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カテゴリ:Viaggio ~旅
旧門司港税関から、入り江ぞいに船溜まりを歩いてゆくと、黒っぽい、モダンな洋館が見えてきます。 こちらは大正10年に三井物産の接客・宿泊施設として建設された「旧門司三井倶楽部」。 現在は1階部分はレストランやイベントホールになっていて、門司港名物の焼きカレーのオススメ店舗のひとつにもなっています でも、この日はレストランは残念ながら貸切とのこと。 焼きカレーはお預けになってしまいました ・・・まぁ、オススメのお店はまだ28軒あるので、ココはめげずに見学しましょう♪ 大正ロマン風の洋館は、天井が高くてイイ感じ♪ 入り口ドアの上に飾られているステンドグラスも、貿易港である門司港らしい船のデザインです ここ、三井倶楽部の見どころは2階。ノーベル賞を受賞したアインシュタイン博士夫妻が滞在していたお部屋が、当時のままの姿で保存されているというのです 見学料金は100円ですが、近くの展望室の割引チケットがもらえるので、なんだかお得♪ 靴を脱いで、階段を上ってゆくと、ふかふかの絨毯が敷かれたお部屋が。 ・・・ここで、アインシュタイン夫妻がくつろいでいたんでしょうか。。 こんなポットでお茶を飲んでいたのかもしれませんネ アインシュタインといえば、福岡市内で講演会をしたという記録があり、そのとき滞在したと言う旧福岡県公会堂貴賓館を思い出しますが、宿泊当時の調度類がそのまま残っているのはなかなか貴重 こちらの寝室では、手前の赤い衝立や・・・ ちょっぴり小さめのこのベッド、そして奥のドレッサーなどは、当時のままなんですって このベッドでアインシュタインさんが眠ってたんですね~~ アインシュタイン夫妻は、福岡滞在後、日本を離れる最後の数日を過ごすためにこちらに滞在したそうですが、夫妻とも、とても楽しんでいた様子が当時の手紙や日記などで知ることができます。 部屋には、アインシュタインの手紙が展示されており、それによると 「・・・・ここ数年、私は世界中いたるところを旅して回ってきた。本当にそれは一学者にとって与えられたもの以上のものである。私のような類の生活をおくる者は本来は、静かに部屋の中に座して研究すべきものなのである。そのため、私が旅に出るときは、昔は必ず一種の言い訳を必要不可欠とした。言い訳をすることによって私の、それほど敏感とはいえないかもしれないが、気持ちをゆっくりと落ち着かせるためである。だが、山本氏から日本への招待が届いたとき、言い訳をするまでもなく、私はこの、数ヶ月もかかる大旅行に赴く決意を即座にした。私が自分自身の目で日本を見る機会を失したならば、自分を許すことが出来ないほど後悔しなければならなかっただろう・・・」 と書いてありました。 「一学者」と自分を表し、各国からの招待に応えるために出向く旅にさえ、「心を落ち着かせるため」に言い訳を用意する。。。 偉大な物理学者の、控えめで繊細な一面が見られる文章に思わず微笑んでしまいますネ 手紙には続けて、 「・・・・私がベルリンで、日本に招待されたことを知られた瞬間ほど、私の生涯において、本当にひとから多くうらやましがられたことはないだろう。 なぜなら、この国ほど、われわれにとって神秘の謎のベールに覆われた国は他にどこにもなかったからである。わが国でも、孤独に生活し、懸命に勉強し、かつ親しみをもった笑みを浮かべる日本人を見かけることはできる。こうした保身的な笑顔の背景に隠された感情は、だれでも理解しにくいものである。その背後には、日本様式で示されるような、われわれとは異なった精神が隠されていることに気づくのである。それは、数多くの日本の小さな日用雑貨の中に見られるものである・・・」と書かれていました。 日本に来て、人々の暮らしの中に身をおいて、神秘のベールの裏に隠された日本人の精神性を感じる。ある意味物理学者らしい理論ですが、同時に、学者としての先入観や予測と言ったものを捨てた、とっても人間味のある一面を感じることもできます。 門司港から出港した船上で記念撮影に望んだ夫妻。 門司港を出る数時間前に、港に向かう途中、餅つきをしている光景に出会い、 「これは威勢がいいものだ」と感心し、とうとう赤鉢巻を締めて餅つきに参加、杵をふりあげ、掛け声勇ましくついたので、エルザ夫人が笑い転げたとか。なんだか本当に、微笑ましい光景ですよね 最後には、「もう一度やって来たいが、なにしろ万里離れている。これが最後となるだろう」と、涙を流したというアインシュタイン博士。 三井倶楽部の部屋には、そんな博士夫妻の思い出の品や逸話が沢山残されていて、なんだかついさっきまで、夫妻がいたかのような、懐かしいようなほのぼのした気持ちになれました。 ・・・それにしても、洋館とはいえ広~いバスルーム さすが三井物産、ハイカラですよね~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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