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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場2010
平日の午後と言う事で、この劇場で一番大きいスクリーン5には50名位とかなり少なめな観客でゆったりとした空間で鑑賞できました。今回私が見たバージョンは字幕3D版です。
![]() ¥2430【新品】≪ブルーレイ≫(初回限定)アリス・イン・ワンダーランド 映画の話 白ウサギと遭遇したことによって不思議の国へと迷い込んだアリス。そこは、美しくもグロテスクなファンタジーワールドで、トゥィードルダムとトゥィードルディーや、赤の女王とその妹で慈悲深い白い女王たちに出会う。 映画の感想 もう、これはティム・バートン監督ファンとして「素晴らしい!」の一言である。数々の作品でキャリアを積み重ねたバートン監督のイマジネーションの到達点と言うべきクオリティに、ただただ圧倒され感動する至福の109分間でした。 映画冒頭の現実世界で生きるアリスのエピソードはあえて淡々と描き、3D効果も殆どありません。しかし、アリスが白ウサギに導かれ、木の根に出来た穴に落ちてからは3D効果も奥行き感を重視した立体的な画作りに変わり、バートンの描き出す幻想的な世界観が炸裂する。 それにしても本作を見るとバートンはアニメの手法を実写で描いてきた作家だったと改めて再認識した。自分の中では05年「チャーリーとチョコレート工場」で、作家としてバートンの完成型と思っていたが、本作は更にそれを上回るクオリティであり、物語の面白さに加え、圧倒的なビジュアルイメージには感動すら覚える。 バートンの出世作で、88年「ビートルジュース」の中でもアナログ技術を駆使して自分の思い描く世界観を構築してきたバートンであるが、彼の世界観を忠実に再現するには技術が進歩する時間が必要であった。その技術がCGと言うツールが完成の域に達し、変幻自在の映像が作れるようになり、人間が演じるキャラクターとCGで作り出されたキャラクターが同じ画面内で何の違和感も無く共演出来る様になった。本作を見ると正にCGアニメの世界に主人公が迷いこんだみたいで、バートンの思い描く世界観がほぼ100%再現されているように感じる。CGパートと実写パートがほぼ別構成だった「アバター」の不満を本作は見事に解消してくれた。 以下ネタばれ注意 映画はイマジネーション溢れるダークファンタジーを突き進む中、一瞬アリスが幼少期にアンダーランドで過ごした日々が映像化されているが、このシーンが実に秀逸である。ディズニーアニメーション「ふしぎの国のアリス」の中での、アリスの衣装を忠実に再現した実写シーンには思わず目頭が熱くなってしまった。バートンがディズニーにオマージュを捧げた素晴らしいシーンだ。 クライマックスの“赤VS白”決戦もバートンにとって「PLANET OF THE APES/猿の惑星」以来のダイナミックな決戦シーンが用意されていて良い。そして、ラストに唐突のハッターの歓喜のダンスは「ビートルジュース」ラストの“バナナボート”とリンクしてしまい、バートンの内に秘めたポリシーに感銘を受けた。 出演者もバートンの良き理解者ジョニー・デップのパーフェクトな役作りと、バートンのパートナーのヘレナ・ボナム=カーターの圧倒的な存在感、って言うかアニメから飛び出してきた様なキテレツな造型はバートン作品ならではのキャラで、そんな変なキャラを演じきってしまうボナム=カーターが凄い。“ハートのジャック”を演じたクリスピン・グローヴァーもバートンワールドの住人として中々美味しい役であった。そして、バートン作品初出演のアン・ハサウェイのアニメから飛び出した様なキャラも楽しい。彼女の手が常に半分折曲がり上がった状態にアニメ好きなバートンの徹底したこだわりを感じた。 ディズニーアニメーションでキャリアをスタートさせたバートンにとって、古巣ディズニーの看板作品「ふしぎの国のアリス」の、その後を描いた本作は特別なものであった事であろう、画面の隅々まで彼のこだわりを感じる絵作りには感動の連続であった。近年のバートン作品では個人的に一番好きな作品である。 映画「アリス・イン・ワンダーランド」関連商品 ![]() アリス・イン・ワンダーランド オリジナル・サウンドトラック ![]() アリス・イン・ワンダーランド 【Disneyzone】 ![]() アリスインワンダーランドビジュアルストーリーブック ![]() アリス・イン・ワンダーランドポスターブック 【Disneyzone】 ![]()
Last updated
2010.11.06 22:41:48
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