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テーマ:海外生活(7787)
カテゴリ:アメリカの生活情報
先日物件を探すために不動産仲介業者と一緒に郊外のエリアに行った。 ドライブをしながら気づいたのが、同じ通りでも街の景観が虹色の如くどんどん変わっていくのである。場所によってはゴミが散乱していて荒れている地域、浮浪者やホームレスがフラフラ歩いている地域、窓が割れた車、タイヤがパンクしたまま放置された車がある地域も存在する。都市部外れの少し荒れた地域を抜けてさらに郊外の方に進むと一軒一軒の家が大きくなり、各家庭にはガラージとドライブウェイと呼ばれるガラージに通じる私道までしっかり整備されている。 万華鏡(kaleidoscope)のように変化する景色を眺めながら大学の先生が以前このように言っていたのを覚えている。 “Our community is one of the most deeply segregated areas in the United States.” (私たちのコミュニティーは全米で最も格差によって分離されている地域の一つだ。) 友人にもあの通りの向こうとあの地域は治安が良くないから絶対一人で夜歩かない方がいいとオリエンテーションで忠告を受けた。面白半分でも絶対に行ってはいけないとネイティブが言うのだから相当危険な地域なのだろう。 大学の地域は大学によって雇われた警備員が24時間体制で警備にあたっているため、学内コミュニティの安全は守られている。警備を雇うお金はどこから来ているかというと勿論我々が支払っている学費である。安全はお金を払って自分で守るというのがアメリカという国なのかもしれない。 銃社会のアメリカでは100%安全な地域は存在しないのかもしれないが、安全とされる地域の物件はそれなりに値段が高く設定されていて、ある程度所得のある人しか落ち着いた地域には住めないようになっている。自然と似通った所得の人々が集まり、その学区の教育の水準が高まるとその地域の家賃がさらに高くなる。貧困層はその地域に住めないため質の高い教育には最初から手が届かないようになっている。このような図式を見るとやはりアメリカは資本主義国家のメッカなのだと思わずにはいられない。因みに家賃がどんどん高騰して住んでいた住民が家から追い出される現象がアメリカでは起きている。このようにして貧しい人々を追い出してそのコミュニティを浄化しようとすることを英語ではgentrificationという。 ※以前Carlos Lopez Estrada監督のBlindspotting(2018)という映画を視聴した際にこのgentrificationという現象がアメリカ各地で起きていることを知った。生々しくアメリカの人種差別やgentrificationによる悲惨な現実が描かれている。かなり激しい銃撃や暴力シーンがあるので視聴する際はご注意いただきたい。 安全な地域に住もうとすると毎月高額の家賃を固定費として支出しなければならないし、支出を抑えようとすると今度は住む地域の治安が気になり始める。英語ではこのような状況をcatch 22と言ったりするが、まさに板挟みの状況である。 また、住む地域によって人種のバランス(demographic balance)が異なるのがさらに厄介だ。黒人、白人、アジア人、ヒスパニックのコミュニティが存在して何も知らずに家を選ぶと自分たちだけその地域で浮いてしまうなんてことも考えられる。
日本は利便性と築年数で家賃が決まることが多いような気がする。アメリカの家探しは検討事項が多すぎて色々考えているだけで頭がパンクしそうになった。手数料が発生してしまうが、アメリカで住む際はその地域に精通した仲介業者を介して契約すると良いだろう。冬休み期間になるべく足を運んで、自分の目で物件だけでなく地域の様子も見ながら家探しをしたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.10 05:49:08
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