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2004年06月24日
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カテゴリ:欧州
今日、読んだ本。
鹿島 茂『パリ時間旅行』(中公文庫)。

いくつかのところに発表された文が、一冊にまとめられて出来上がった本。

だから、章ごとに、対象の扱い方や文体も異なっていることに不思議は無い(し、ある意味で当然な)のだが、この文庫の、こうした成り立ちを知らずに読んだら、読みにくい本だと思ったことだろう。

パリの都市計画の推進者であったオスマン。
古きパリを「葬るつもりで、逆に永遠に生きながらえさせてしまった」という皮肉。

写真や映像といった、“客観的”である(と一般に受け入れられている)ものの解釈は、それを見る側の立場、時代、背景、などによって、本来(当初)、撮影者が意図したものとは全く反対のものにすらなり得る、ということの好例だ。

“筋肉が付くことは、知性と教養が減じること”、と信じられていたらしい。

だから、ただ勝つためにだけ(ライバルに、というよりも、自分自身に、である)、純粋に戦う、という態度、例えば『炎のランナー』に描かれたリデルやエイブラハムの姿勢は、第一次大戦の敗戦国であるフランスでは、理解されないものであったのだろう。

そのフランスが、オリンピックを提唱する国となったことは、皮肉であるとも思える。オリンピックの起源に、普仏戦争に敗れた国としての、体育教育に関する理念(計画)に関わる、当時のフランス国内での政治的なせめぎあいがあったことは、初めて知った。

それから。
最後に記すが、これはけっして、つけたしでは無い。

「陰翳礼賛あるいは蛍光灯断罪」の章。

この章は、いつもあたりまえに身の回りにあって、いわば空気の如きものとなっている“光”のことを改めて見つめなおしている。そのことを通じて、食、美、愛、といったものに関して、私たちが普段は考えてもいなかった(少なくとも、言葉として扱うことは無かった)ことにも触れており、都市計画/住宅建設/室内設計、といった分野を御専門とされる方々にも御一読頂きたいことを示してくれている。





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最終更新日  2005年03月11日 00時09分57秒
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