三十路の大学院生はっしーの研究日記

[仕事・キャリア] カテゴリの記事

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• 愉しきかなバイト生活

  給料が安いからお金はないんだけど、今のバイト生活はなかなか楽しかったりする。仕事の経理事務は、未経験分野でなかなか新鮮だ。僕の通う事務所でやっている仕事は売上、仕入、経費の管理、プラス労務（給与、税金・各種保険関係など）などである。未払費用の支払いと仮払金の精算、それから労務関係の手伝いが僕の主な担当業務で、送金しては伝票を立てるの繰り返しだけれど、ビジネススクールのアカウンティングの授業でやったバランスシートの基本が頭に入っていなければできない。勉強したことが実務に生きるのは気分がいいものだ。事務所は門司港レトロという観光地の近くにあるので、天気のいい昼休みは海岸で風に吹かれて休憩をとる。とてもいい気持ち。実家の「ケース」については、何人かの教授からレスがあったがみんな「私はアカウンティングやファイナンスの専門じゃないからなあ・・・」と言って逃げているので、さっき今のところ返事をくれてないアカウンティングとファイナンスの教授に直接メールを打った。来月東京に行くから会って教えてくれないかというお願いである。つまらない「ケース」かもしれないが、僕は考え方に迷っているから真剣である。どちらもいい先生なので、直に教われるとなれば僥倖なことだ。色よい返事を期待しよう。僕の知っているあの学校の体質ならば、退学という形とはいえ巣立っていった学生を粗略には扱わないと思うのだけれど。

  2004年05月17日

• 給与計算

  「会社で、全員に1円の間違いもなく給料を払うことはものすごく難しい」と聞いたことがあった。かつて営業マンだった頃の僕は自分の給与明細にはけっこう無頓着で、正確に計算されてて当たり前だろうくらいに思っていた。今日初めて給与計算を手伝ってみて、こりゃ全員に間違いなく払うのは不可能だ、とすら思ったね。基本的に前月と同じ額がベースになるのだけれど、人によって時給が上がったり、月々に支給する交通費の額が微妙に変わっていたり、アルバイトからパートに昇格することで雇用保険料や健康保険料が発生したり、売上のよかった店の従業員に「大入り」が出たり、微妙な増減は枚挙にいとまがない。給与計算というのは仕事としては裏方だけど、必要不可欠。自分の知らなかったいろんな仕事があるんだなということを実感している。

  2004年04月27日

• バイト代

  通院したあと、しばらく休んでいたバイトに復帰した。主治医の先生は、「環境の変化の中でけっこうしんどい思いをしているんじゃない？」と僕のことを気遣い、今回は減薬を見送った。相変わらず抗うつ薬3種、抗不安薬1種、気分安定薬1種、抗精神病薬1種、睡眠導入薬1種、あわせて1日に21錠もの薬のお世話になっている。少しずつ減らしていきたいとは思うけれども・・・今月のバイト代を計算したら、15,400円だった。今のところ楽な仕事ではあるけれども、毎日事務所に通って、慣れるのに一生懸命なので、「・・・たった、それだけか・・・」としょんぼり。自分で生活し、家族を養うだけのおカネを稼ぐということのなんと難しいことか。こころの病気からの社会復帰の困難さ・・・身にしみて感じる。こうなってしまう前に、各個人が、そして職場が、社会が、勤労者のメンタルヘルスケアに努め、こころの病を予防する方向に行かないとだめだと思う。ゼミの教授が、「あなたの経験を公の場で発表することはとても意義があるよ」と在学中から励まし続けてくれたが、社会復帰の困難さも含めて、いつか闘病の記録をまとめて形にしてみたい。

