|
カテゴリ:作家
あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。2年の春、写真部の新入生歓迎撮影会で、小平由樹枝に会う。その後、恋人関係になる。3年の夏休み、北海道無銭旅行を遂行。大学の推薦が決まった後、上高地へ出かけ二人は結ばれる。実力試しに受験したW大学に合格するも、M大学に進学する。そして1年が過ぎた。春休み、希望大学に合格した由樹枝が東京に来て、短いが二人の充実した同棲生活を送った。しかし、そのわずか1週間後、矢代美恵子と関係してしまった。 写真はネットより借用 =================================== 北村と話しても、結論は出ない。全て矢代美恵子次第だからである。1日中、仕事にならなかった。食欲もない。力が出ない。頭の中は、どうしよう、どうしようばかりで何の進展もない。この日の相棒は、1年前から一緒に働いている、長友に吉武である。この二人に仕事を仕込まれた。最近は、1人前に見られて仕事を任せてくれることも多い。しかし、この日は、仕事に熱中出来ず。失敗を重ねた。 「おい、寺本、どうした体調でも悪いのか? 顔色も良くないな。」 年長の長友が言った。 「はい、体調は悪くないのですが、頭が重く、考えが纏まらないのです。」 「どうした? 飲む過ぎか? あんたは飲み過ぎると、記憶が飛ぶ悪い癖があるからなー。去年の忘年会でも読まされて酷い状況だった。」 吉武も思い出したように言った。 「昨夜、飲み過ぎて失敗しました。」 「やっぱりそうか。あんまり無理するな。失敗したら余分な手間がかかる。」 悠介は、昼食を食べたら、少し力が戻って来た。だが頭の中は混乱している。仕事に集中せねばならないと、自分に言い聞かせて、何とか1日の作業は終わった。 アパートに戻った。部屋は整理されている。料理をしている匂いがした。 「あ、お帰り、今、夕食の支度をしているからね。お風呂に入って。」 美恵子が当たり前のように、奥さんのような態度でそう言った。悠介はどう対応して良いか分からない。何か言いたかったが声が出ない。風呂に入った。そして風呂から出て来ると、おかずがテーブルの上に並んでいた。 「ビールでしょう?」 「あんまり飲みたくない。」 「ダメよ、迎え酒、飲むと体調が良くなるわよ。」 グラスを持たされてビールを飲んだ。喉に染み入るようで美味い。 「良い飲みっぷりよ。その調子。でも昨夜のように飲み過ぎないでね。」 悠介は、美恵子の元気付けに、出て行って欲しいと言えず、ビールを飲んでいる。美恵子は3年になり、和泉キャンパスから、駿河台キャンパスに変わった。ここから駿河台キャンパスは近いから便利だというような事を話す。 悠介はまだ2年なので、和泉キャンパスである。ここからだと駿河台キャンパスは、すぐ近くである。美恵子は、和泉キャンパスから駿河台キャンパスになったばかりである。確かにここならば便利である。先輩たちも3年、4年を考えてこのアパートを借りているのであった。 飲んでいる内に悠介は考えるのが面倒になった。酔って来たのであろうか? 今朝からの混乱した頭が続いている。昨夜は酔っ払って寝たのか寝てないのかも自分では分からない。ただ疲れているのは自覚できた。料理を食べ飲み終わったら、急激に眠くなった。ごろりと寝ころんだら眠ってしまった。 「こちらに寝なさいよ、そんな所に寝たら風邪ひくわよ。」 美恵子の言葉で目が覚めた。3時間近く寝たのであろうか? 時計は22時半を指していた。悠介はのろのろと起きて、パジャマに着替えた。布団の中に入った。美恵子は電灯を薄暗くすると当然のように悠介の隣に入って来た。悠介は短時間であるがぐっすり眠ったせいもあり、頭の重さは取れている。美恵子が隣に入ってきたら、性欲が突き上げてきた。美恵子も抱き付いている。 「もうこんなになっているよ、強いのねー。」 美恵子が体を押し付けながら言った。悠介は由樹枝の事をちらっと思ったが、こんな状態になって行動を抑制出来なかった。記憶にないが、既に1回行っていると言われている。1回も2回も変わらないと自棄になっていた。 愛撫も手抜きで強引に美恵子を抱いた。それでも美恵子は濡れており、喜びの声をあげている。「すご~い、すご~い」と言われ、悠介も興奮した。力強い律動に合わせて美恵子の声も苦しそうによがり声をあげている。そして終わった。 「凄いのね、悠介君、大きいから壊れちゃいそうよ。」 「・・・」 悠介は黙って、美恵子を抱きしめた。その位しなくては悪いと思ったのだ。愛しているとか、恋しいとか思う気持ちはなかった。好きでもないのに、気持ち良かったと悠介は不思議に思った。これでは、部屋から出て行って欲しいと言えないとも思った。泥沼に嵌まってしまっているようである。美恵子は悠介の胸の中で寝息を立てだした。悠介は眠くはなく、目がさえ頭もしっかりしている。眠ったので頭の重さはなくなった。しかし、胸の奥の押し付けるような辛さはなくなっていない。こんな事をしていて、どのように美恵子と別れ、由樹枝との仲を続けるとか、そればかり考えている。 こんな事では、由樹枝に手紙も出せない、と思いつつ眠りに落ちていた。 =================================== お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[作家] カテゴリの最新記事
いよいよ人間の本質に迫る、事件に入りましたね。
青春小説が生臭い世界に突入しましたね。 私の学生時代は自動車部の遠征や、バイト、沖縄台湾一人旅などに夢中で特定の女性と付き会う機会を持とうとはしませんでした。 あの時代でも長野県の友人は、アパートで同棲をしていました。良く其処で3~4人で飲み泊まることは有りましたが、他人の彼女は他人です。 誰もちょっかいしませんでした。 私が女付き合いなどしてバレたら勘当です。そんな冒険をする事も無く、初な学生時代でしたね。学生時代には国家資格も2つ取得しました。兎に角大学を卒業して、地元に就職することが第一目標でした。 (2021.01.14 00:51:06)
ご隠居さんへ
まじめな学生時代だったのですね。私も似たようなものでした。 女性には興味がありましたが、機会がなかっただけかも知れません。 罠をしかけられたら、嵌まっていたかも知れません。 (2021.01.14 08:00:40) |