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<衝撃なる出会い、直前>
「前田総理をお連れした。心配ないから、君らの持ち場へ戻りなさい」 山本のいつも通りの落ち着いた声と穏やかな顔に接して、安心した僧たちは、一礼してから山門へ戻って行った。 山本は、若い僧たちの後姿を見送りながら携帯電話を手に取り、操作し始めた。電話をかけようとしている相手は、彼の師である、唯伝寺最高指導者、相川管長である。 「・・・はい、前田総理をお連れしております・・・はい、ではそのように・・・さようでしたか、弥勒様は一旦「救世堂」にお戻りになっておいでなのですか・・・前田総理が到着されてから、再び足をお運びいただくと・・・わかりました、客殿の前でまたご一報いたします・・・はい、では後ほど・・・失礼致します」 山本は、携帯をしまいながら振り向く。そこには、つい先ほどまでとは違って随分顔色の良くなった前田総理が立っていた。 「少しは眠れたようだね」 「ああ、お陰で久しぶりに悪夢に邪魔されずに眠れたよ。有難う・・着いたようだな・・・行こうか・・・」 そう言うと前田はすぐに歩き始めた。山本は、前田の後ろ半歩のところを歩きだし、少々改まった口調で言った。 「前田総理、唯伝寺へようこそ。ここからは、私が案内しましょう」 前田総理も、厳粛な空気を感じ取った様に言う。 「む、頼みます・・・」
その頃、マザーシップの中では、タカシがアンの淹れてくれたコーヒー(ハワイ・コナ)を美味そうに飲んでいた。 丁度その時、タカシたちの居住区(リビング・ブロック)へ近づいてくる足音が・・・ (おっと、これはまだ読者諸氏にはお報せしてなかったんだね・・・実は、足音の主はアンの父親であり、タカシの親友マーク・ハリスン氏でした。娘のことが心配で、追いかけて地球に舞い戻り、タカシが下から戻って来たとき感激の再会を果たしたばかり。そういったわけです) 「やあ、タカシお疲れ様、とても立派だったよ!」 タカシは、マークを見上げながら(彼は190センチの長身なんだ)嬉しそうである。 「ありがとう、でも、救世主って・・・代理だけど、本当に骨の折れる役目だよ・・・」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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