先週金曜日の安倍首相辞職の電撃表明を受け、自民党内は一気に次期総裁選に向けて動き出した。だが辞任表明3日後にして早くも大勢は決まった。
◎党内は雪崩を打って管氏支持へ
党内第1派閥の細田派(安倍首相の出身派閥)と第2派閥の麻生派が、管官房長官(写真=改元の発表をした管官房長官。ちなみに同じ図柄で平成の改元を発表した小渕官房長官もその後に首相になったのは、奇妙な因縁だ)の擁立を固め、無派閥の多くの人たちも管詣でに忙しい。
第3派閥の竹下派も昨日に管氏支持を決め、第4派閥の二階派も支持している。「寄らば大樹の陰」で、党内の大半は管氏支持に動いている。
本日中にも、管氏が出馬表明すれば、党内は雪管氏支持に崩込むだろう。
これは、管氏が第2次安倍内閣が発足以来、首相のそばに7年9カ月も官房長官として仕えたことが大きかった。副首相の麻生氏も、真っ先に推した組だし、何よりも安倍首相のあうんの呼吸による意向も効いただろう。
◎岸田政調会長孤立、孤独な闘いへ
岸田政調会長(写真)は昨日出馬表明したが、孤立した形だけに、どれだけの票を集められるかだけが関心の的だ。岸田派だけからしか得票できない、さらに悪いことに岸田派のメンバー数すら割り込んだら、岸田氏の政治生命は終わったと思っていい。
誰だって非主流派となって冷や飯を食いたくないからだ。
河野防衛相(麻生派)の出馬に期待していた僕には残念だが、まだ若いから次を狙えばいい。
管氏の手腕については、まだ分からない。しかし株式市場が、一部通信株を除いて好意的に反応しているように、安倍政権後の政策の継続性を期待できることは、確かだろうと思う。
◎外交面で各国首脳とうまく渡り合えるか不安
ただ外交面には、不安は大きい。外相はもちろんやったことはない。英語も使えるかどうか不明だ。何よりも、トランプ大統領はもとより、EUの首脳とも、面識はないだろう(伊勢志摩サミットの時に挨拶程度はしただろうが)。
温厚なバイデン氏が次期大統領になったらいいが、トランプ大統領再選なら強烈な個性に手こずるだろう。
尖閣の乗っ取りに意欲を隠さないスターリニスト中国の習近平とは、どう立ち向かうか。北方領土返還にはのらりくらりと逃げる一方、日本に返還抜きの平和条約をもちかける外交後者のロシア、プーチンにどう対処するか。
不安は尽きない。
経済でも、安倍首相ほどマーケットに真剣に向き合えるかどうか。
下手をすると、来年9月までのショートリリーフで終わる懸念もある。したがって菅政権の間、誰が次世代の宰相候補として台頭するかも、注目の的になる。
◎石破氏、出馬は困難
自民党が、党員投票を実施しないことを決めたのは、第4派閥の二階派の菅氏支持の表れでもある。党員投票に期待していた石破氏(写真)は大いに失望しているだろう。
もともと党内に人望はなく、基盤もない。石破派は、自身を含めてたった19人で、出馬表明しても、自派だけで推薦人も揃えられない。
出馬できたとしても、活路は一般党員のみならず、世論の支持率トップを背景に、党員投票で圧倒し、管氏を議員票でも追い詰めて決選投票で勝利するというものだった。その戦法が、党員投票無しで早々と封じられた。
もともと親スターリニスト中国的な姿勢であり、今もブルーリボンバッチを着けていないことから日本人拉致問題にも関心はないのだろう。僕は、石破氏に何も期待していないから、これは朗報である。
◎10月解散・総選挙へ
総裁選は8日に告示され、14日に両院議員総会を開いて管氏の選出が決まる。
そして今月16日にも臨時国会を招集して首班(首相)指名となり、次いで菅内閣の組閣となる。
そして息もつかせず、直ちに訪米し、トランプ大統領に表敬訪問し、ついでにバイデン氏とも面会して保険をかけておく必要がある。
日米同盟は、トランプ―安倍時代ほど緊密にはいかないかもしれないが、せめて差は紙一重くらいにしておきたい。
その後は、10月の衆院解散・総選挙だ。
国内は、にわかに忙しくなってきた。
昨年の今日の日記:「樺太紀行(42);日本統治時代の郷土博物館へ、説明はロシア語のみ」