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テーマ:野鳥好きっ♪(15898)
鳥友からもともと高原の鳥だったカッコウがいつごろから託卵をはじめたのかなどの質問をもらいました。 (カッコウの平地への進出) 中村(1991)は、長野県でのカッコウの調査結果や知見を整理し報告しています。 1960年代まではカッコウは高原の鳥だったが1974年に松本と佐久の地域でオナガへの託卵が発見されたと述べています。その後、1991年では長野県全域でオナガが分布するようになった記しています。 調査をはじめた1981~1983年頃にはオナガへのカッコウの託卵率は29.6%だったが1985年には60.6%、1988年には79.6%と急激に増加したと報告しています。 (カッコウの卵の擬態) 田中(2012)は、託卵鳥に関する研究と最新の研究結果を整理し報告しています。 卵の擬態、宿主が排除しない理由、カッコウが宿主の卵より小さい卵を産むとの 報告が特に興味深いので紹介します。 (宿主に対する卵の擬態) カッコウ1種が托卵する宿主は複数の種にわたるが、それぞれの種の巣に産み込まれるカッコウの卵は宿主の卵とよく似ていると記しています。 (カッコウが小さい卵を産む理由) カッコウが産み付けた卵は、宿主の卵の大きさに近くなっていた小さいサイズのものとなること紹介し、カッコウが小さい卵を産むのは、孵化までの期間をできるだけ短くし、孵化したカッコウの雛が効率よく巣を独占するための適応と考えられていると報告しています。 (宿主がカッコウを排除しない理由) 宿主の雛よりも先に孵化し、その後すぐに宿主の卵や雛を排除する托卵鳥では、卵排除では効果をもつ刷り込み学習が雛排除に関しては対托卵戦略として効果を持たないこと生涯で最初の繁殖で托卵された場合、カッコウの雛を自身の子であると間違って刷り込み学習してしまうことになる。(中略)ただし、直接的に雛排除を行う認知メカニズムは現時点では未解明であると指摘しています。 (引用) 中村浩志1991.託卵をめぐる攻防.動物たちの地球.通巻828号.p300-303. 朝日新聞社. 田中啓太.2012.騙しを見破るテクニック:卵の基準,雛の基準 ─托卵鳥・宿主の軍拡競争の果てに─.日本鳥学会誌第61巻第1号p60–76. (写真) 2018年6月2日、2017年7月19日戦場ヶ原で撮影
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最終更新日
2023.06.16 17:34:03
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