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真理を求めて

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2012.08.16
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マル激本の第3章は経済学者の野口悠紀雄さんが登場する。野口さんが語るのは、増税の前にやるべきことの経済政策についてだ。それは端的に言えば、今の経済政策がほとんど間違えているのだから根本的に変えなければならないと言うことだ。そして、それが自覚出来ないだろうから、それが必要だという自覚を促すために、日本は一度破滅まで行かなければならないのではないかという指摘もあった。深刻に受け止めなければならない指摘だ。

野口さんは、まず日本経済だけが一人負けしているという状況を説明する。次のようなデータを示している。

2011年までの世界の経済成長(2007年に対する実質GDPの増加率)

 世界全体     11.3
 アジア新興国   11.3
 アメリカ        3.6
 フランス        1.3
 イギリス      -0.6
 ドイツ        -0.9
 日本        -2.7

この日本の落ち込みの原因に対して野口さんは次のような説明をしている。

「輸出です。輸出が落ち込んだのです。経済危機に至る前、日本の輸出、特にアメリカへの自動車の輸出が、かなり順調に伸びていました。それが経済危機で一気に落ち込んだ。その影響が大きいのです(日本の自動車の対米輸出額は、08年1月の約5000億円をピークに落ち始め、09年1月には約1000億円と、5分の1に激減した。)」

日本経済は輸出が支えているというのはよく聞く言葉だが、実は輸出に依存し始めたのは2000年代に入ってからだそうで、それも自動車に偏った輸出依存だったらしい。この不健全さが後の日本の落ち込みを呼んだ原因になる。

日本の車、特にトヨタ車が売れたのは二つ原因があるそうだ。一つはサブプライムローンで、この住宅ローンは、住宅の値上がりを見込んで住宅価格以上の借金をさせてくれたらしい。その余剰分の借金でトヨタ車を買ったというのだ。トヨタ車が選ばれたのは、当時の円安に原因があったようだ。円安のために、トヨタ車の値段が相対的に下がったというのだ。借金で金が出来て、安くなった車があったので、多くの人がトヨタ車を買ったという。これが史上空前の貿易黒字を呼んだのだそうだ。

だが、この好景気は偶然そうなっただけの歪んだものに見える。その後サブプライムローンが破綻して円高に振れるようになると、いっぺんに自動車の輸出が減って、今度は史上空前の貿易赤字になる。アメリカの購買力が落ちたことは、トヨタ車だけではなく、中国のアメリカへの輸出にも影響し、中国に輸出の材料を提供していた日本企業も打撃を受けたという。アメリカの破綻は日本の輸出産業に二重に打撃を与えたようだ。

野口さんは、この偶然儲かった輸出好景気の時期はいずれ破綻すると予測がついたので、そのときに産業構造の転換を図るべきだったと指摘している。それをせずに、夢よもう一度と言うことで「海外の需要を作り出すために円安政策をとり、金融緩和をし、それで外需依存の経済成長が実現した」のを再現したいと願ったようだ。だがそのために2003年には「通算約20兆円という信じられないほどのドル買い介入をしたのです」とも語っている。

野口さんが指摘する経済政策の間違いは「2000年代の初めに、明らかに別の選択肢はあったのです。それにもかかわらず、国内で需要を増やす努力をせずに、海外に需要を求めたと言うことですね」というものだ。これの原因は、「製造業の意図が、政治や行政に影響を与え、経済政策にバイアスがかかっていった、と言うことになるでしょう」と指摘している。製造業が生き残るために政治に働きかけ、それに政治が応えたために産業の転換が出来なかったと判断している。もはや未来のない製造業を生き残らせる道を選んだことが日本の間違いだったと。

製造業に対しては厳しい提言もしている。

「日本で別の選択、つまり内需型の経済に転換することが可能だったか、と言うと、金融緩和をやらなければ可能だった。やらなければ90年代前半レベルの円高が続きます。従って輸出が伸びません。日本の製造業の利益は落ちます。従って産業構造を転換せざるを得なくなります。それによって転換したと思います。金融政策と為替政策でそれを止めてしまったというのが重要な点です。」

