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カテゴリ:アクション
![]() 「007 私を愛したスパイ」 The Spy Who Loved Me 1977年 イギリス映画 監督 ルイス・ギルバート 出演 ロジャー・ムーア バーバラ・バック リチャード・キール クルト・ユルゲンス この映画、かつて家族で映画館で見た覚えがあります。当時、僕はまだ十代でした。洋画を映画館で見るのは初めてでした。それまでは映画館といったら、「ゴジラ」か、東映動画(「長靴をはいたネコ」とか。)でした。 初めて見た洋画の娯楽大作、内容はほぼ記憶に残ってはいません(悪役の“ジョーズ”以外。)が、とても楽しかった覚えはあります。僕が映画を好きになったきっかけの映画です。 このほど、007映画50周年ということで、第23作「007スカイフォール」が公開されました。そこで、これを機に、007シリーズを全部あらためて観てやろうと思い立ちました。(今まで、TV放送やレンタルなどで、初代ショーン・コネリーのものを中心に半分くらいは見ていますが。) そこで、その第1弾として、この懐かしいシリーズ10作目(3代目ロジャー・ムーアとしては3作目)から見てみようと、DVDをレンタルしてきたのです。 地中海でソ連とイギリスの核弾頭をつんだ原潜が行方不明になる事件が起きます。どうやら何者かが原潜航跡追跡システムを開発したらしいのです。 イギリスはその調査のためにジェームス・ボンド(コードネーム007、ロジャー・ムーア)を、ソ連はアーニャ・アマゾワ中佐(コードネームXXX:トリプルX、バーバラ・バック)をエジプト・カイロに派遣します。 その情報を売るという男を2人は競いながら追いますが、その男はジョーズ(リチャード・キール)という鋼鉄の歯をもつ巨漢の殺し屋に殺されてしまいます。 イギリスとソ連は共通の敵を認識し、ふたりを組ませることにします。 調査の結果、地中海の海運業者で海洋学者でもあるストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)に狙いをつけ、海洋学者の夫婦という設定で、ボンドとアーニャは、ストロンバーグの地中海の海洋研究所を視察します。 しかし、かつてアーニャの恋人を殺したのがボンドだと判ると、「この作戦の終了後、お前を殺す!」と、アーニャは言うのでした。 ![]() 結論から申しますと、やっぱり面白いです。007映画第10作記念ということで、製作費が前作の倍になっているので、いろいろと金をかけて、派手にやっている娯楽大作といった感じです。 冒頭はスキーチェイスから始まります。休暇でスイスの山中でのんびりしているボンド(もちろん女付き)のもとに、指令が入り、ボンドはスキーで山小屋を出立します。そこへ敵(東側らしい)の数人の刺客がやってきて、銃を撃ちながらのスキーチェイスが始まるのです。その中で、ボンドは敵をひとり始末します。(これがどうやらアーニャの彼氏らしい)そして、最後は崖から飛び降り、開いたパラシュート(用意良すぎだって。)はユニオンジャック模様です。ということで、アクション的にも、ユーモア的にも、パロディ(「女王陛下の007」)的にも、つかみはOKといったところでしょうか。 この後はエジプトのカイロおよび、国際列車の車中での怪人ジョーズとの死闘、ストロンバーグの海中基地からのカーチェイス(ヘリコプターがらみ)からの水中での戦闘、そして原潜からの再びストロンバーグの基地での攻防戦と、過去の007シリーズの名場面を盛り込みながらのたたみかけるアクションの連続で、飽きさせません。 何しろ、「ロシアから愛をこめて」のパロディをやりたいがために、カイロからイタリアまでの道中がなぜか列車の旅ですから。地中海を船で渡った方が速いだろう。敵の目を欺くためかもしれないけど、ジョーズに先回りされてるし(あんなところ開けて、大男が入っていたら怖いだろうなあ。)、これはパロディをやりたいためとしか思えません。 しかし、この映画なんといっても、ストロンバーグ子飼いの殺し屋、大巨人の上に鋼鉄の歯を持つ、怪人ジョーズでしょう。