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カテゴリ:欧州
今から一週間前、僕は、サンリスという北フランスの街の、カテドラル前の広場に面したレストランで、同僚たちと夕食をとっていた。
午後8時なのだが、日本の感覚でいえば午後3時くらいの陽の高さ。レストランに向かう途中の車窓から見た、オワーズ河に照る陽の光が、とてもまぶしかった。 レストランに着いてからの、シャンペンでの乾杯は、一日の仕事(会議)を終えて後のものだったのだが、夕暮れというのにも早すぎる感じがして、なんとなく後ろめたく思えたほどだった。 ほんとうのことを言えば、どのワインで乾杯しようか、と迷っていた僕であったのだが、「フランスでは、先ず、シャンペンよ!」と、同僚のBeatriceに軽くたしなめられて、日本でいう、“先ずビール”に相当するのがシャンペンであることを、初めて知ったのであった。 サンリスという地名は(二日つづけてヘミングウェイで恐縮だが)、“The Sun Also Rises”に出てくる。その土地に、自分自身が居て、12世紀の建築を目の前にして、夕食のメニューを眺めている、ということがなんともいえず嬉しい。 その嬉しさは、なんと表現すべきかわからない。 「帰属感」と表現してしまえば、あまりにも大雑把すぎると、自分でも思う。 この、自分が飲んでいるワインをたたえたグラスが置かれているテーブルが、目の前にある。 そのテーブルの前には広場がある。 そして、その広場には、このカテドラルが作られて以来、たくさんの雨が降り、風が吹き、たくさんの人々が集い、泣き、笑ってきたのであって、だから、このカテドラルは、数え切れないほどのひとびとの生を見てきたのだな、といったことをぼんやりと考えた。 次に(脈絡も無く、と言うべきだろうが)浮かんできたのが、我々の生という現実に比べて、言葉とはなんと無力なのだろう、という思いだった。 その無力感、言い換えると、時間というものが持つはかなさ、を文章にして固定してくれたのが、ヘミングウェイの文体だと言ってもよいのかも知れない。 。。。と、さらに妄想に浸り、自己満足して完結できたのが、一週間前の、僕のサンリスでの一日であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月22日 18時15分36秒
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