宿泊地の釜石に到着、かなり時間があり暇だ。
駅には三陸鉄道の列車が止まっている。
朝ドラ「あまちゃん」はじめ多くの番組で紹介されたが、三鉄の現物を見たことがなかった。
もうここまで来ることは無いかもしれない。今乗っておかなかったら一生乗れないだろう。
時刻表を見て記念乗車の作戦を練る。
次の駅まで行って戻るのは待ち時間が1時間もあり無理。
釜石発18:05下り 吉里吉里着18:28
吉里吉里で24分待ち
吉里吉里発18:52上り 釜石着19:15 に決めた。往復1,100円。隣の駅で1時間も待つよりは良い。
空いている。
向いの座席に足を投げ出し、窓枠に肘を付きディーゼルの振動に身を任せていると、とても懐かしい気持ちになってきた。
そうだ、昔の旅はこれが普通だった。
吉里吉里駅は何もない。電話ボックスさえない。
観光案内には鳴き砂の吉里吉里海岸が近く、井上ひさしの「吉里吉里人」のモデルになった地と書かれていたが、これはたぶん違う。この話は別稿で
ほどなくして上り2両編成が到着。驚いた。誰も乗っていない。客は釜石までぼく一人。
たった一人のためにディーゼルカー二両も動かしているのか! 軽自動車で十分だ。この線は震災までJR山田線だった。JRが手放すのも当然だ。
千葉の銚子電鉄を思い出した。あそこも客が減り続け、倒産寸前と言われ、濡れ煎餅を作ったり、社長が運転したり、なりふり構わず増収に努めている。
今日の三鉄を見ると、大丈夫かと本気で言いたくなる。震災、台風の災害からよみがえったのだから、何とか存続してほしいと思うのだが、復興のため道路は整備され高速道路は無料、鉄道には逆風と言わざるを得ない。
釜石駅で 誰もいない
本当に誰も乗っていない 回送中ではない