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空を眺めるジルの様子がとても美しく思わず見惚れてしまうレベル。
「綺麗な空だねぇ・・・この空を見てるとさ?今まさに魔王サタンが暗躍して、そしてナディーちゃんだっけ?彼女がルシファーを復活させようとしているなんて事実が嘘のように感じるよ」 「んだなぁ、今のこの船の上の状況だけ見てると、この世が争いごとで満ち溢れていて、俺達もその当事者になりつつあるっていう実感わかねぇよな」 ジルと同じように空を眺めた俺の方へと妖しい微笑みを向けてきたジル。 そんな彼女の様子に思わずドキッとしちまったのは内緒だ。 「ねぇベリル?」 「ん・・・どうしたジル?」 「あのさ、ベリルはさ、今回のこの旅が終わったらどうするつもりなのかな?」 突然の質問に思わず言葉が詰まっちまったが、俺が何のために旅をしているのか、今後どうしたいのか、っていうのをそのまま言葉に出してみた。 「そうだな・・・俺はこの今回の旅が終わったら、ナディーと一緒にどこか人里離れた場所でゆっくりと静かに暮らしてぇもんだな」 俺の言葉にジルはちょっと寂しそうな表情を浮かべたんだが・・・うぐ、そんな顔されるとなんかめっちゃ罪悪感出てくるやん? 「そっか・・・そうだよね。ベリルは前にそのナディーさんの事が好きだって言ってたもんねぇ・・・」 「あぁ、少ししか一緒に過ごし旅できなかったが、それでも彼女のよさっていうのは十分わかってる。そんな彼女がルシファーを復活させようとしてるなんていうのは、何かの間違いだって今でも思ってるんだ」 俺の言葉を聞いたジルは今にも泣き出しそうな表情を浮かべながらも、しっかりとした口調で語りだした。 「ねぇ、ベリル?こんな時にこういうのは何だけどさ・・・」 な、何だ・・・ジルは何を言おうとしてんだ・・・ 「もし、もしだよ?その、ナディーさんを説得することが出来なくて駄目になったらさ・・・その時は、その時は・・・うちがベリルのそばにずっと一緒にいてもいいかな?」 「・・・はっ!?」 ジルのいきなりの申し出に思考がおいつかねぇ。 いや、えっと。一緒にいてもいいか?ってえっと、それは・・・そういう意味、だよな? 「ごめんね、急に変なこと言っちゃってさ、気を悪くしたら本当ごめん」 「い、いや・・・別に大丈夫だ。それよりも、その・・・なんだ?」 「うちね?今まで一緒に旅をしてきてさ、ベリルの良いところ一杯見てきて、うん・・・その、なんだかんだ言いながらもうちとエリーのことを暖かく見守ってくれるベリルのこと・・・」 そこで言葉をとめ、物凄く言いずらそうにするジル。 「うん、最初はマルクみたいに懐の広く優しい子だな、そう思って。たまにベリルに彼のことを重ねてたんだよ。でも・・・でも、そうじゃないんだよ。ベリルはもううちの中だと死んだマルクの代わりじゃない、ベリルのことを1人の男性として好きに・・・」 「ジ、ジジジ、ジル!?」 「ねぇベリル?ベリルはうちのこと、どう思ってるのかな?」 やべぇ・・・これ、ガチなやつじゃねぇの? いつもふざけてたり冗談を言う事の多いジルだが、今の彼女からそんな雰囲気は微塵も感じられない。 妖しい笑みを浮かべながら俺の方へ体をグイッと近づけてきて引っ付いてくるジル。 うぅ・・・ジルの体からすんげぇいい香りがする。 ガラにもなく俺自身凄く顔が熱くなってて、真っ赤になってるのが自分でもわかる。 「ど、どうって・・・俺はエリーもジルも同じくらいに本当大事に思ってる。ただその、好きっていうのは仲間として好きであって・・・その・・・」 「ふふ、そっか。今はLIKEでもいいよ。うん、うちのこと好きだって言ってくれるならさ。でもねベリル。これだけは覚えておいて、うちはベリルのこと・・・・」 体だけじゃなく、今度は顔を俺の方に近づけてきて、もうちょっと唇を前に突き出すと触れちまうんじゃないか、ってところまでですね・・・ と、その時だったよ。 第84話 船上の告白 その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年08月27日 01時57分13秒
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