ローマ中央駅から遠くない処にある国立絵画館を訪問してから24年がたちました。
元来はバルベリーニ宮殿、ベルニーニ設計のバロック様式の建築物で、13~16世紀までのイタリア・ルネッサンスの絵画を展示していることで知られています。
絵画館2階の大広間に残る、ピエトロ・ダ・コルトーナのフレスコ天井画「神の摂理の勝利」は、日本ではこの画家の名は殆ど知られていませんが、素晴らしいものがあります。
バルベリーニ家は、トスカーナ地方の出身で、ローマ法王ウルバヌス8世を出しているのですが、それを記念しての作品と言われています。
同絵画館は展示油彩の数は多くないのですが名品が多く、ラファエロの「フォルナリーナ」、フィリッポ・リッピの「聖母と幼児キリスト」、カラヴァッジョの「噴水の傍のナルシサス」、ティツィアーノの「フィリップ2世の肖像」、ホルバインの「ヘンリー8世の肖像」の他、ティントレット等の作品が何気なく展示されていますのが、名品を誇らない感じがして良いものです。
今回日本でのカラヴァッジョ展に、この初期の傑作が展示されているらしく、懐かしさを感じます。
カラヴァッジョのナルキッソス 1598-99製作 110×92cm
水に映る己の影を求めても得られないという懊悩が見事に表現されていて、自信の程が窺われます。
カラヴァッジョは自信家でしたが、激情家で乱暴者でもあって殺人事件や負傷事件を犯してしまい死刑宣告を受け、最後は刺客に殺されてしまうと言う異色の画家だった様です。