  2004年04月26日

• MBAくずれ・・・

  昨日の部長さんたちとの飲み会はけっこうショッキングな体験でもあった。帰ってきてから鬱に入り、悲観的な気分から抜け出すことができない。昨夜はよく眠れなかった。たまらず主治医のところへ駆け込んで話を聴いてもらった。僕には僕なりのMBAくずれとしてのプライドがあって、部長さんたちに僕なりの意見を言えたらいいなあ、などと思い上がっていたのだけれど、現場で汗水流して頑張って身に着けたふたりの知恵の前には、ビジネススクールで必死こいて勉強したことなんてペラペラの紙切れみたいに思えた。何も言えずただ彼らの話に聞き入る自分が情けなく思えた。ただ、彼らの現場の知恵と、僕が学校で学んだこととが符合している点もあったから、学校でやったことが役に立つとすれば、会社に対して僕の学んだことで貢献するというよりも、僕自身が今の会社のことを理解する助けにする、というふうな役立て方になるのだろうと思った。現場経験豊富なたたき上げ相手にビジネススクールの理論を振りかざしたところで反感を買うだけである。とにかく謙虚に一から教えを請うという姿勢しかない。プライドの高い僕にはこれはとっても辛いことである。仮に僕が父の跡を継ぐとして、経験の豊かな昨日の部長さんたちみたいな人たちの上に立ってうまくやっていけるだろうかと思うと不安で、ひどく悲観的になる。いや、上に立って、という考え方自体が思い上がっているのだろう。虚心坦懐に彼らの声に耳を傾けて、盛り立ててもらうことができるように人間的な魅力を磨き、また会社の仕事も覚えていかなくてはならない。ここでの僕はMBAくずれなどの肩書きでは通用しない。ただの新入社員なのだ。これはものすごく辛く厳しい現実である。主治医の先生は、厳しい現実を突きつけられた僕の苦しさをよく理解してくれた。これから現実に直面すると今回のような形で鬱に入ることはしょっちゅうあるだろう、そうやって強さを身につけていくのだ。今の謙虚な心を忘れなければいい跡継ぎになれそうだね、と言っていた。しばらくバイトを休むことも薦められた。

  2004年04月22日

• Informal network

  現在のバイト先である実家の会社を支えているキーパーソンふたりと飲みに行く。OBの授業で習ったinformal networkingを実践してみたわけだ。僕は一歩引いて彼らの話を聴くスタンスを貫いたところ、現場、実地、足で稼いだ経営学を聞けて非常に勉強になった。いわく、部下のやる気を出させるのは承認のまなざしと、上司からのコミュニケーション、どれだけ話を聴いてあげるかといったインフォーマルな部分が大きく、おカネはあんまりモチベーションと関係しない。（OBの授業で習ったことと符合している。今流行のコトバで言えばコーチング、メンタリング？　そのへんの勉強をしてみたくなった。）現場にautonomy（自律性、裁量、自由度）を与えると、確かにモチベーションは上がるが、任された人の力量以上のモノが出てこなくなってしまうリスクがある。任された人が自分で開発したモノにこだわってしまいそれ以上のモノができなくなる。彼らに対しては、僕が学校で勉強したことを話にあまり持ち出さないほうがいいな、という感じがした。当分は謙虚に教えを請う姿勢が大切だろう。

  2004年04月21日

• バイトのこと＆上京計画

  今日もバイトしてきた。仕事は初体験の経理事務である。まだまだ初心者のアルバイトなのでやらせてもらえる内容はちょっと単調ではあるけど、会社で起こっていることの流れが数字でわかって面白い。今日は店舗別の月次損益表を見せてもらった。同じような商売をしているはずなのに、店によって儲かっているところ、儲かっていないところハッキリしている。その原因はどこにあるのだろう。これからそれを少しずつ探って、よくしていくのだと思うと、面白さを感じる。今はバイトだけれど、だんだんと体を慣らして正社員を目指すのが現時点での目標。正社員になって収入が安定したら、結婚相手を探そう。しっかりした家庭を築いて、身も心も落ち着けることが病気を抱えて生きていくうえで重要なことだと思うから。それから、いまだ衰えぬ向学心についても、やり場を考えている。昨日、地元の市立大学に行って、科目別履修制度についてきいてきた。正式に入学しなくても、1科目50,000円ちょっと払えば大学院経営学研究科の授業が聴講できる。授業は昼夜開講制で夜もやっており、ひとつの授業が週に90分をひとコマ、通年で4単位というシステムだ。今年度の募集は締め切られてしまっているが、来年度1科目履修してみようと思う。学位はとれないが、そんなことはかまわない。好きな勉強を続けられるということが大切だ。帰ってから、精神科ナースの友達と電話。久しぶりに話したのだけれど、考え方が前向きで柔軟になったね！と褒められた。うれしかったね。6月の下旬くらいに上京しようと思う。アメリカでMBAをやっている親友が帰国してくるし、上述の精神科ナースほか、会いたい友達がたくさんいるし、お世話になった大学院の教授やクラスメイトにも元気な顔を見せたいからね。がんばってバイトして飛行機代をためよう。

