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カテゴリ:そのた
すみません、あまり話題にしたくない壷ですが、ちょっと
思い出してしまったので。 そもそもたんつぼ(痰壷)なんて・・・見たことないって 言われそう。そういう若者のために解説します。 (おばあちゃんの口調で)昔はね、病院とか駅とか、人が たくさん集まる場所には必ず、隅っこのほうに、たんやつ ばを捨てる入れ物が置いてあったのよ。たいてい白い陶器 かホーローで、ドーナツのような穴のあいた蓋がついてい たわね。昔の日本人は、ぺっと、たんを吐いていたから、 それでは不衛生だということでたんつぼを置いてたんでし ょうね。いつごろから見かけなくなったのか、きっとみん ながティッシュを持って歩くようになったから、要らなく なったんでしょうね。 前置きが長くなってしまった。以下、本題。 友人の美容師から聞いた話。彼は10年ほど前に、独立 して美容室を開いた。美容室を開業するには、いろいろ 細かい規定があって、保健所の検査を通らなければいけ ない。その規定のひとつに、「たんつぼを常備する」と いうのがあったのだそうな。 「たんつぼだよ、たんつぼ!美容院に!」 常備品だから、美容材料店で売ってはいる。売ってはい るが、買うと高いし、使うのは保健所の検査のときだけ で、2度と置かないものだから、買うのはばかばかしい。 というわけで、材料店が検査の時だけサービスで貸して くれるというのが通例なのだそうだ。 検査の日、エントランスの横に堂々とたんつぼを展示(?) して、見事に合格したとか。「たんつぼを手に持ったの なんて、生まれて初めてだったよ(苦笑)」 たんつぼなんて、見たことも聞いたこともない人が多い この時代に、たんつぼをしっかり手に持って眺めたことが あるというのは、自慢できると思うよ。ただし小さい声で。 たんつぼを常備すべし、たぶん明治時代の条例が亡霊のよう に生き残っていたのだろう。(調べたら、現在この規定は なくなっていた)法律とか条例とかいうのは、細かいもの ほど、誰の注意も引かず、アホらしく長生きするのかもし れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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