何しろ、いたいけな十代の少年が、30年以上の年月、そのストーリーは忘れていたのに、その異様な姿だけはトラウマのように覚えていたぐらいですから。 ジョーズ役のリチャード・キール、その身長は2m18cm、ジャイアント馬場が2m9cmですから、それよりもでかい、とにかくでかい。そして、いかつい容姿に、二カッと笑うと口元に光る鋼鉄の歯、そんな奴が何度となく襲ってくるわけです。そりゃあ、トラウマになるわけだわ。 なんと、このジョーズ、あまりにも好評だったからか、次回作「007ムーンレイカー」(この映画、シリーズ中1番にトンデモな内容ということで評判です。その紹介は、また。)にも出演してしまうのです。後にも先にも、同じ殺し屋が2作登場するのは彼だけです。 ![]() また、この映画の目玉は、そのボンドカー“ロータス・エスプリ”です。スーパーカー(死語?)の中でもその未来的幾何学的フォルムは斬新で、その筋の方々(ヤの付く方々ではない。)にも評判な車です。それだけでもかっこいいのに、面白い仕掛けが満載、そうちょうどあの“マッハ号”のようにです。 その仕掛けの中でも、極めつけは、水中を進む事の出来る潜水艇になるということです。水中に入るや否や、4つの車輪は収納され、水の進入を防ぐカバーの上には回転するペラのようなものが現れ、それを回して、水中を進めるのです。(その変形の動きがちょっとゆっくり過ぎて、水の進入が若干気になるところではありますが。) 奇しくもその頃日本では、少年ジャンプの池沢さとし先生の漫画「サーキットの狼」が大人気で、スーパーカーブームが吹き荒れていたころです。そういえば、僕もその頃、ブームに乗って、“スーパーカー”に夢中でした。 僕は“ランボルギーニ・ミウラ”が好きで、その“ミウラ”が見たいがために、まだ名古屋にも数えるほどしか言ったことが無いというのに、友達同士で、名古屋を越えて、尾張の岩倉市というところまで見に行って、道に迷った覚えがあります。(結局、何とかたどりつくことはできましたが。) 当時の僕はどちらかというと、“ミウラ”や“フェラーリ・ディノ”や、“トヨタ2000GT”のような、曲線的なデザインの方が好みで、“ランボルギーニ・カウンタック”の様な、直線的なフォルムの車は嫌いでした。ロータスなら、“エスプリ”よりも、“ヨーロッパ”の方がどちらかというと好みでした。 だからでしょうか、こんなにインパクトのある秘密兵器なのに、今回、あらためてこの映画を観るまで、このことを忘れていました。なかなか、画期的なアイテムですよね。もちろん当時はCGなんてありませんから、わざわざこのために特注で作って、実際に水中に入れて撮影されたようです。(さすが前作より倍の製作費だね。) 毎回007映画ができるたびに話題になっていたのが、“ボンド・ガール”といわれる女性の出演者たちです。毎回話題になるのですが、実は彼女たち出番が結構少なくて、水着や下着などのあられもない姿で、悪役の助手(実は愛人)だったり、ボンドのゆきずりの相手だったりするだけで、出番も少なく、演技もほとんど必要のない、ただお色気をふるまえばいいというだけの存在だったりするわけでした。 ところが、今回のアーニャ役のバーバラ・バックは、ほぼ主役という立ち位置で、しっかりと演技をしなければならない存在です。しかし、冒頭の軍服姿こそ違いますが、その後はほぼ全編、胸元が開いた服ばかり来ています。しかも、なかなかの巨乳です。そして、ほぼ全編にわたって出ずっぱりです。 彼女の“谷間”に魅せられてしまった不届きな男子も多かったのではないでしょうか。(まあ、健全な男子としては、ごくごく普通のことですが。) ということで、見どころは、“ジョーズ”と“エスプリ”と“おっぱい”という、仕掛け満載アクション大作女ったらし路線、というムーア=ボンド時代の方向性を決定づけた娯楽大作を紹介しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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