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カテゴリ:行き先不明の物語
おばさんは できへんできへん と 泣いて 月花にすがる。 「だから これはあたしのやり方だって 言ったじゃん」 「ほんなら どないしたらええのん」 「あのさ おばさん 50才くらい? あたし 18才 頼らないでよ。 3倍も長く 生きてるくせに」 「3倍もいってないっ 2.7倍ほどや」 鼻をすすりあげながら 抗議する。 で また 唱えて 力んで 背中をみて 泣く。 ったく 月花に タフな女になれんで とか かっこつけたこと言ったくせに。 おばさんのほうが よっぽど みっともなく あがいてる。 いや 恥ずかしいと思わず あがけるところが タフなのかも・・・。 月花は翼をひろげた。 はばたいてみる。 体が浮く。 風が巻き起こる。 上々だ。 おばさんの襟首をつかんだ。 「な なにすんの」 「自分の失敗が可愛く思えてきた。 お礼に半月まで 送ってあげる」 こんなのに 居つかれちゃ たまらないし。 「いやや 自分の翼で飛ぶんや」 「ごねてるひまはないの。 あたし そろそろ 目が覚めそうよ」 「あんたが目ぇ覚ましたら アタシ どうなるん?」 「さあ? 消化されちゃうかも? 」 「・・・帰る。 送って」 「じゃ おとなしく ぶらさがって」 思った通り おばさんは重い。 大きく広げた翼に力を込めて ばさり ばさり。 月花は 中空の半月めざして 飛び立った。 つづく 応援クリックいただけるとうれしゅうございます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.01.14 07:56:24
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