  2004年04月17日

• バイト2日目

  朝カウンセリングにいった。退学、今後についての深い悩みなど大きい波を乗り越えて頑張っているね、大人になったねとほめられた。社会復帰の第一歩として実家にバイトの仕事を用意してくれた両親は、やはり僕のことを深く考えてくれているように見えるよ、とも。今日は昨日の疲れがあってバイトにいきたくなかったのだけれど頑張って行き、2時間だけ働いた。働いている間は集中するのでいやなこと、気苦労を忘れる。気分転換に短時間のバイトというのはなかなかいいようだ。帰りにまたクリニックに寄って仲良しの患者さんとおしゃべりして、彼女が病院に持ち込んでいるPCでGoogleやAmazonの使い方をコーチして帰る。

  2004年04月14日

• 何年ぶりかの労働

  僕が病気になって働けなくなったのは2001年の2月である。それ以来3年以上、自分の手で稼ぎを手にしたことがなかった。入院してベッドで寝ていたり、自宅療養していたり、学生をしていたりで、なかなかほんとうの意味での社会復帰ができていなかったわけだ。学費や治療費、生活費など、親に負担ばかりかけてきた。今日、実に久しぶりに働いてお金を稼いだ。これは想像以上に喜ばしいことだった。実家の会社の事務所で簡単な事務作業を半日やっただけだが、コンディションがまだ完璧でないし、仕事のことがまるでわからないのでけっこうたいへんであった。でも、今日手にしたアルバムCD1枚分にも満たない稼ぎは、生涯の記念になるだろうという気がした。ようやくの、第一歩である。これを読んでいる同病のみんなも、希望を捨てないでほしい。僕みたいに社会復帰への一歩を記せる日はきっと来るから・・・。

  2004年04月13日

• 面接

  サマーインターンの面接に行く。トップをはじめ3人の方と続けざまに会い、こってり2時間インタビューされた。うまくいったかどうかはわからない。ただ、その会社で働く上で今の僕に欠けているものを具体的に指摘してくれた。人材の確保にものすごく熱心な会社という印象。「あなたは何が好き？」「何が得意？」「何が苦手？」「どうしてそう思うの？」「やりたい仕事は？」「その仕事に求められているものはなんだと思う？」「その求められているものをあなたは持ってる？」「足りないとしたら何が足りない？」「どうすれば足りないものを補える？」こんなふうに、矢継ぎ早に問い詰められて、へとへとに疲れたけれど、すごく刺激になりかつ勉強になった。いい経験だったと思う。

