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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場鑑賞
TOHOシネマズでは“TOHOシネマズデイ”と称して毎月14日に¥1000興行を行っている。「G.I.ジョー」を上映しているスクリーン4はお盆休みと重なり満員御礼の満席だ。男女比は男8:女2と言うシネコンでは珍しい、圧倒的に男だらけの熱気に包まれた上映となった。
![]() [DVDソフト] G.I.ジョー 映画の話 世界征服を企む悪の組織“コブラ”が、各地で活動を活発化させる1990年代。あらゆるものを破壊する威力を持つ最強兵器ナノマイトがコブラ一味の手に渡ってしまう。パリのエッフェル塔が破壊されるなど、コブラの脅威が世界各地を襲う中、アメリカ政府は世界各地の精鋭を集めた史上最強の国際機密部隊“G.I.ジョー”に願いを託す。 映画の感想 これは凄く面白かった。“G.i.ジョー”と言えば、子供の時に遊んだ体のパーツが駆動する兵隊玩具で私も良く遊んだ。その“G.I.ジョー”が85年の『地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー』と言うタイトルでアニメ化された物を本作は原作にしているそうなのだが、そんな作品があった事自体、私は今ネットで調べて判った次第である。話は破天荒で無茶苦茶であるがアニメでしか出来ない世界観を見事に実写化してしまうハリウッドの底力を感じると共に、演出をしたステーヴン・ソマーズのパワーが炸裂した印象だ。 以下ネタばれ注意 オープニングの最強兵器“ナノマイト”を運ぶ米軍の車列とヘリコプターを急襲する“コブラ”のマシンと兵隊の攻防戦からの幕開けで、コブラのマシンと兵隊のコスチュームのデザインがカッコ良く、激しい戦闘シーンと共にゾクゾクしてしまう。本作は基本的にマシンやコスチュームのデザインが素晴らしい。コブラの襲撃で米軍は壊滅するが、最後までナノマイトを守り抜いた主人公デュークと相棒リップコードは“G.I.ジョー”にスカウトされる。 スカウトされた二人は早速“G.I.ジョー”の秘密基地で特殊な訓練を受けて、晴れて“G.I.ジョー”隊員になる訳だが、特殊訓練のコーチ役でソマーズ監督の出世作「ハムナプトラ」シリーズの主役ブレンダン・フレイザーも登場してファンとして嬉しい。更に嬉しいのは“コブラ”の方にもザルタン役で「ハムナプトラ」シリーズの名悪役イムナホテップを演じたアーノルド・ヴォスルーまで出演している。それも相変わらず顔をいじられまくって特殊な整形手術を受けて○○○に変身してしまった。 それにしても“G.I.ジョー”の秘密基地も案外やわで、あっという間に“コブラ”に場所を特定されて急襲されて甚大なる被害を被りナノマイトまで奪われる失態を犯してしまう。まぁ、物語の展開上こうしなければいけないのかもしれないが“G.I.ジョー”も間抜けである。それにしても本作は悪役キャラが立ちまくりなのも良い。 ソマーズ監督は「ハムナプトラ」シリーズでも先に書いた“イムナホテップ”という最強悪キャラを作り出した監督であり、本作でも主人公の元カノで悪になってしまったバロネスと相方で韓国のスーパースター、イ・ビョンホン演じるストーム・シャドウと言う2大悪役も登場させている。それもちゃんと二人の過去をちゃんと掘り下げて映像化してるのも良い。特に“G.I.ジョー”のスネーク・アイズ(映画の中では顔が見えないが『スター・ウォーズEP1/ファントム・メナス』でダース・モールを演じたレイ・パークが演じている)とストーム・シャドウの関係が面白く、東京で少年時代に同じ師の下でニンジャとして兄弟弟子だったと言うエピソードも立ちまくりであり、二人の関係は「スター・ウォーズ」シリーズのオビ・ワンとアナキンの様である。 そして本作の最大の見せ場となるのが、奪われたナノマイトを使いパリのエッフェル塔を消滅させようとするコブラと、それを阻止するG.I.ジョーとのパリの街での大スケールのアクションであろう。基本的にコブラの黒1BOX車を追うG.I.ジョーの白1BOX車に加え、スネーク・アイズのアクロバット・アクションに、スカーレットのバイク、ハイパースーツを身に着けたデュークとリップコードとの追跡劇は、この何年間のアクションでは最高の仕上がりなのではないだろうか?車とバイクとCGを使って人間の身体能力を極限まで引き出した三つどもえのアクションは映画を見ていて何度鳥肌が立つくらいに感動してしまった。 この後のシーンでナノマイトをエッフェル塔に撃ち込むために近隣の高層ビルにコブラ一味が進入する時に、1階のフロアで風船を持った男性にコブラ一味があたり風船が宙に舞い上がるのだが、その後のシーンで舞台がビルの屋上に移ると床が抜けてしまった所から先ほどの風船が出てくると言う隠し技を使うソマーズ監督のセンスにしびれた。 映画後半はコブラの海底基地にG.I.ジョーのチームが中と外と同時進行で襲撃をする訳だが、このーシークエンスは明らかに『スター・ウォーズEP4』のデス・スターの攻防戦そのものであり、基地の内部ではスネーク・アイズとストーム・シャドウの兄弟弟子の一騎打ちもベン・ケノービとダース・ヴェイダーの対決を思い起こすし、スカーレットが善に寝返るあたりも『スター・ウォーズEP6』のダース・ヴェイダーからアナキンに戻るパターンを思い出してしまった。まぁ本作はソマーズ監督が「スター・ウォーズ」シリーズをリスペクトしているのかもしれない・・・・。 本作は人によっては「くだらねぇー」で片付けられてしまう作品の部類に属する作品であるが、アニメ的な世界観を実写でココまで徹底して描ききったソマーズ監督には天晴れであり、私は久しぶりにお腹いっぱいの満足感を得た。特に気に入ったのは過去の些細な出来事もほぼ全て映像化している事が本作のポイントだ。近年の作品は過去の出来事を台詞だけ言って誤魔化す悪い風潮にあるだけに、本作は細かいディティールまで目が行き届いている。コブラのマッドサイエンスト(彼の正体も良く出来ている)の話も面白かったし、明らかに続編狙いのエンディングも小気味良かった。早くも次回作が楽しみである。 ![]() 映画「G.I.ジョー」関連商品 ![]() (CD)G.I.ジョー/Alan Silvestri
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