テーマ:気になる技術動向(1285)
カテゴリ:Technology
無尽蔵の太陽エネルギーを使って、水素ガスを製造し、燃料電池で動力・電力を得て、環境を汚さずに生活する、そんな時代が来て欲しいものです。
太陽エネルギーは廃棄物を伴わない、環境に優しい無尽蔵の究極のエネルギーと言われていますが、家庭用及び小事業所用太陽電池は、なかなか実用発電規模のものが登場しません。 光を照射した時に照射されたものが電気を発生する現象「光起電力(Photovoltaic Effect)」を利用しているのですが、変換効率が低く、理論上は30%可能と言われながら、現状は僅か8~12%にしか達していないのです。 米国航空宇宙局(NASA)では、電気接合部を全て裏面にする工夫で20%効率を実験中ですが、未だその規模5kWに過ぎません。 太陽電池は分散型電源に留まり、MW級の大規模発電には燃料電池等の発電方式が妥当と思われます。 一方エネルギー源を水素とする水素経済時代の到来は、多くの環境保護主義者も賛成し期待する所が大きい様です。 確かに水素自動車の排気からは、水蒸気しか排出されません。しかし、現在水素を製造するには、化石燃料を改質した製法が工業的には一般的ですからエネルギー源の枯渇は避けられません。 電力を使った水の電気分解によって水素を製造するのであれば良いのですが、水力発電が多く料金の安いカナダ、その他アイスランド以外では、現状の電力料金では経済的に成立しない様です。 太陽エネルギーによる水素燃料製造が実現出来てこそ、新時代が到来すると思っているのですが・・ それを結びつけて解決しようとする開発努力が米国機械学会の「電力&エネルギー(Power & Energy)」創刊号(March/2004)に記載されていますので紹介します。 地球上に降り注ぐ太陽光線は希釈されて弱く、最大で1kW/m2しかありませんし、昼間しか使えない不便さがあります。 そこで、砂漠等の人の住まない地域で、その太陽光線を如何に絞って集中させ、貯蔵し、人口の多い工業地域に運搬するかが開発目標となります。 絞って集中させる方式は、レンズで光線を絞ると紙等が燃えますが、その昔ながらの方式が採用されます。 ![]() この直径8mのパラボラ集光器は、スイスに設置されたものですが、5000倍の集光し5MW/m2光源となります。 この高エネルギー源を使って、2000℃に達する高温の化学炉を構築し、其処に酸化亜鉛(ZnO2)を投入しますと純金属亜鉛(Zn)となります。現在は分離された酸素ガス(O2)は大気中に放出しています。 その金属亜鉛を別設置の反応炉に持ち込み、水と反応させますと水素ガス(H2)を生成し、酸化亜鉛(ZnO2)に戻ります。 亜鉛はリサイクルされて高温の化学炉に送られますので、廃棄される副産物は何も出て来ないのが、この開発の最大の利点となります。 方式そのものは目新しいことはありませんので、開発の困難さはそれ程大きいと思われませんし、副産物が一切無いのが一番良いと思われます。 有望視されている太陽電池も、設置数が格段に多くなると寿命に達した電極が再生リサイクルされること無く廃棄されることになりますので、上記に紹介した方式の方が優ると見ています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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