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山への情熱 音楽への愛

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2019年10月13日
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福岡伸一さんのフェルメール「光の王国」を読んだ。~科学と芸術のあいだを遊泳する著者の新境地~と帯に書いてあり、興味をそそられたのだった。「フェルメールの作品が所蔵されている美術館に実際に赴き、鑑賞する」を旅のコンセプトに、世界各地の美術館が擁する珠玉のフェルメール作品を4年かけて巡った、ANA機内誌『翼の王国』の人気連載の美術紀行である。
結果を言うとすごく面白く、避難所生活のつれづれの時間が実に有意義なものに変わった。フェルメールの絵が展示されている海外の美術館を福岡さんが次々と訪ねていって、細かな検証を重ねていくという形になっているのだが、そこに科学者の視点が深く入っていて、私など思いもつかなかったような見方が展開されている。まさに生物学者・福岡伸一がおくる極上の美術ミステリー紀行となっている。非科学的思考の私でも理解できるように書かれているのも嬉しいし、この福岡さんは文学者と言ってもいい優れた表現者だと感じた。


フェルメールが住んだ街 デルフトを描いた「デルフト眺望」が表紙 「真珠の耳飾りの女」を観る福岡さん
フェルメールの名作が展示されている美術館というのがウイーン、ベルリン、ドレスデンなど私が訪ねた都市であり、更に訪ねた美術館が登場してくるのですごく親近感があり、共感させられた。しかし同じ作品を観てもここまで考察する科学者とぼんやり観ていた私とは雲泥の差だ。昨年ドレスデンのアルテマイスター絵画館で見た「取り持ち女」などまだ日にちが経たない分、印象もはっきり残っていて福岡さんの観察がとても緻密で奥深いと感じた。
 アルテマイスター絵画館 取り持ち女
終章に「ある仮説」としてフェルメールと同時代を生きたレーウエンフックとの親密な関係を提唱している。手短に言えば芸術家と科学者に共同作業があったのではないかといういう説だ。福岡さんが幾多の美術館で作品を観、科学者の考察を加えた結果の説で、ある意味推理小説みたいで刺激的だ。
フェルメールの絵画がカラーでふんだんに出てくるし、ウイーンやベルリンなど街の風景も登場する。美術館のフェルメールの絵を観たり、キュレーターと話している福岡さんの写真もかなり挿入されていて旅の現実感があった。内容が深く分析的なだけでなく科学者の思考による推理的な本を読むことができ、とても面白かった。確かに新境地と言えよう。





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Last updated  2019年10月13日 17時04分38秒
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