利害当事者は、いかに合理的な思考であろうとも、それが不利益になるときは結果を受け入れるのが難しい。現実にダメになることを悟って、現実が自覚させなければ「転換」が出来ないというのが野口さんの指摘だ。厳しい指摘だと思う。絶望をくぐり抜けなければ利害当事者には合理的思考が理解できないと言うことだ。

野口さんはアメリカやイギリスは構造改革に成功したが日本では出来なかったと指摘している。これに対して神保さんが、小泉政権の改革は構造改革ではないのかと質問している。野口さんの答は次のようなものだ。

「これは多くの人が大きな誤解を抱いている点です。小泉政権は改革をやったと多くの人が言っているわけですが、実際にやったのは、金融緩和と為替政策によって古い産業構造を維持したと言うことです。それこそが重要なことだった。小泉政権は改革をやったとよく言われますが、一体何を改革したでしょうか?自民党の権力構造は変えました。それから道路族と郵政族を潰しました。でもこれは政治的なものです。経済的に何をやったか。経済的には明らかに旧来の産業構造を維持したと言うことなのです。」

小泉構造改革が、実は構造については何も改革していなかったというのは、今になってみればよく分かるが、野口さんの説明は納得のいく指摘でよく分かるものに思える。アメリカが構造改革に成功したと言うことの説明では野口さんは「いったん廃墟にならなければ再生はない」という言葉でそれを語っている。非常に厳しい指摘だが耳を傾けなければならないだろう。

「アメリカが、なぜ経済危機による落ち込みが少なかったか。その理由は製造業の比率が低いからなのです。脱工業化を実現していたからです。製造業だけを取ってみますと、需要が急激に落ち込んで過剰設備が発生して利益が低下するという事態は、アメリカでも起こっています。」

「日米とも製造業はダメになった。ところがアメリカの製造業の比率は、日本に比べると遙かに低い。GDPに占める製造業の割合は、アメリカは約10%、日本は約20%です。つまりアメリカは脱工業化を実現しているけれども、日本は実現していない。この違いなのです。

というのは、経済危機の前の時期、日本は輸出で成長し、アメリカは製造業ではない産業によって成長していた。それは何かと言えば、金融業とIT産業です。そのような経済構造の変化が、90年代後半から非常にはっきりしてきたと言うことです。」

「アメリカの脱工業化は、決して簡単にできたわけではありません。非常にペインフルな、苦痛を伴う過程だった。アメリカでは80年代に、日本に押されて製造業がつぶれていきました。まず繊維業がダメになり、鉄鋼業がダメになり、電気産業がダメになり、…自動車産業だけは政治に頼って09年頃まで生き延びましたが、それ以外の製造業は次々とダメになりました。それは非常に辛いプロセスだったのです。日本はその苦痛を回避したと言うことですね。」

新興国の追い上げによって製造業がダメになると言うのは、アメリカの姿を見ていれば予測できたことだった。それは、今まで日本を支えていた製造業が次々につぶれるという辛い道を経験しなければならないこともアメリカの姿から見ることが出来た。それを日本は避けたために、未だに新興国と製造業での競争をしなければならなくなっている。それはダメになることとどちらが辛いか分からないほど茨の道を歩むことになっている。

産業構造を改革するには人材が大切だと野口さんは指摘する。新しい産業にシフトするために有能な人材がたくさんいる。その人材が果たして日本にいるかどうか。新しいことをしようとする人間を叩いて潰してきたようにも見える日本。優秀すぎる人間は評価されない、暗記能力だけに傾いた学校評価のシステム。いずれにしても人材が育つことが難しい日本のシステムで人材を求めるとしたら、外国人にそれを求めればよいと野口さんは提言する。

日本人の外国人アレルギーを克服しなければ、優秀な外国人に新しい産業をリードしてもらうのも難しい感じはする。この変革も、ぎりぎりの絶望が誰の目にも明らかになってから、ようやく舵を切るようになるのだろうか。日本の未来は少々暗いように見える。





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最終更新日  2012.08.16 22:57:07
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