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Atelier Mashenka

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2005.10.30
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カテゴリ:ウォーキング・旅
【 星空のもとでのカニ汁 】

やがてあたたかい喧噪が聞こえてきた。夜中4時。
81km、カニ汁のチェックポイントだ。声もなく万歳する。
ここまで辿り着けるなんて、昨年からすると夢のようだ。
本当にここまで自分の脚で歩いてきたなんて!

そこには懐かしい顔がいくつもあった。
サポートのKさんやK谷さんがいた。先に行ってもらっていたM上さんが、Bさんがいた。
初挑戦のM浦さんがいた、63kmからジャンプアップしてきたY本さんがいた。
なんと、とっくに100kmゴールしてサポートに回っているHさんまでいてびっくりした。

前の晩、勉強会の2次会の帰りに一緒にホテルに戻りながら
Hさんは今回の目標を語っていた。
ゴールするのが目標じゃない、ゴールして戻ってきてみんなをサポートし、
また一緒に歩くのが目標だ、と。
それを実現させていることが、すごい。
みなさまざまな関わり方で、自分の100kmを手にいれようとしているんだと感じた。

私はリベンジするだけで正直精一杯で、
M上さんやK坂さんにも、その他の方たちにも、今はお返しできるものは何もない。
とにかく食らいついて力を貸していただいて、ゴールするだけで精一杯だし、
それが今回の私のなすべきことだから、思い切りみなさんのお世話になってしまった。

Hさんに陸上部仕込みだというマッサージをして頂いた。
大きな体に似合わず、たふたふとやさしい繊細なマッサージにふくらはぎがほぐされた。
その後、サポートのKさんが、よれよれの靴下の上からあたたかくマッサージしてくださった。
これまで何度も100km歩かれて、ツボを得た的確なマッサージだった。
そして夢見たとおり、星空のもとでのカニ汁をいただき、心身ともにあたたまった。
ここはひとつの通過点でもあるけれど、私にとってはひとつのゴールでもあった。




【 長い夜を越えて朝を歩く 】

81km地点では、40分くらいと、一番長く休憩した。
5時前くらいに出発した。
K坂さんと私はかなりペースが落ちていたので
M上さん&Bさんコンビにすぐ抜かされたけれど、気にせずゆっくり歩いた。

やがて空が明るんできた。朝が一番冷え込んだ。
視界が明るくなり、右手に海が見えるようになってきた。
その辺りは漁村らしい風景だった。
朝早くからおばあちゃんたちが、沖アミだか何か
かごでたくさんの小さな魚をさばいていた。

そんな風景を眺めていると、
長い夜を歩き続けて、朝を迎えたことが不思議な気がした。
ゴールに着いたらお風呂であたたまるのが望みだった。
Sさんのビールかけも楽しみだった。(冗談なんだろうけど・・)
朝になり、明るくなり、体も頭もぼーっとしてたけど
気持ちはずいぶん元気だった。

地球緑化クラブのHさんとまたすれ違った。
ずっとあの脚の固まってしまった歩き方で、
でも同じペースでひとりで歩き続けている。
主催会社の社長さんにとてもお世話になった関係で今回参加されたのだが、
その後姿を見て、K坂さんが
「プレッシャーがあるだろうに、すごいガッツがあるよなあ・・」
とつぶやいていた。全く同感だった。

85kmチェックポイントについた。まだ開店していないヤマザキのコンビニ。
Oさんご夫妻やSさんが懐かしい笑顔で迎えてくださった。
とりあえず、裏の公園のトイレに行った。
先についていたBさんとまた会えた。
「休憩していくんですか?」と聞かれたので、
「う~ん、K坂さんと相談してみないと・・」と答えると
隣の男子トイレから「休まずこのまま行くぞーっ!」とわめくような即答が返ってきて
思わずBさんと笑ってしまった。

なんて楽しいのだろう。
脚ははれて、トイレで座るのもひと苦労だし、
腰痛ベルトも締めなおしたりして、痛みをかばっているのに。
前向きな方たちに囲まれて、ほんとうに私は恵まれている。

驚いたことに、ここでもHさんは先回りしてマッサージしていて
「マッサージしていかないの~?」と声をかけてくださったが
こんなに見知った懐かしい顔ばかりいるところに座り込んだら、
もうあったかすぎて次へ歩き出せなくなりそうで、早々に出発した。

85km地点からしばらくは、脚や腰の負担を軽減するためにも、
初めて杖を使ってみた。
しかし案外腰に変な力を入れてしまうので、結局杖の使用はやめてしまった。
やはりまっすぐ立ち、一定のリズムで歩くのが、結局は足腰に負担が少ないみたい。
腰痛ベルトがずり上がってしまうので、何度も引き下げながら歩いた。
けっこうきつかったのか、黙々と歩いた。
またもやM上さんたちにも、またその他たくさんの人に抜かされたが、焦りはなかった。

90kmチェックポイントについたのは、朝8時ころ。
K坂さんがここで「気持ち的に満足するまで、ゆっくり休んでから出発しよう」と言って下さった。
K坂さん自身はあまり休まず行きたいだろうことがわかっていたから、
その心使いがありがたくて、涙が出そうだった。

この大会の主催会社の方だと思うが、椅子に座ってマッサージしていただいた。
2人にやっていただいたが、2人ともプロかと思うほどうまく、
寝てないのもあって、あまりの心地よさに恍惚となってしまった。
K坂さんに「寝るなーーー!」と言われながらも、一瞬意識が空の彼方に飛んでいた。
でもそのおかげで心が満たされた。
K坂さんの好意に甘えすぎずに、20分の休憩のみで出発した。

このあとは左に山の風景、遠く右手にずっと防風林が連なって見える、
畑の中ののどかな1本道が続いた。
半島を歩いているんだな、と感じた。
完歩した方はみな、最後の90~97.5kmとその後の2.5kmが何しろ長い、
ほんとはもっと距離があるんじゃないか、と口々に言う。
それでK坂さんは、最後の10kmは15kmのつもりで歩く、と言い、
それは私も覚悟して歩いていた。

しかし、さっきの90kmチェックポイントでマッサージに恍惚となって
飲み物や食べ物を補給しなかったことを少し失敗だったと思った。

これまで割と適切に、あたたかい飲み物、スポーツドリンク、
あたためたおにぎり、ゆで卵、疲れを感じると時々甘いもの、
食べるのもきついときはウィダーインゼリー、と
お腹も荷物も重くなりすぎないように、少しずつ、 空腹を感じる前に補給してきた。

けれどこのとき初めて空腹状態になってしまった。
のどかな村には延々と、コンビニも自販機も見当たらない。
そのとき初めて、体力に不安がよぎった。
数年前に異常にやせたとき、脱水症状で2回病院に運ばれたことがある。
気持ちは前向きで元気とは言え、体はかなり消耗しているこの状態で、
飲み物も食べ物もすぐ手に入らないのはヤバい、と感じた。

だいぶ歩いてから、天の助けのように、畑ばかりのところに
小さなプレハブ小屋のお弁当屋さんが見えた。
朝早すぎるのか、日曜は休みなのか閉まっているが、
その隣に自販機があった。
救われた!と思った。
しかもこんな田舎の自販機なのに、飲み物だけでなく
箱入りのカロリーメイトまで売っていた。
ラッキーすぎる!
スポーツドリンクとカロリーメイトを買い込んで、栄養補給をした。



つづく






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Last updated  2005.11.24 01:54:03
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