「谷間の灯火」は、故郷を懐かしむ抒情歌の名曲として、今でも広く親しまれていますが、アメリカの原曲では、死刑に相当する大罪を犯して逃げ回っている逃亡犯か、若しくは牢獄に入り死刑執行を待つ身でしかない犯罪人が、故郷とそんな息子の罪を知らない母親を思いやるしかないと言った極限的状況を歌った悲しい歌詞となっています。
When it's Lamplighting Time in the Valley - Norman Blake & Rich O'Brien
So she lights up the lamp and keeps waiting
For she knows not the crime I have done
But I have changed all my ways and I'll meet her
Up in Heaven when life's race is run
When it's lamp lighting time in the valley
Then in dreams I go back to my home
But I've sinned against my home and my loved ones
And now I must evermore roam
日本では昭和9年(1934)、東海林太郎の歌でヒットしました。
日本語詞は、単にふるさとを懐かしむ内容になっていますが、原詞では、2番のコーラス部分と3番にあるように、罪を犯して逃亡中の男が主人公になっています。
3番の"when life's race is run" は、「命が尽きるとき」という意味で、処刑を待っている囚人なのかも知れません。
「もうお母さんにはあの世でしか会うすべがない。お母さんはそんなことを知らずに、おれの帰りを待ち続けているだろう」といった悲しい歌です。