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カテゴリ:社会問題
日本の大学の国際化に向けて
東大が、5年ほどかけて秋入学に全面移行すると表明してから、他大学や産業界など多くのところで話題になっている。 既に、ツイッターでつぶやいたのだが、俺が所属する大学院(地方国立系の独立大学院)では、ずっと秋・春入学併用でやってきているので、ここに来て、やっと東大などが俺達に追いついてきたか?ってな感想だ(笑)。 団塊の世代前後の教授陣が仕切っている日本の多くの大学、とりわけ地方の国立系などは、新しいことをしたがらず、国際化にも関心がない所が多いだろうから、秋入学移行については「時期尚早」だの「日本社会に合致していない」だのと、やれない理由を探し出してきて反対することだろう。 それらの大学は、少子化の過程の中でどんどん入学定員も教育の質も低下させて潰れていく他はないだろうと感じる。 生産物だけではなく、教育サービスも含め、国際的環境に対して開かれた競争になっていくのは、今後むしろ必然の成り行きであり、学問・研究の分野など、本来、一刻も早く国際化して人的にも成果的にもやり取りするべき領域ではないか。 秋入学への移行などは、最低の制度的変更に過ぎないはずなのだ。 遅きに失しているのは否めないが、さすがに東大はその辺りの国際競争に対する意識はまだ捨てていないらしい。 ただ、上記の通り、秋入学への移行などは、最低限の制度的変更でしかなく、本格的に国際化を目指すのならば、大学及び大学院の授業の英語化などが必須であるだろう。 日本語と英語の授業提供が併存してもいいだろうが、少なくとも、英語での授業を履修するだけでも卒業単位を取得できるほど充実したものにする必要がある。 この点で、俺の大学院では既に授業や演習は全て英語でやっているので、アジアやアフリカなどの発展途上国から留学してくる学生が多い。彼等は、日本経済や日本社会の優れた点を学び取り、自分達の国の開発への参考にしたいと、今現在はまだ考えてくれている(この状況は10年後には全く分からないだろう。むしろ、中国や韓国がアジアの発展の教訓を教える立場になってしまうかも知れない)。 この時期を逸することなく、日本の大学が英語化して世界の若者とアカデミックなコミュニケーションを行なうことは、極めて重要なことだ。 だが、当然のことながら、大学を秋入学と英語化するだけでは、もちろん不十分だ。 俺のアイディアは次のようなものだ。 (1) まず、現行の義務教育及び高等教育の学制(6-3-3-4制)を変更する必要がある。 世界の国では11年から12年の教育を義務教育としている国が少なくない。 また、日本においても、殆どの中学生が高校に進学している実情からして、高校を義務教育化し、文系・理系科目の基礎を学ばせるのが理にかなっている。 (文科省の「学校基本調査報告書」によれば、平成21年現在で高校進学率は97.9%。) (2) 次に、現在の大学受験状況を見るならば、現行の高校3年制は見直すべきだ。 いわゆる進学校と普通の高校とでは、明らかに3年間で行なっている授業の内容や進行速度は異なっていて、格差があり過ぎる上に、生徒達も余裕がない状態だ。 従って、大学で行っている教養課程のうちの1年を前倒しして、高校は4年制にした方がいい。 最初の3年間は、通常の高校で学ぶべき文系・理系の全ての科目を原則として履修するような授業内容とする。 そして、最後の4年目は、自分の進みたい専門分野を考えさせて(進学なのか就職なのか)、進学ならば、自分の志望する大学への受験準備時期とすべきだ。 その際、4年目の授業は、大学予備校などと連携して、受験用の授業を開講してもらってもいい。 更に、上記の大学秋入学と連動させて、ちょうど4年目の夏休みに受験とし大学の秋入学と進むようにすれば、高校までの入学時期は春入学でも問題は無いこととなり、合理的だろう。 (3) また、大学の教育年限も現在の4年制を変更し、修士課程とドッキングさせて、専門課程3年+修士課程2年の5年制とする。 専門課程3年の修了時には特別研究を課して学士号を与えるようにするが、飛び級制度も導入し、早期に修士課程に進学してもいい形とする。 また、通常5年の課程を履修して卒業する時は、学士号と修士号の二つの学位を与えるようにする。 そして、大学院は博士課程のみとして3年制とする。つまり、博士号を取得するのも、大学を卒業していれば既に修士号を得ているので、実質的に早期化することとなる。 (4) 高校を4年制として義務教育化した場合、小中課程を5年及び3年制とし、全課程を5-3-4制で12年とすれば、国際的にも大きな齟齬は生じないだろう。 大学を5年制、大学院を3年制とする点は世界的に画期的かも知れないと思う。 以上のように、日本の大学だけではなく、教育制度全体を国際化することが必要なのではないか、というのが俺の考えだ。 そのためには、教育立国という政策目標をしっかり掲げ、抜本的に教育全課程の見直しを行うぐらいのことをやらなければいけないだろう。 秋入学への移行などは、そのためのほんの小さな一歩に過ぎない。 ご賛同頂けるならクリックをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.22 22:28:05
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