  2003年09月03日

• 迷いまくった1日

  キャリアコンサルティングを受けに人材エージェンシーを訪れる。今回のコンサルタントはMBAホルダーだという男性。MBAと転職の関係について聞いたら、「経営学は机上の空論！MBAで学んだことを生かして転職しようなんて考えないことです。役に立たないから。ファイナンス以外の科目は、自分が面白いと思うもののほかはまじめにやらなくていいですよ。」と、えらく割り切った答えで、びっくりする。「ただ、海外に住んでものの見方が広がったことは確かです。交換留学で海外に行くのは、賛成ですね」とのこと。履歴書を渡して、病気のことも正直に話した。やりたい仕事は？と聞かれたので、「顧客との利害を調整する仕事ではストレスに耐え切れない。営業はもう嫌だし、MBAに人気のコンサルなんかも向かないと思う。今グロービスで勉強してるHRMが面白いので、人事とか経営企画なんかのスタッフをやりたい」と答えたけれど、「これまでの経験が営業ばかりで、スタッフ系のバックグラウンドじゃないから難しいですね」と言われてしまう。で、過去の仕事のことを詳しく話すと、「リサーチ会社とかシンクタンク、あとは博士課程に進んでアカデミックな道を目指すとかはどうですか？」とのことだった。サマーインターンは、意外とコンサル会社で探した方が、リサーチっぽい仕事ができていいんじゃないか、でも海外のトップMBAと競合するから厳しいですよ、と言われる。最後に、「性格的にあなたは真面目すぎます、適当に、肩の力を抜きましょうね」とアドバイスされた。「そうかぁ。自分はやっぱり研究者向きなのかなあ」と考えながら家に帰ってきて、「そうなるとMBAより研究者向けのアカデミックな大学院の方がいいんじゃないか!?」などとまた気の迷いが出てしまう。で、前から気になっていた一橋の商学研究科のHPを見て、「研究者養成コース」を調べる。おおっ！MBA課程だとファイナンスとかマーケティングとか広くいろんな科目を履修しなきゃいけないのだけど、研究者コースは興味のあるものだけ狭く深く履修するようになっている！これはいい！来月入試があるから受けるだけ受けてみようか、と本気で考え、募集要項をダウンロードし、入試の日程までチェック。ところが、2次の面接がICSの新入生向け合宿研修と重なることがわかり、「あー、これじゃ受けられないなぁ」と思ったところで、「ハッ」と我に返った。アクシアムのフォーラムで、「自分のおかれた環境のポジティブな面を見ましょう」といわれたのを思い出した。研究者になるにしたって、ICSで一通り広く基本を勉強できるのも、英語で最新の文献に触れられるのも、ケースで実務的な課題に直面できるのも大切なことだ。ICSにも博士課程だってあるんだし。まずは目の前の（最近、こればっか！）ICSのMBAに全力投球！これでいこー。

  2003年08月18日

• 不採用通知

  インターンを申し込んでいたメンタルヘルス系外資系企業から不採用通知が来た。英語インタビューと和文英訳課題でさんざんプレッシャーをかけられ、やたら厳しそうなところで、病み上がりにはキツイと感じていたから、若干ほっとしているところもある。いわく、「英語はお上手ですね、でも直訳している傾向があります。もう少し練習されるといいですね。担当者が夏休みをとりますのでトレーニングをしてあげられないので、受け入れできません。」しかし！インターンはこの夏すぐにやらせてくれって言った覚えはないぞ、来年の受け入れを頼んだのに。それでオフィスの見学とかさせて下さい、と言っただけだぞ。和文英訳課題で「傾聴について」という題で、相手の話をよく聴きましょう、っていう文章を読ませておきながら、ぜんぜん僕の話を聴いてないじゃないか。傾聴の練習しろ、と言ってやりたい（笑）

  2003年07月30日

• 出会いなんてたくさんある！

  しばらくぶりに予定を入れずゆっくりする。高橋俊介教授のキャリア論の続きを読む。非常に面白いことが書いてある。「幸せなキャリアは、ある天職との出会いが決めるものではない。日々新しい仕事の方法を考え、自分なりのポリシーで積極的に仕事に取り組み、多くの人とのネットワークを構築する、そういう努力の積み重ねが、結果として充実したキャリアを作るのだ。」「結婚も同じ。運命的に出会った人との結婚が幸せを決めるのではない。同世代の異性のうち三人に一人は自分に合う人なのだ。むしろ幸せを左右するのは、その三人に一人の相手と、結婚した後どんな結婚生活を作っていくか、ということである。」「仕事も、世の中の三つの仕事のうちひとつは、あなたにとってやりがいのあるもの。三分の一をはずさないようにする職業選択も大切だが、その仕事とどう取り組むかのほうがより大切なのだ」この話を、キャリアと恋に悩む女友達に電話でしたら、「そうかー、でもさ、三人に一人と結婚してうまくいくっていったって、男友達が三人しかいなかったら、選択肢はひとりしかないよねー。がんばって男友達三十人までふやさなきゃ。そうすれば十人から選べるわ♪」　いや、ごもっとも（笑）

