長野県知事所信表明~福祉~
以下、村井県知事の所信表明演説のうち福祉に関する部分。「福祉について申し上げます。すべての人々が地域で支え合いながら、ともに生きる喜びを感じる地域社会づくりを目指して、福祉サービスの実施主体である市町村と協力しながら、福祉の充実に力を注いでまいります。本県は昨年、高齢者の人口に占める割合が23.6パーセントに達しておりますが、元気な高齢者が地域の担い手として活躍する場の拡大や、介護予防を推進するとともに、地域の実情に応じた介護の基盤整備を支援してまいります。また、障害者自立支援法の施行に伴う新しい仕組みの下での適切なサービスの確保や、年々増加する児童虐待への対応、ひとり親家庭の自立促進などに取り組んでまいります。これらの施策と併せて、性別や年齢の違い、障害の有無を問わず、一人ひとりの人権を尊重し合う共生社会の実現に向けて、人権尊重や男女共同参画のための取組を実施してまいります。」 以下、私の感想。 第1印象は極めて抽象的あるいは項目列挙的で、具体策がまるで見えない。おそらく知事には想定している具体策がないのではないか。また、はっきりいえるのは福祉に関して知事ははっきりした理念を持ち合わせていないということであろう。 高齢者福祉:高齢者の労働への期待及び介護予防の強調が前面に出ており、その裏に介護保険給付の抑制の意図が透けて見える。厚生労働省の方針そのままである。介護基盤整備に関しては、“地域の実情に応じた支援”とのみされており、要は市町村から挙がる要望を聞いてから考えると言うことか。 障害者福祉:障害者自立支援法の下での「適切」なサービスとは何か。全く見えない。今焦点となっている利用者1割負担についての公的補助に関して全くふれていないのはどういうことか。 子ども家庭福祉:児童虐待とひとり親家庭と項目を挙げたのみ。中身には全くふれていない。児童虐待に関しては国レベルで警察権力の積極活用と言う、慎重な議論が必要な問題をいきなり、かなり強いトーンで持ち出してきている。家庭生活への警察の介入という観点から県レベルでも議論は必要なはず。また、ひとり親家庭は格差拡大社会の中で、最も厳しい立場に追い込まれている。具体的な支援策が早急に求められるのに、知事の認識はどうなっているのか。 人権擁護・男女共同参画:題目だけは並べた形だが、これも具体策がまるでなし。人権施策に関しては特に理念をお題目として並べるだけでは実効性がなく、何もしないのと同じになってしまう。条例の制定(子どもの権利条例、障がいのある県民差別禁止条例等)を含め、具体的に何をするのか示さねばなるまい。 突っつきどころはたくさんあるので、トライアル信州、あおぞら、共産党県議団のみな様には、県議会での中身のある論戦を望む。