カテゴリ:書評
「Steve Jobs II」 ウォルター・アイザックソン著、井口耕二・訳 【送料無料選択可!】スティーブ・ジョブズ II (2) (原タイトル:STEVE JOBS) (単行本・ムック) / ウォルター・アイザックソン/著 井口耕二/訳 ジョブスの伝記・全2作の後編です。 内容が非常に濃厚で読み終えるのに時間がかかってしまいましたが、後編は前編以上に読み応えバツグンです。 一旦解雇されたジョブスがアップルに再臨。 そして、マッキントッシュ、ピクサー映画、アップルストア、iPod、iTunesストア、iPhone、アップストア、iPad、iCloud、と次々にイノベーションを起こし、アップル再興を果たしてゆくのは爽快かつ圧巻です。 そして対照的に、IBMやマイクロソフトはその絶対的な地位を崩してゆく。 そうなってしまったことについてのジョブスの推測は的を得ているものだと思います。 それは、 「IBMやマイクロソフトのような会社が下り坂に入ったのはなぜか、僕なりに思う理由がある。いい仕事をした会社がイノベーションを生み出し、ある分野で独占かそれに近い状態になると、製品の質の重要性が下がってしまう。そのかわり重く用いられるようになるのが“すごい営業”だ。売上メーターの針を動かせるのが製品エンジニアやデザイナーではなく、営業になるからだ。その結果、営業畑の人が会社を動かすようになる。IBMのジョン・エーカーズは頭がよくて口がうまい一流の営業マンだけど、製品については何も知らない。同じことがゼロックスに起きた。営業畑の人間が会社を動かすようになると製品畑の人間は重視されなくなり、その多くは嫌になってしまう。スカリーが来たときアップルもそうなってしまったし?これは僕の責任だった?バルマーがトップになったときマイクロソフトもそうなった。幸いなことにアップルは立ち直れたけど、マイクロソフトはバルマーが経営しているかぎり変わらないだろう。」、と。 また、ジョブスが膵癌に罹患したことをもって述べたスタンフォード大学の卒業式での祝辞、いつ聞いてもこれほど素晴らしいものはないと思います。 「人生を左右する分かれ道を選ぶとき、一番頼りになるのは、いつかは死ぬ身だと知っていることだと私は思います。ほとんどのことが?周囲の期待、プライド、ばつの悪い思いや失敗の恐怖など?そういうものがすべて、死に直面するとどこかに行ってしまい、本当に大事なことだけが残るからです。自分はいつか死ぬという意識があれば、何かを失うと心配する落とし穴にはまらずにすむのです。人とは脆弱なものです。自分の心に従わない理由などありません。」 最後に、ジョブスの言う”クリエイティブな人間”というのは、エンジニアだけでなく我々のような研究者にも十分通ずる考えだと思われます。 「クリエイティブな人というのは、先人が残してくれたものが使えることに感謝を表したいと思っているはずだ。人類全体に何かをお返ししたい、人類全体の流れに何かを加えたい。それはつまり、自分にやれる方法でなにかを表現するってことなんだ。」 読み終えた時は、真剣に涙腺がゆるんでしまいました。 なんでも、映画化も予定されているそうな。 Macユーザーではない僕ですが、是非とも観に行きたいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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