  2003年07月27日

• フォーラム「キャリアの選択肢」

  キャリアの転機に立ったときどうするか。留学、転職、起業などいろんな選択肢がある。今日は自分で自分のキャリアをマネージして、それぞれの選択肢を実現してきた若手ビジネスパーソンによるパネルディスカッションを聴いてきた。（主催は、7/11の日記に登場したアクシアム社）みんな僕と同年代なのだが、自分のやっている仕事が好きで好きでたまらない、という人たちばかりで、とてもうらやましく感じる一方、非常にプラスの刺激を受けた。パネラーのひとりに僕と同い年の女性がいて、強烈な輝きを放っていた。彼女は大企業に所属する社内起業家である。ある女性学者との出会いでインスパイアされて、このままではいけない、と大学を休学してアメリカを放浪。ベビーシッターのバイトをして、そこの母親が育児休暇を有効に活用して勉強し、キャリアアップしていくのを見て、「これだ！」と思ったのだという。「日本では、子育てで女性のキャリアは中断してしまう。日本も、女性が普通に仕事と子育てを両立できる社会にならなければおかしい。」そう感じた彼女は、社会人になって2年目に社内ビジネスプランコンテストで勝ち残り、育児休業している女性が育児の合間にオンライン講座で勉強できるシステムを作って、法人向けに売り歩いている。営業のキメの文句は「おたくの会社の女性は輝いてますか？」なのだそうだ。「日本の女性の働き方を変える」という強い信念を持っていて、行動にまでそれが一貫しているところがすごい。それから、放浪の旅という一見無駄なところからライフワークが見つかることもあるんだな、というのも印象的。何が幸いするかわからないな。もうひとつ、彼女の言葉で印象に残ったのが、「今あなたがおかれている環境にはプラスとマイナスがある。マイナスを数えたらキリがないけれども、逆に今の環境だからこそできることもあるはず。今の環境をポジティブにとらえるようにしましょう。」というもの。僕の身に置き換えると、病気という一見マイナスのファクターがあったけれども、そのおかげでビジネススクールに進学できるという道が開けた。ビジネスマンとしてのキャリアは中断してしまったけれども、せっかく開けた進学という道を大事にして、ビジネスクールでしかできないことを目一杯頑張ってみよう、と思った。もうひとり、印象に残ったパネリストは、UCバークレーを卒業して即、事業開発のコンサルティング会社を企業し、世界をまたにかけて活躍している男性。彼の言葉で印象的だったのは、「転機に立ったとき、合理的かどうか、損得勘定だけで選択をするんじゃ面白くないですよ。僕はいつも、自分が燃えられるかどうか、楽しめるかどうかで選びます。何もないところから作り上げるのがとにかく好きなんです。自分の収入が上がるかという合理性だけで考えていたら、今のような道は歩いていないと思いますね。数あるキャリアの選択肢を選ぶときには、自分がそこから何を得たいかをハッキリさせておくべきだと思います。」というもの。僕がビジネススクール進学という道に進んだのは、正直言って周囲の勧めとか、当時の会社から逃げ出したかったとかいう情けなくかつ消極的な動機でしかなかった。ビジネススクールでの2年間で、彼のようにブレない軸をもった価値観が構築できればいいな、と思った。それからもうひとり、アメリカにMBA留学し、現在戦略コンサルタントとして活躍する男性もいた。彼には僕から「留学して何がよかったですか？」とシンプルに質問してみた。「ビジネスの共通言語を学べたことももちろんよかったんですが、それよりも世界中から来ている学生との交流ですね。自分でマネージすれば意外と自由な時間ができますから、その時間を使ってクラスメイトと交流して、ものの見方が広がったことが一番よかったです。いろんな生き方に触れられました。インターンシップも、投資銀行とか、キャリアコンサルティングとか、いろんなことができていろんな人に会えましたし、今の戦略コンサルの会社でも優秀な上司たちと議論を尽くすことができてます。そういう人との出会いが一番の財産ですね」という答えがもらえた。正直、一橋ICSは授業が英語ということで、わざわざ英語でやることのメリットって何かあるのかな、勉強が消化不良になるだけなんじゃないかな、といぶかしく思っていたんだけれど、英語で授業をやるからこそ、世界中からの留学生と触れ合えるというプラスの面がある。これも、先の女性の言でいうところの「今の環境をポジティブに見よう」っていうことだね。軽い気持ちで参加したが思わぬ収穫が得られた。まずは僕は僕のできること、目の前のビジネススクール進学に目一杯ぶつかろう。

