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17世紀ヨーロッパの最大の頭脳、物理学者で数学者はイギリスの造幣局長官として、イギリス貨幣制度を安定させ且つアイルランド収奪に寄与する所が大きかったと言われています。
アイルランド人であったスウィフトはその収奪ぶりを批判するのを目的として、ニュートンを「巨人ガリバー」に見立てて諷刺せざるを得なかった様なのです。それ程収奪は組織的に行われたので、スウィフトは弾圧を恐れ諷刺小説という形でしか対抗出来なかったのです。 現在では両国間に協定が成立し沈静化していますが、1949年のアイルランド独立後も、様々な対立や暴動の続く、所謂アイルランド問題の発端を作ったと言う説さえあるのです。 ニュートンは1643年に月足らずの未熟児として生まれましたが、父は誕生前に死亡しており、母親はその後再婚してしまい養育費を送って来るだけの孤児となりました。少年期から「村の小魔術師」として奇妙な玩具を手作りし、青年期からは錬金術への傾倒が始まり、秘密裏に一生続くことになりました。 幸いにしてケンブリッジ大学に進学することが出来たのですが、貧乏だったので、寮費の免除と引き換えに雑役をし、その間にデカルトやパスカルを学んだようです。 20代半ばで教授に推薦されるほど、頭脳明晰だった様ですが40代半ばに大学行政に手腕を発揮し、名誉革命後は政界入りを策すのですが果たすことが出来ませんでした。 結局、造幣局長官になって莫大な財産を蓄え、王立協会会長としてイギリス知的階級に君臨したのです。 彼の著書「自然哲学の数学的原理(プリンキピア)」は、フランス・パリサロンの貴婦人達にとって聖書となり、啓蒙主義者を鼓舞する「新秩序原理を展望させる」革命の聖書でもありました。アメリカ独立戦争を、又フランス革命の原動力になったと言われているのです。 ニュートンは、一生を「女嫌い」で通し、晩年には深紅の家具の部屋で暮らしたと言われ、それは何者かに向けられた怒りの色でありました。 表で概念の実体を神の栄光と共に明らかにしつつ、陰の部分に深いデーモンの深淵がある、深紅の怒りに包まれた凄まじい老人であった様です。 出典は「魔術から数学へ」森毅-講談社学術文庫です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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