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カテゴリ:フランス料理の文化と歴史
西洋の歴史上もっとも早い時代に生まれ、食事のために利用した大きな道具といえば「テーブル」です。そのテーブルに掛けた布の事を後に「テーブルクロス」と呼ぶようになりました。
中世あるいはそれ以前のヨーロッパにおいては、特に目的にあわせて部屋をしつらえることは無く、また食事をとるための部屋、つまり「食堂」という概念そのものがありませんでした。 当時の一般の庶民の居住空間は、現代の私たちから見れば随分粗末なもので、台所、寝室、食堂などの区別はありませんでした。現代の1Kといわれる部屋に近い部屋だと思っていただくと想像しやすいのでは無いでしょうか。 貴族の邸宅においても、宴席などを行うための広間と厨房の区別があったかといえば、実のところ曖昧で、距離が離れているということはあったにせよ、火を通したものを運んできて客間で盛り付けるというようなこともあったようである。 中世までの料理といえば、煮込みにしたもの、また、火であぶっただけのものが主でした。特に煮込み料理の入った鉢だとか、鍋から直接料理を掴むため、卓上にはソースや肉汁がこぼれることとなります。 衛生の観点から、また、片付けやすさなどを目的としたテーブルクロスが生まれたのが中世末でした。テーブルクロスを掛けることによって、テーブルは「脚付きの台」から「食卓」へと変化するのです。 またテーブルクロスはその汚れた手指を吹くためにも必要なアイテムでした。現代でも四隅に垂らして配置するようになったのは、見た目の美しさを重視するさることながら、指や口を拭くために、十分な長さを必要としていたからです。 時代が下って食の個人化が進むにつれて、クロスはそれぞれ一人に一枚づつ充てられるようになります。これが「ナフキン」のはじまりです。 今日ではフォーク・ナイフなどの什器類の、機能、デザイン性が十分に発達したのにつれて、ナフキンは口元をぬぐうための道具となり、テーブルクロスの垂れの部分はますます装飾的な意味合いが強くなっています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 10, 2005 01:59:00 AM
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