９月１日がやってくる。
というか、新学期が、沢山の子供たちの上に訪れる。

その日を苦痛に思う感覚が少しでもあるなら、それを、しまわないで、誰かに相談しよう。
実は、それが、樹木希林さんが、望んでいたことだ。
内田也哉子さんが語っている。

今日も、空に飛び出した命があった。
リセットボタンを押す方が、楽かもって思うんだよね。
いや、もう、何も考えられないのかもしれない。
正常思考が失われているなら。

そうならない小さな違和感のうちに、どこかに訴えて欲しいんだ。
どこか、どこか、どこかに。

線香花火　持つ手離すなやみ深し　小芋

なやみ深き大人も線香花火持つ　　小芋

やみ深き夏の終りの大人等は　　　小芋


子供に限らない。
心病む大人は、多い。
私は今の勤務先にもう４半世紀勤めているが、心を病んでしまった人達を見て来た。

ふとした事がきっかけで、それまで当たり前にできていたことができなくなる。
双極性障害だと相談に来た人も居た。
転勤を機に強く病んで辞めた人や、転勤を前に辞めた人も居た。
思えば、男性の更年期障害だったりするかもしれない。

でも、うんと若い人も、仕事の辛さからか、病んでいるのを見た。

一人の女性のストレッサーが、何人もの女性を追い込んでいくのも見た。
若いのに、耐えかねて仕事を辞めてしまった女性もいた。
過呼吸でたびたび倒れる女性もいた。
しかも、ストレッサーの本人は、自覚的に発言し行動していた。

なんで、こんなに苦しむ人を追い込むのかと、ストレッサーを見ていて思ったものだが、

実はストレッサーたちも、強い障害を抱えていたりする。
持って生まれた特性から、対人関係が厳しい感じになることも、感じる。

強い精神力が有って、ストレッサーを跳ね返せたり、受け流せたりしているように見えても、

実は深い傷を、心に負っていたりする。

だから、大人でも、辛い、嫌だ、無理だをはっきりと言うべきなのだが、
勿論、察して支えてあげられれば良いのだけれど。

悩みを聞いてあげたり、その場を切り抜ける助け舟しか出せなかったり、
根本的な解決に持ち込めない「個」としての自分の弱さを感じる。

８月２４日に、胸痛む出来事があった。
まだ引きずっている。

でも、出来事は、起きてしまってからではどうしようもない。
当事者や周辺を支える努力は、出来事以前は小さい何気ないものだが、
大きな波が立ってしまってからでは、それ以前の状態に戻すことはできない。

無かったことにはできないのだ。

私たちは、しばしば、夢想する。
人生のいつかの時点に時計を巻き戻せるならと。

しかし、それは、絶対にできないことなのだ。
ほんの数分前にでさえ、戻ることはできない。

ならば、その涙ぐましい後悔と反省の思いは、「未然」「予防」に注ぎ込むしかないのだ。

６３年生きて来た。どこまでさかのぼれば正解なのかは、もはや考えるだけ無駄だ。
しかし、この先も続く老いの日々に、これ以上の後悔を生まないために、
今できることを、最大限にしよう。

８月２４日の出来事の、私はなんの当事者性も持たないことだけれども、
心病むハードワーカーを、少しでも医療に繋げ、予後を平らかにしてあげたい。
心から、そう思っている。

線香花火持つ離すなやみ深し　これは、私が、自分よりよほど当事者性の高い友人に送った言葉。
友人は、気づいてくれているかどうかわからないけれども。
「持つ手離すな」と、今にも地べたに最後の火が落ちそうな線香花火を、ちゃんと支えて欲しい。
深い悩みに、傍に居ながら気づいてあげられなかったのだから、せめて、今は、支えてあげて欲しい。

子供の頃、多動な私は、線香花火を最後まで楽しむことが難しかった。
これからっていう時に、ぽとっと音を立てるように線香花火の火薬は落ちたものだった。

今なら、６３歳の今なら、ちゃんと最後まで持てるだろう。
誰も、誘ってはくれないんだけれども。。。

老い老いて独り線香花火すや