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テーマ:ベトナム好き集まれ(2186)
カテゴリ:ベトナム旅雑記
ホテルのロビーに酒とつまみが用意され、宴会がはじまった。酒はruou canと呼ばれる大きな甕に入れられた発酵酒。竹のストローで飲むようになっている。順番に互いにすすめながら(というか、強制しながら)酒をチューチュー吸って飲む。すこししか飲まなかったら、「もっと飲め」とブーイングが飛ぶ。おそろしい世界なのだ。
たばこも箱を皆で共有し、たがいにすすめながら吸う。ベトナムでは、普段はたばこを吸わないが誰かといっしょに飲んだりするときだけ吸う、というカジュアルスモーカーが多い。健康に気遣っている面も確かにあるかもしれないが、たばこが高いのも理由のひとつだろう。安いたばこもあるが、おいしくないし、そんなものを吸っているとステータスに傷がつくので、ある程度の社会的地位のある人なら最低でも一箱1万ドンぐらい(約80円)のものを吸う。ステータスなんて気にしなくていい人は、水たばこを吸う人が多い。竹のパイプに水を入れ、ぶくぶくいわせながら吸うやつです。これは安い。くらくらするぐらいきついですが。 定番の酒のつまみにまじって、テト料理も供される。テト料理といえばバイン・チュン。もち米の中に豚肉や緑豆を入れ、バナナの葉でくるんで湯でる。おいしいのだが、やたらと大きい上に腹にたまるので、たくさん食べられるものではない。どの家庭でも大量につくるため、何軒も新年のあいさつにまわると、またバイン・チュンですか・・・と見たくもなくなる。おいしんだけどね、本当に。 宴も終了し、酔っぱらって自室に戻ってベッドに倒れこんでいると、ノックの音が。開けるとホテルのおばさんが手にバイン・チュンを持ち佇んでいる。 「せっかくの正月なのに一人じゃ寂しいだろう。まだまだたくさんあるから持ってきたよ。食べなさい」 またバイン・チュンかい・・・ 正直そう思いました。でもおばさんの心遣いは本当にうれしかった。正月に一人でいることは、日本でも寂しいこととされているが、ベトナムでは「気も狂わんばかりに寂しいこと」というのが社会通念になっている。ホテルの人たちは、私の寂しさを慮って身内の宴に誘ってくれ、そしてバイン・チュンの差し入れまでしてくれたのだ。ありがとう、それ以外に感謝の言葉も思いつかない。言葉が出ないなら態度で示せ。残さず食ってやろうじゃないか。このおにぎり10個分ぐらいはあるかという気も狂わんばかりに巨大なバイン・チュンを! おわり お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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