  2003年07月26日

• キャリアのこと

  今日は大学の図書館へ行って勉強。おもにグロービスの教科書「MBA人材マネジメント」を読む。日本型雇用の話に始まり、採用･配置、評価、報酬、能力開発と読み進めたが、出てくるシステムの運用方法について具体例が示されていなくてぜんぜん面白くない。人的資源の問題はやっぱりケースで考えないとつまんないなあ、といらいらしながら、次のキャリアについてのところを読んでいたら、キラリと光る記述に出くわした。「キャリアの評価は自分以外に行ってくれる人はいない。自分が自分らしさを表現できる仕事の分野を自分自身でつかみ、いったんそれがわかったら、その思いにこだわり続けること。」ふむ、そうか、自分のキャリアに満足するもしないも、人の評価は関係なくて、自分で決めることなんだなあ。昨日の女友達の話とも通じる示唆だ。自分のキャリアは自分が満足できるように切り開く。それから、ある程度のこだわり、粘りも必要ということか。なるほど。

  2003年07月22日

• 突然の電話interview

  今日は完全休養日。朝までぐっすり寝て、朝食を食べたらまたまたぐっすり昼寝。かなり疲れていることを実感、でも眠れるというのはいいことだ。将来の就職先として興味のある、メンタルヘルスケアをやっている外資系企業があって、コンタクトを取ってみた。来年サマーインターンをやらせてもらえないか、ということを言ったら、電話がかかってきた。「予算がないので無給になります。あとバイリンガルでなければ勤まりません。いいですか」「職種は何ができますか」無給でもいいので手伝わせてください、マーケティングとか営業、アドミならできると思います、と返すと、「無給でも、かなり頑張ってもらわないと困りますよ。では今から英語でinterviewします」おいおい！それは急展開すぎるぞ！「当社の何に、どうして興味をもったの？」「あなたはもと営業マンで、お話しているとoutgoingな方のようだが、退屈なadministration workには耐えられる？」「精神的に健康でないと雇うわけにはいかない。健康状態はどうなの？まだ薬は飲んでるの？」「翻訳とか、英文書類での仕事はできますか？」などなど、しどろもどろの英語で答えたら、「では翻訳の課題をメールするので、この週末の間に訳してください」ということで話が終わった。いきなりガンガン試されているなあ、と思ったらなんだか闘争心をかき立てられて、とりあえず送られてきた和文の一段落目だけ英訳して、「まだ途中ですけど」と、すぐに返事を出した。外資系だからなのか、あと日本進出して間がないということで東京のオフィスはまだベンチャーみたいなものだからなのか、とにかくスピードが速くて厳しそうな職場だという印象を受けた。甘い考えで企業にコンタクトすると痛い目にあうなあ。社会の厳しさに久々に触れた感じがした。日系大企業のサラリーマンとしては触れたことのない種類の厳しさだった。

