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いやぁ、素晴らしかった。凄い! の一言。全日本5連覇⁉ 3回連続五輪出場⁉ フィギュアスケート女子シングル坂本花織選手の成し遂げた偉業だ。 個人的にも坂本選手の演技は大好きだ。長年見続けてきて(つまり、長い選手生命をトップを維持しつつ全うしたということ)成長・成熟が確かに感じられるところが最高。フィギュアスケートというのは「味」が出てくるまで時間のかかるスポーツだが、昨今のジャンプ偏重の採点傾向が、特に女子選手の選手生命をより縮めている。短いピークにさっとオリンピックの金メダルを取り、すぐ引退してしまう「ロシアスタイル」には賛成できない。 坂本選手が体現してみせる「長い時間をかけて、すべての技、つなぎを磨き上げる」スタイルこそ、アートとスポーツの両側面を兼ね備えたフィギュアスケートという競技が目指すものではないかと思う。 ジャンプのスピード、大きさは、もともと坂本選手の大きな武器だが、20代も半ばとなると、それを維持するのは難しくなる。実際、武器である3F+3Tの成功率はやや下がってきている。だが、スケートの伸び、動と静の組み合わせの妙、ステップの多彩さ、スピンの華麗さ、ジャンプに入るギリギリまで「魅せる」技術…どれをとっても、唸るような見事さだ。 坂本選手を嫌うファンなかには、彼女が「爆盛りの加点」で贔屓されていると思う人もいるようだ。もちろんどう解釈しようと自由だが、Mizumizuは逆に、ジャッジ表を見て厳しい判定に驚いたのだ。 まずは、以前からMizumizuが指摘しているルッツジャンプ。エッジは問題なしとされる試合も多いが、今回の全日本ではショート、フリーともに、きっちり「!」を付けてきた。やはり完璧なルッツには見えないよなぁ…というのが、ずっとMizumizuが抱いてきた「懸念」なので、これは正当な評価だと言えるかもしれない。 それより驚いたのは、フリー後半にもってきた3F+3T。最近は期待と不安が半分で見ているジャンプで、特にセカンドの3Tが垂直跳びになって回転不足のまま降りないか、ヒヤヒヤしているのだが、今回はきれいに降りた! と思ってディテールを見たら、なんと最初の3Fに「q」マーク! よく見てるよ、いやはや… あやしいジャンプも全部認定して加点つけまくるイケイケ採点の全米選手権と、なんという違いだろう! しかも、この不均衡、何年経っても全然修正されないし、する気もないようだ。 エッジにしろ回転不足にしろ、「!」や「q」なら、GOEは必ずしも「-」になるわけではなく、他のプラス要素があれば、結果的に「+」にしてもよいのだが、それにしても、加点は抑制される。質のよいジャンプでも+2がせいぜいになり、事実、坂本選手の大きな得点源(と皆が考えている)ルッツからの連続ジャンプもフリップからの連続ジャンプも加点はわずかに留まってしまった。 その他のエレメンツで高いGOEをもらっているので高得点になったが、実際にはエッジと回転不足の判定はかなり厳しく取られているのだ。 ただ、フリー後半に見せた2A+3T+2Tは、加点3~4がズラリと並んでいる。このジャンプには度肝を抜かれました、いや、ホント。2A+3Tを跳ぶ選手は多いが、それでもセカンドの3Tを回りきるのは難しい。そこに2Tまでつけて全部回りきるとは・・・まさしく女王のジャンプだった。 さらに坂本選手の凄いところは、ジャンプに入るまでの「構え」が非常に短いことだ。4回転は跳べるが、「とびますよ~ とびますよ~」とながーい助走から、「さ~ いまからですよ~」と思いっきり前傾姿勢になって、えいっと跳んでクルクルクルクルと脱水機みたいに回る4回転に高い点が与えられ、つなぎにスタイルの良さを生かしたポーズを決めて「ほーら、見て見て、この表現力!」。で、またながーい助走から、思いっきり腰を曲げた前傾姿勢になって…をリピートしてる、高難度ジャンパーの演技にはガッカリさせられているので、ほぼ全部のジャンプが前後の多彩な技術を見る楽しみに満ちている坂本選手の技に感服するのだ。こういう女子ジャンパーは伊藤みどり以外、あまり知らない。 坂本選手のジャンプに対する「大盤振る舞い」加点がもしあるとすれば、それは加点4~5がズラリと並んだ単独の2Aかもしれない。そこまで高い評価を与えるなら、個人的にはもう少し高さと幅が欲しい気がする。だが、ジャンプに関して、甘いかなという加点はそれだけだ。 加点に関しては、むしろレベル4を並べたスピンやステップのほうが高いのだ。ジャンプに関しては、判定が厳しい分、通常より低かった。 プログラムコンポーネンツ(演技構成点)は、9点台の半ばと、確かに「チャンピオン認定」の点数で、他に競える点をもらった選手はいないが、世界トップを争う選手としては9.5前後は別に高すぎることはない。三原選手や樋口選手に期待したが、目立つミスが多かった。五輪代表に選ばれた千葉選手は、華麗だが線が細い(それでも9点台を出したジャッジも多い)。若手の島田選手には8点台を期待したが、やや厳しい評価だった。このあたりの高い低いの論評は主観論になるので、あまり意味がないので控えようと思う。 現状、実力でメダルが期待できるのは坂本選手のみという印象だし、採点も坂本選手ひとり推しというのは明らか。ただ、本番では何が起こるか分からない。選出された千葉選手、中井選手は、重圧はどちらにしろ坂本選手にいくのだから、のびのび演技できるはずだ。自分の実力でつかみ取った晴れ舞台で、自分史上最高の演技を目指してほしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.12.23 21:27:37
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