キャラメル版『容疑者Xの献身』。
観に行ってきました、『容疑者Xの献身』。キャラメルボックスのお芝居です。そこに至るまでに今日は派手な寝坊をしたわけですが…。そこはスルーで。間に合ったのでOK。このお芝居。東野圭吾氏の同名小説の舞台化です。探偵ガリレオシリーズはテレビドラマでもやっていましたし、映画化もしました。原作も有名なわけですが……。実はどれにも触れたことがないのですよね。読んでみたいなぁとは思っていたのですが。思っているうちに今日に至りました。『名探偵の掟』は読みましたけど。えーと。で。そもそも今回チケットを取ったのは、ミステリ小説をキャラメルが舞台化することへの興味が第一。それから、湯川学が岡田達也さん、石神哲哉が西川浩幸さんであること、そして川原和久さんが客演するということも大きなポイントでした。川原さんというと、『相棒』の伊丹さんの印象が強くて、生で見てみたいなぁというちょっとしたミーハー心もあったわけです(笑)。結論ですが……。うん、原作を読んでいなくて正解でしたかね~。事件があって、その真相を巡る人間ドラマ。その過程には数々の工作。犯人がわかっていて、ある程度の情報は明かされるのにうまい具合にそれが隠されていて…。だから推理ものとして面白いなと思いました。条件の全てが明示されていないのでアンフェアといえばアンフェアなのでしょうけれど、細かいヒントからそれに気付いた瞬間が楽しいのですよね。ミステリは自分が謎を解くのが楽しいというより、自分で思った謎が主人公にひっくり返されて驚くべき真相が明らかになる、その「やられた!」な感覚が楽しいので。あ、個人的にはですけれど。……というのが、「事件」に対する感想です。あと、殺人事件ですから冒頭にそういうシーンがあるわけですね。重い。とても重い。ああ、それが「献身」なのかと。真理を求める頭脳が、まっすぐなまま捻れてしまった。それは正解とはほど遠いものなのに、それしかないと思い詰めるひたむきさ。あれ、じゃあ、どうすればよかったのか?…その見えない方向にゆがんだ男を演じる西川さんがすごかったです。全体的に押さえた感じの演技。だからこそ、思い詰める男の姿が見えました。純粋であることの怖さ、確実にゆがんでいるのだけれど、彼の思惑と全ての真相が明らかになったときそれはひたむきな愛だったのだと気付く。それに気付いてしまう湯川の哀しみ。……とても、切ない。でもキャラメルらしい、ほっと息抜きの出来る笑いのシーンがあってよかったです。物語が進むにつれそれは減っていくのですが、あるのとないのとでは違いますね。殺人事件を取り扱うので、シリアスなシーンだけになるのかとちょっと心配していました……。いや、よかったよかった。別の視点で感想があるとすれば……ぶっつけ120分、少々腰が痛かったです(笑)。