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2016.02.13
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カテゴリ:ポエム
夕焼け.jpg

ひと波 ふた波
ざざっーんと、足の指の間から
ずるずると流れ出る 帰り砂
好きだったことはまちがいないけれど
たしかに、こころのときめきはあった
恋と、私は思いたかった
愛と、私は信じたかった

会えなければ淋しかったし、会えば嬉れしかった
でも、それは、青い青春の錯覚だったのか
自分の存在を確かめたいだけの
自分にも青春があるんだと
認めたいだけのことだったのだろうか

あなたが、さようなら と言って去った夕暮れ
私は泣いた、膝を抱えて泣きじゃくった
涙は悲しみだけで汚れてはいなかった
でも、死にはしなかった・・・
そして、やがて、すたすたと、私は歩き出したのだもの

もう、ずっと、ずっと、遠い昔のことだけれど
遠い過去の中に閉じ込められたままになっていたけれど・・・

胸をときめかした瞬間も、切なくて胸を痛めたことも
一緒に歩いた道のことも、放課後にフォークダンスを踊ったことも
図書館で、語った中原中也の詩のことも
卒業式に涙を流して、笑ったことも・・・

あなたの心の片隅にも、もう、私はいないのでしょうね
わたしは、ときどき、ほんのときどき
林檎をかじったとき、ぱっと散る汁の匂いであなたを想い出します


作:深田みつこ

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最終更新日  2016.02.13 11:29:17
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