  2003年07月18日

• キャリア考

  今日は上京以来初の完全休養日。のんびり昼寝。キャリア研究の権威、慶應の高橋俊介教授の本をパラパラ読んだ。高橋氏も先日のキャリアコンサルタントと同じ意見で、5年後10年後の自分なんてイメージできなくて当然、成功するキャリアは日々の努力の積み重ねの延長線上に形成されるのだという。だからといって将来を見据えて自分の能力を高める工夫をしないのはダメで、どんどん新しいことに取り組んで自分の可能性を発掘する努力をしよう、ネットワークを広げよう、スキルを高めよう、ということが主張されていた。ほんとに自分の興味あることかどうかはわからないにしても、ビジネススクールというところで新しいことに取り組むことは、自分の可能性を発掘し、ネットワークを広げ、スキル（というよりは潜在能力か）を高めることにはなるなあ、と自分を納得させてみる。今朝目を覚ました時点ではほんとに疲れていたのだけれど、この日記を読んでくれている複数の方々が心配してメールや電話をくれた。とてもうれしくて、元気が出た。

  2003年07月13日

• キャリア・コンサルティング

  今日は、MBAホルダーのキャリアメイキングを得意とする人材エージェンシー「アクシアム」を訪れ、コンサルタントの方と1時間ほど話してきた。やっぱりコンサルティングを受ける前にある程度自分のキャリアビジョンというものを定めて、それを語れるようにしとかなきゃなあ、と思って、今朝、買ったまま読んでいなかったキャリアメイキングの本をパラパラとめくってみた。「10年後、自分がどうしていたいかを考えよ」「MBAを取っていれば有利だというのは幻想である」「やりたいと言っていることの具体的なイメージを持っていない求職者が非常に多い」とかなんとか書いてあって、「うひゃあ」とビビってしまった。何しろ、学生時代から「国際ビジネスマンとして社会に貢献するぞ」と息巻いていて、その夢を実現した結果病気になっちゃったわけで、それ以来やりたいことが何なのかさえわからなくなっているからだ。こんな状態でキャリアコンサルティング受けたって意味ないんじゃないか、あまりのビジョンのなさに、コンサルタントに呆れられて終わるんじゃないか。困った困った。で、困った末、「まあいいや、何がやりたいのかわかりません、って正直に言おう」と決めて（というよりほかしょうがない）出かけた。コンサルタントは30代半ばの人当たりのいい女性。最初に言われた言葉でびっくりした！「同業他社さんなんかだと、こういうふうにお話させて頂く時に、5年後、10年後どうしていたいですか？なんて訊くみたいなんですけど、私はそんな質問、意味ないと思うんですよ」　おお、まるで僕の不安を見透かしているようじゃないか！　「だって日本が10年後どうなっているかだってわからないでしょう？　私自身、自分の10年後なんてわからないですし。そんな先のことを考えるよりも、どれだけ目の前のことに集中して取り組むかが大切だと思うんですね。成功した方のキャリアのお話をうかがうと、皆さん、目の前のことに頑張っているうちに、意図せざる出会いがあっていい方向に転がった、っておっしゃるんですよ」　なるほどーっ！　「ですから、はっしーさんもまずこの秋からの学校を頑張ってみて下さい。お勉強も大切でしょうけど、それよりも、バラエティに富んだクラスメイトの方々と交流して、ああ、こんな人生もあるのかあ、っていう発見をたくさんされたらいいですよ。」ああ、この人、話がわかる、うれしいなあ。では正直に話してみよう。「ほんとに今、何がやりたいかわからなくなってるんです。実はMBA取ろうって思ったのも、病気で挫折した僕に、父が提案してくれたことなんですよ。自分の意志ではないんですよねー・・・」　「でもおかげで、ビジネススクールで勉強できる、っていう道が開けたわけですから、ラッキーだったじゃないですか！　それに卒業される時点でまだ30歳じゃないですか！まだまだこれからですよー！」というわけで、どうやら焦りすぎてたようですな。すごく気が楽になった。まずは大学院で一生懸命がんばること、クラスメイトとの出会いを大切にすること。それで道を開いていこう。

  2003年07月11日

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