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石井さんは
「利権システムを財政の面から支えている財政制度は、特別会計と財政投融資計画、そして補助金である。 これを私は「利権構造の御三家」と呼んでいる。政官権力はこの「御三家」を使って、財政的に特殊法人や認可法人、公益法人を支え、増殖し、天下り、巨大な権力ビジネスを展開する。これこそ経済・財政を根底から犠牲にする国を挙げての利権システムの要である。」 と指摘している。この指摘の「御三家」が具体的にどのように税金の無駄遣いにつながっているかを見ていこう。 1 利権の巣窟--道路特別会計 「道路整備特別会計は、高規格道路と国道・県道など一般道路整備事業を扱うものとされている。財源の中心となるのはガソリン税(揮発油税)である」と石井さんは語っている。一部の高速道路はその渋滞がいつも問題になっているが、ほとんど車の走らない高速道路もたくさんある。つまりムダな高速道路もたくさんあるのだが、「目的税としてのガソリン税などと道路特会がある限り、道路整備事業は自動的に、無限に続いていく仕組みになっているわけだ」と石井さんが指摘するように、特会が残っている限りムダな事業は無くならない。逆に言えば特会を廃止してしまえばムダは一挙になくなる。 実際にどのような金の流れになっているかを石井さんは次のように説明する。 「一部は特殊法人である日本道路公団等への出資金、利子補給金に充てられている。高速道路事業を中心とする道路公団とファミリー企業群は利権の巣窟と言われている。他は道路建設費などに支出されるが、地方公共団体を通して回っている金が建設地点でドッキングし、道路事業関係のゼネコンを中心とした業界団体から公益法人、第三セクター、政治団体へと連結している。道路予算全体は、このほかに道路公団、地方事業分など併せて年間13兆円の巨額に上る。これが、土建業界と政治家を潤わせる。」 ファミリー企業の問題は、安冨歩さんも指摘していたが、道路公団などがこのファミリー企業に仕事を回すのだが、他の民間企業には回ってこないような不当な仕組みが出来ているらしい。とんでもない計算で不当に高い料金で仕事が回っているケースがあるとも聞いたことがある。民間企業のように、コストを下げるというモチベーションもないので、利権としての不当な利益が下へ下へと流れていくのだろう。 いかに無駄遣いがされているかは、日本の高速道路のコストに関する次の指摘を見るとよく分かる。 「我が国の国土面積あたりの道路延長は、アメリカの17倍、ドイツの1.7倍である。高規格道路のみで比較すると、ドイツに次いで第二位となっている。日本は国土の3分の2が山地なのだから実質ドイツ以上である。 我が国で道路整備に使われる予算額は、平成12年度で約13兆円というべらぼうな数字である。ちなみに1キロあたり建設費の単価は、首都高速道路で1000億円、東京湾横断道で950億円となっている。山の中の高速道路でも100億~200億である。日本の高速道路は、金を敷き詰めているベルトだといってもいい。」 使わない高速道路をなぜ作るのか?金をばらまくことが目的だからである。だから高速道路などは、本当は無料にしても何の問題もないはずなのだが、料金徴収の仕事がまたファミリー企業を中心にして利権構造に組み込まれている。料金も、道路を造るときの借金の返済の目的で取っているのではなく、徴収の仕事を作ることが目的という利権のためなのである。 2 税金を垂れ流す--石油特別会計 石油特別会計に関しては、「特会の支出は年間約7500億円だが、ほとんどが補助金として、公益法人、企業などに流れていく。支出の半額の3630億円が特殊法人である石油公団に与えられるのが、この特会の大きな特徴である」と述べている。利権とムダの元凶はこの石油公団なのだが、これについては後の章で詳述されている。そこでもう一度触れることにしよう。 問題はこの石油公団が設立した子会社にある。平成9年には266社あったそうだが、次のように指摘している。 「公団は国の金を使って勝手に子会社を作り、そこに融資までしていたのだ。子会社には、通産省などの役人が天下っており、ずさんな運営によってどんどん赤字が拡大している。このため、石油公団は巨額の不良債権を抱え、民間企業ならとっくに破綻し会社整理が行われている状態である。」 石井さんは、このあと子会社の「新日本石油」の例を挙げて、それがいかにずさんな経営でムダを作っているかを語っている。それはまた後ほど触れることにしよう。 3 業界支配のための--港湾整備特別会計 ここで指摘されているのは、やはり系列子会社の問題で、結局そこに金を垂れ流すだけなので税金が無駄に使われる結果になっているのだと思う。石井さんの指摘は次のようなものだ。 「国土交通省には港湾局と港湾技術研究所があり、全国に五つの港湾建設局と43の工事事務所と開発建設部港湾建設事務所(20カ所)などが配置されている。港湾局が支配している系列公益法人は社団法人(以下(社)と略す)日本港湾協会、(社)日本埋め立て浚渫協会、(社)日本作業船舶協会など32団体がある。 さらに、旧運輸省のウォーターフロント事業展開の中でも、関連営利事業のため、無数の行政系列の株式会社が作られてきた(第三章第二節参照)。これらの公益法人を含む行政企業群が政治家への“財布”として、また集票マシンとして重要な地位を占めていることは言うまでもない。」 安冨歩さんが指摘していたように、これらの子会社は全く必要のないものだ。むしろ民間企業に任せれば市場が正常に働いて利益が出るようなシステムになる。結局はこれらの子会社は、金を流すためだけに作られていると理解した方が現状解釈としては正しいだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
新日本石油が「子会社」ですか?
(2012.08.27 21:22:29)
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