野良猫になつかれてしまった
朝のウォーキングで休憩に立ち寄る神社で、その日は神社の15日参りということでいつもなら何もないスペースにおみくじ特設コーナーが設置されていた。6種類ほどあったおみくじには、おまけがついているものもあり、ちょっとした収集癖のあるValsの目にはとても魅力あるものに写った。迷った末、縁起物がついてくるおみくじを引くことにし、目を瞑って手前の奥の一番下のほうから引っ張り出したひとつを選んだ。おみくじは吉。おまけの縁起物は招き猫。運勢は良い感じだ。今、学んでいることは運勢的に良いことなのだよ。がんばれよ!と背中をポンと叩かれたような気になった。しかもおまけの縁起物は招き猫。手に職をつけるべく学び中の職業としては商売繁盛のお告げはありがたい!当たった招き猫はとても小さなものだから無くさないよう大切にウエストポーチに仕舞いこみ、鳥居に向かって歩き始めると、猫の鳴き声が聞こえてきた。この前遭遇したこの子が、鳥居の手前に座って待っていたのだ。驚かさないよう少し離れたところにしゃがんでから「おはよう。また会えたねぇ。」と声をかける。猫は「そだにゃ。また会ったにゃ。」とゆっくり近寄ってくると、この前やったのと同じように、ふさふさした長い尻尾を青空に向けてピンと真っすぐ立ててValsの回りをスリスリしながら2周した。そしてValsの横に座ると「にゃぁ。」とつぶやいて、少し緑色がかったビー玉のようなキラキラした瞳でValsをちらりと見上げた。どうやらこの子は猫語で人間に話しかけてくる猫らしい。「元気にしてたぁ?」と話しかけると「まぁまぁにゃ。」と返事がかえってきた。そこから日本語と猫語の会話のキャッチボールがいったりきたりする。「そうだ。今日はね、これを持ってきたのよ。」がさごそとウエストポーチの中を探るValsの手元を、猫はじっと見つめて待っている。Valsは猫との再会を期待してウエストポーチにおやつ用の小さな煮干しを忍ばせてきたのだ。猫はひとくちで食べられる小さな煮干しの匂いを嗅いでは少しだけ舐めてそーーっと咥えると口から出して匂いを嗅ぐ。。。の繰り返しをしてなかなか飲み込もうとしない。野生の本能と経験から用心しているようだ。思わず「いやいや。毒じゃないから食べても大丈夫だよ。」というと、猫は「そか。ありがとにゃ。」とつぶやいてゆっくり味わったあとにごくりと飲み込んだ。食べ終わると、しゃがんでいる私の膝とからだの隙間に頭をすりつけて隙間を広げようとしてきた。犬を飼っていた経験上、これは抱っこのおねだりだ。。。とすぐわかったのだけれど、あまりの獣臭に恐れおののいて抱っこは丁重にお断りさせてもらう。野良生活をしている動物は病気や寄生虫を持っていることが多いから、用心しないといけないからだ。すると猫は黙ってva;sの背後に回り込み、丸めた猫背の一部をしゃがんでいるvalsのお尻にちょこんとくっつけて座りこみ、招き猫のようにじっと動かなくなってしまった。どうやら猫になつかれてしまったらしい。「もういっこ食べる?」と言いながら2個目の煮干しを差し出す。すると今度は匂いだけ嗅いでぷいっと横を向くとそのまま食べようとはせず、煮干しに興味さえ示さなくなった。しつこく差し出すと、「煮干しなら1個で十分だにゃ。」と断られ、猫は何度か振り返りながらも悠々と神社のほうへ歩きだして植え込みの茂みに消えていった。そして翌日。今日はどうかなあと思いながら境内に設置されているベンチに座って水分補給をしていると、離れたところから「おはようにゃ」挨拶が聞こえた方角に目を向けると、神社の屋根の上に座っていました。よく見れば見るほど、毛の配色と模様の感じがタキシードに白いドレスシャツ、白い手袋をしているようなエレガントなルックスだ。あとは首に蝶ネクタイをつけたら完璧である。神社に住み着いている野良猫のようだ。名前はあるのだろうか。この次は煮干しではないおやつを持っていこうと思う。チャオチュールか?(笑)この次はFさまできれいに撮りたいにゃ。(#^^#)