ひえつき節は、宮崎県東臼杵郡椎葉村地方で、稗をつくときにうたわれた仕事歌を由来とする民謡で、哀愁のあるメロディーで良く知られています。
椎葉村は平家の落人部落ともされる秘境で、隣町の綾町までしか行ったことはありませんが、綾の大橋の上流は愕くほどの住む人の少ない山村でした。
平家討伐を命じられた源氏の武士那須大八と平家の娘鶴富姫の情話にまつわる歌詞が人気を博し全国に広まったとされています。
稗搗節【ひえつきぶし】
九州地方の代表的民謡。宮崎県東臼杵(うすき)郡椎葉(しいば)村で歌われてきた。本来は、焼畑のヒエ畑から穂先だけを刈り取り、木の臼(うす)に入れて杵(きね)で搗(つ)いて脱穀するときの仕事唄(うた)である。ヒエを常食してきた農村、岩手県の北上山系地帯や熊本県の山地では、ヒエを搗くおりの仕事唄がいまも残っているという。宮崎県の椎葉村でもヒエやアワを栽培し常食とし、冬の農閑期に一つ家に集まり、ヒエを搗きながら唄を歌う。男女が集まれば恋の唄の掛け合いとなる。
椎葉村のこの仕事唄は、ダム工事に村に入った工事関係者たちから広められ、1953年レコードに吹き込まれてから全国的に普及した。とりわけ那須(なす)大八郎と鶴富(つるとみ)姫とのロマンスを盛り込んだ歌詞は、若い人たちにも受け、秘境の観光宣伝とともに、訪れる人たちの口から広められて行った。
YouTubeにアップロードされている内で、ビクター少年民謡会の唄うものが秀逸で、その他にも優れた歌唱が多く、五木の子守唄も絶品とされています。
ひえつき節 ビクター少年民謡会