|
カテゴリ:ことばのスナップ
ネットをうろうろしていて、最近の日本語の乱れを嘆いているブログに
行き当たった。うんうん、そうだそうだ、と読み進んでいたのだけれど、 舌鼓(したづつみ)のところで、「あら?」と思った。 「舌鼓を<したづつみ>と発音するような間違いが多いのは何たることか」 と嘆いているのだけれど、これは、大きな勘違い。国語辞典を見ると、 <したつづみ>が見出しになっていて、<したづつみ>とも言う、という 記述になっている。 しか~し、本来の日本語では、舌鼓は<したづつみ>が普通だったはず。 わたしは、日本語の専門家ではないので、大学のときの国語の授業で、 金田一春彦先生の講義で聞いた話の単なる受け売りにすぎないのだが、 舌(した)+鼓(つづみ) という二つの言葉が重なったときには、 後ろにある濁音は前に移動する、というのが、日本語の自然な発音だ ということで、「元が<つづみ>なんだから、<したづつみ>は 間違っている」という意見は、日本語の音韻について無知なだけだ、 というのが、先生の説だった。 小(こ)+包み(つつみ)→<こづつみ>のように、濁音ではないものが 濁音になるという習慣は残っていて、誰も「<こつつみ>が正しい」とは 主張しないが、濁音が前に移動するという習慣は、日本人がみんな読み書き できるようになった結果(?)、だんだん無視される傾向にあるのかも しれない。 私は、「<したづつみ>が正しくて<したつづみ>は間違っている」という 主張をするつもりは無い。言葉は生きていて、変化するものだから。 でも、間違っていると主張する前に、ちょっと調べてみて欲しいと思う。 秋葉原という地名、これも、日本語の自然な発音では「あきばはら」。 地元の人は、<あきばはら>と発音する。(少なくともお年よりは) それが、駅名をつけるときに<あきはばら>としたために、今では <あきはばら>が主流になってしまった。ところが、秋葉原を省略して 「あきば」と呼ぶ。これは、<あきは>という音の連なりが発音しにくい ので<あきば>になっただけで、歴史的な名称問題とは関係ないのだ けれど、この省略から判るように、 秋(あき)+葉(は)+原(はら) を合成する場合、濁音は前に移動 するのが自然なんだと思う。 この濁音移動には、日本語の高低アクセントが大きく関係している。 (と思う)この話は明日の日付の日記につづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ことばのスナップ] カテゴリの最新記事
「東海林」を「しょうじ」と読みますが、「とうかいりん」を間違いと決めつけて批判する人の如何に多いことか。元々「とうかいりん」なのに…。
(2007年01月27日 01時46分26秒)
村夫子さん、コメントありがとうございます。
>「東海林」を「しょうじ」と読みますが、「とうかいりん」を間違いと決めつけて批判する人の如何に多いことか。元々「とうかいりん」なのに…。 そうなんですか?! 知らなかったので、あわてて調べました(汗) 「とうかいりん」さんが「庄司」になったために「しょうじ」さんと呼ばれるようになったんですね。 ひとつ賢くなりました。 思い込みはこわいですね。 (2007年01月27日 23時56分56秒)
最近テレビ等で「したつづみ」という言葉を聞く度に「違うだろう」と一人憤慨していました。昔は確かにみんなが「したづつみ」と発音していました。このブログを見て「我が意を得たり」の気分です。金田一先生の講義と同じような内容を昔何かで読んだ記憶があります。全くその通りだと思います。
「したつづみ」が優勢になってまだ10年も経っていないと思います。誰かが言い出したんでしょうねえ。 話は変わりますが、私は「熊」の発音についても嘆いています。「ク」にアクセントを置く発音がこどもや若い女性ならともかく、男性アナウンサーまでもがそう言っているのを聞くとほんと嘆かわしいです。まぁ、母親から教わるので大人になってもそう発音しちゃうんでしょうけど・・・。 (2009年10月16日 08時35分13秒) |
|