モーツァルトは、弦楽四重奏曲はイタリア風なミラノ四重奏曲(6曲)を作曲し、その後ハイドンに私淑してウィーン四重奏曲(6曲)を作曲しましたが、ハイドンが1781年に新たなロシア四重奏曲(6曲)を完成、古典主義的ソナタ形式を確立するに至ったことに、モーツァルトは重要性を認めて研究し、自らも新たな弦楽四重奏曲の作曲を決意、そして2年あまりを費やし、1785年にハイドン・セット(6曲)を完成させました。
ハイドン・セット(ハイドン四重奏曲)は、モーツァルトの作曲した6曲の弦楽四重奏曲(K. 387、K. 421、K. 428、K. 458、K. 464、K. 465)である。まとめてフランツ・ヨーゼフ・ハイドンに献呈されたので、このように総称される。
モーツァルトが2年あまりを費やして作曲した力作であり、古今の弦楽四重奏曲の傑作として親しまれている。
ハイドン・セット第1曲は、春と題される明るい曲想ですので、楽しく気軽に聴くことが出来ます。
Mozart: String Quartet No. 14, Spring | Gewandhaus Quartet
ハイドン・セット第6曲は「不協和音」と題され、第一楽章冒頭のアダージョは異様とも聴こえる和音を持ち、その後は一転して明るい曲風のアレグロが始まります。
この曲想にベートーヴェンは感銘を受けて、弦楽四重奏曲中期の作曲集とされるラズモフスキー3番で踏襲されています。