろ」 「気をつけろ?どういうことだ」 「サタンは、ベリル。お前達も・・・倒すべき対象として、見ている」 「うち達を倒すべき対象として・・・?」 「絶対に、やつらは。攻撃をしかけて、くる。はずだ」 サタンが俺達を・・・? どうして奴が俺達を狙う道理があるのかと一瞬思ったが、そんなのは当たり前のことだった。 だって、魔族達から恐れられてるジルが今一緒にここにいるわけだし、そうでなくても。俺達は四天王の1人であるネロを倒したし、アマンダラの所からクリソプレズを奪還して魔王ルシファーの復活阻止の邪魔をしたり、十分目立つ行動は行なってたわけで。 「ブロードさん・・・テリーナ・・・そして、ベリル。お前達は・・・自分達が考えている以上に。力をつけすぎている・・・そして、その、力をサタンは・・・危険視、している」 「相手が誰であろうと、あたし達は絶対にひかないわよ!ティムールの仇を絶対にとってやるわよ!」 「うんうん、うちだってそうだよ!サタンはうちからアポロンという大切な人を奪った。そのことは絶対に許されないし、その落とし前はとって貰わないとだよ」 「はぁ・・・はぁ・・・そ、そうだベリル……こ、これを・・・これを、受け取って、くれないか」 そう言ってデビは自分の首から提げてる旅に出る際に父親であるバーブルさんから受け取ったジェダイトという宝石がついたネックレスを差し出してきたんだ。 第77話 間に合わなかった・・・ その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年08月06日 00時18分10秒
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