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カテゴリ:ポエム
ひと波 ふた波 ざざっーんと、足の指の間から ずるずると流れ出る 帰り砂 好きだったことはまちがいないけれど たしかに、こころのときめきはあった 恋と、私は思いたかった 愛と、私は信じたかった 会えなければ淋しかったし、会えば嬉れしかった でも、それは、青い青春の錯覚だったのか 自分の存在を確かめたいだけの 自分にも青春があるんだと 認めたいだけのことだったのだろうか あなたが、さようなら と言って去った夕暮れ 私は泣いた、膝を抱えて泣きじゃくった 涙は悲しみだけで汚れてはいなかった でも、死にはしなかった・・・ そして、やがて、すたすたと、私は歩き出したのだもの もう、ずっと、ずっと、遠い昔のことだけれど 遠い過去の中に閉じ込められたままになっていたけれど・・・ 胸をときめかした瞬間も、切なくて胸を痛めたことも 一緒に歩いた道のことも、放課後にフォークダンスを踊ったことも 図書館で、語った中原中也の詩のことも 卒業式に涙を流して、笑ったことも・・・ あなたの心の片隅にも、もう、私はいないのでしょうね わたしは、ときどき、ほんのときどき 林檎をかじったとき、ぱっと散る汁の匂いであなたを想い出します 作:深田みつこ ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。 またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.02.13 11:29:17
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